名詞のreliefが「救済」、動詞のrelieveが「救済する、解放する」といった基本的な意味の違いがあります。元々は再びあげる、再びもちあげるといった意味が語源になっています。
何かの負担を和らげることを意味する言葉であり、逆に考えると問題そのものを解決しているわけではない点があります。
特に動詞での使い方が少し特殊かもしれません。形容詞は特に言葉がありません。基本的な使い方をまとめてみました。
この記事の目次!
relief(名詞)の使い方
reliefは根本の意味としては「(何らかの問題を)軽減、和らげること、取り除くこと」です。例えば重い荷物を代わりに持ってあげるようなこともreliefだといえます。発音は【rilíːf】なのでリリーフです。
以下のrelief / relieveのすべての解説の根底に通じる考え方として「relief」はあくまで当事者が感じる負担などを軽減・和らげている、取り除いているニュアンスであって、問題そのものの根本的な解決ではないことが裏の意味として読み取れます。
救済金・救済措置
問題を和らげることは「救済」することにつながり、お金に関して使われると「救済金」の意味にもなっていきます。debt reliefで「債務救済」の意味です。
Our company offers debt relief to poor families.
私たちの会社は貧しい家庭のために借金の救済金を提供している。
借金のすべてなのか一部なのかは分かりませんが借金を取り除くこと、つまり「救済金を提供すること」を意味します。
The President will provide tax relief to part-time workers.
大統領はパートタイムの労働者に税金の救済措置を供給するだろう。
こちらも同じようにどれだけの税金かは分かりませんが税金を取り除くこと、つまり「救済措置を与えること」を意味します。
しかし、貧しい家庭になってしまっている根本的な原因や、税金が支払えない状態を引き起こしている問題を解決できるかどうかは別問題です。
救済・安堵
上のような金銭的な救済とは違う意味の「救済」としても使われます。何らかのストレスを取り除くことで、「心が救われること、安堵すること、ほっとすること」といった意味での救済になります。
The news of her safety was a relief for me.
彼女が無事だったというニュースは私にとって安堵だった。
直訳しましたが、彼女が無事だったと知って救われた、ホッとしたといった意味です。
It is a big relief that I don’t have to work this weekend.
今週末に働く必要はないということは大きな安堵だ。
働く必要がないのでホッとしているという意味です。
「救済金」と「(ストレスなどの)和らげること、取り除くこと」の2つがもっともよく使われる意味です。
逆に考えると感じるストレスを和らげたり、取り除くことではあるものの、ストレスを引き起こしている原因を解決しているわけではないことになります。
関連する問題の除去
また何かに関連して起こる問題を除去することを表すケースもあります。これも救済の一種だと考えても問題と思います。
The UN will provide hurricane relief.
国際連合はハリケーンの除去を提供するだろう。
直訳しましたが、国際連合はもちろんハリケーンを取り除くことはできませんが、ハリケーンが引き起こす問題、家を失うことや飢餓、薬の不足などの問題を取り除くだろうという意味になります。
鎮痛剤・薬などに対しての表現
ニュースではインフルエンザの新薬が登場した話題で使われました。インフルエンザを取り除くことは、ほぼ治療することを意味します。
しかしながら「cure(治療する)」との違いとしては、reliefは感じる負担を取り除くことや軽減することであって、根本的な治療につながっていないニュアンスを伴います。
頭痛薬(バファリンなど)もそうですが痛みの原因を「治療」しているわけではなく、薬によって身体が痛みを感じなくなって、身体が感じる負担が軽減していると表現するのが近いです。
特に医療関係の宣伝などで明確に「cure(治療する)」と言い切ってしまう、「この頭痛薬はあなたの頭痛を治療します」と書いてしまうと少し問題が起こります。
そこで少しぼかしたような「relief」が使われる傾向があります。
A new influenza drug, Xofluza, has passed clinical trials and is expected to hit the market this year with promises of flu relief in about 24 hours.
新しいインフルエンザの薬、ゾフルーザが臨床試験を通り、今年、市場に出る見込みだ。これは約24時間でインフルエンザの軽減を約束する。
野球のリリーフ
先発投手(starting pitcher)が何らかの事情で降板した後にマウンドにあがるピッチャーのことで、英語ではrelief pitcherやrelieverと呼ばれます。
大昔はリリーフ専門の投手がおらず、先発ピッチャーが怪我などをすると野手が代わりにピッチャーをやっていたそうです。
どちらにしろ先発ピッチャーの負担を軽減する役割が大きかったため、このような名称になったのだと考えられます。
近代野球は役割が細分化されておりrelief pitcherの中でもsetup man / setup pitcherや、抑え投手のcloserのような個別の名称がついています。
他にも彫刻などの浮き彫りのレリーフも同じreliefです。「持ち上げる」といった意味の大元をたどれば同じ語源ですが枝分かれした言葉です。
relieve(動詞)の使い方
relieveは動詞で根本はそのままの意味ですが、少し使い方が幅広くなっておりややこしい点があります。
仕事などから解放してあげることも意味しますが、それが「解雇する、クビにする」といった感じや、他にも皮肉のような感じでも使われるようになっています。
一方で「政府は被害者を救済する予定だ」のような物理的な支援などには使われない不思議があり、言葉の感覚・扱いが難しいといえます。
以下、代表的な使い方を例文にまとめてみました。
(仕事から)解放する
仕事に対して使うと仕事という重荷から解放するというイメージから「解雇する」といった意味にもなります。
以下のような例文だと解雇の意味になります。
He was relieved of duty for stealing from the company.
彼は会社の金を盗んで職務から解放された(解雇された)
しかし、普通に誰かに交代してもらうといった意味での「解放」もあります。
I have to stay at the register until someone relieves me.
誰かが来てくれるまで、私はレジにいないといけない。
薬などの効果が効く、安心する
名詞でも取り上げましたが薬が効いて痛みなどが和らぐ、軽減するの意味があります。しかし、根本的に治療(cure)ではないのは同じです。
This medicine will relieve your back pain.
この薬はあなたの背中の痛みを和らげるだろう。
また心の負担、重荷、ストレスなどが和らぐこと、安堵することにも使えます。
I was relieved to hear that she was safe.
彼女が安全だと聞いて安堵した。
おしっこをする・用を足す
やや婉曲の表現で「用を足す」といった感じでも使われます。おそらく解放される感じからだと思います。
His dog relieved itself on my fence.
彼の犬がうちのフェンスにおしっこをした。
(皮肉で)失う
これもイメージとしては何かから解放されることですが、場合によっては皮肉として使われます。
The champion was relieved of his title by a younger challenger.
より若いチャレンジャーによって、チャンピオンはタイトルから解放された(皮肉)
形容詞でrelief / relievedを使う
この言葉にはrelievalのような形容詞の固有の形がありません。したがってreliefをそのまま形容詞として使うか、relievedとして「ホッとした、解放された、安心した」の意味で使うかが考えられます。
This money is for the relief fund.
このお金は救済資金だ。
I’m relieved now that the holidays are here.
休暇が来て今はほっとしている。
他にも震災などのニュースでは「relief supply(支援物資)」や「relief center(救済センター)」といった単語が登場します。