英語圏で日本の山田太郎のような名前はJohn Smith(ジョン・スミス)とされています。他にも国によってはある特定の名前が特別な意味合いで使われることもあります。
例えば「ordinary Joe」のような表現でこれは「どこにでもいる平均的なある男」といった意味合いで使われています。
他にも英語圏の名前に関するさまざまな話をコラム的な集めてみました。
この記事の目次!
John Smith(ジョン・スミス)
日本における「山田太郎」のような、どこにでもいそうな名前を意味するのが英語圏ではJohn Smith(ジョン・スミス)となります。
「ジョン」も「スミス」も非常にありふれた名前と苗字なので、映画やドラマでジョン・スミスが登場すると暗に偽名であることを示唆している場合が多いです。
このジョン・スミスはいくつかの映画や漫画でも見つけることができます。
アメリカの古いテレビドラマ『特攻野郎Aチーム』でリーダー通称ハンニバルはジョン・スミス大佐と名乗りますが、これも変装の名人であることなども含めて偽名である可能性を示唆しています。日本の作品ですが『涼宮ハルヒの憂鬱』でもこの名前が重要な鍵になっていました。
しかし日本でも探せば山田太郎さんがいるように、実際にジョン・スミスさんも大勢いると思います。他にも探してみると名前記入のサンプル欄には「Joe Bloggs」「Fred Bloggs」などもあるようです。
各国で問題になった不倫マッチングサイト「Ashley Madison(アシュレイ・マディソン)」が、アシュレイもマディソンもわりと一般的な名前の組み合わせで暗に偽名であることを示唆しています。それがそのまま不倫マッチングサイトの名前になっています。
オーストラリアでは典型的な男性の名前が「ブルース」女性が「シーラ」になる話は以下の記事をご覧ください。
ordinary Joe / average Joe
日常会話や物語で誰かの話をする場合に、その男が誰であるかは重要でない時があります。
名前も重要ではない、ごく平均的などこにでもいるありふれた男、女といった意味です。そこから何かに巻き込まれて話が展開する可能性はありますが、その前では普通の人です。
これを北米では「average Joe」または「ordinary Joe」といったりします。女性の場合は「plain Jane」という言葉が存在しています。
キリンビールで「普通の人が夢をかなえる企画」があり、カンフー映画に憧れるサラリーマンが、ジュッキー・チェンと共演してカンフー映画のお約束を演技していく企画です。
残念ながら映像はもう見れなくなっていましたが、客演として中川翔子さんも出演していました。
Ordinary Joe’s dream of acting with Jackie Chan realized in Kirin beer’s latest epic commercial
どこにでもいる男がジャッキー・チェンと共演する夢をキリンビールの最新の素晴らしいコマーシャルで実現
generic name(一般名・普通名称)
generic nameとは「属名、総称、一般名、普通名称、同種の商品などに一般に使われる呼称」のことです。
Taylor Swift(テイラー・スィフト)さんが有名アイドルと名前が一緒なことが原因でメールアドレスを変更したどうでもいいニュースを流したことがあります。Taylor Swiftさんも、なんら特殊な名前ではなくわりとありふれた名前にはなります。
ほかにもMichael Jackson(マイケル・ジャクソン)なども同様で、日本語でいえば漢字は別としても「きむらたくや」「さとうたける」のように、友達にいてもなんら不思議ではないのがgeneric nameです。
「generic」で「ノーブランドの、無印の、総称の、市販の、パッケージの、全体的な」といった意味があります。
unisex name(中性的な名前)
同じくTaylorは男性、女性ともに使える男女の区別がない名前になります。
英語圏での男女ともに使える名前をピックアップしてもらうと以下のようなものです。
Chris, Pat, Alex, Dana, Hunter, Jamie, Morgan, Robin, Ronnie, Shannon, Terry, Tracey
英語人名は普段は短縮形が使われることも多いです。アダ名やニックネームとも性質が違い、短縮形も本名と同様、より公的に扱われています。
正式名はマイケル (Michael) がマイク (Mike)、マイキー (Mikey)、ミッキー (Micky)、ミック (Mick)などです。
Chrisの場合は男性がChristopher(クリストファー)、女性はChristine(クリスティーン)だったりしますが、短縮すると共にChrisとなり中性的な名前になります。
nickname(ニックネーム)
上にあげたような短縮形の名前でいえば、スティーブの本名はスティーブンで「スティーブなの? スティーブンなの?」とよく質問されています。
これはどっちも正解で、省略しているだけです。先に紹介したようにアレキサンダーがアレックスだったり、マイケルがマイクだったりします。
Steve is short for Steven.
スティーブはスティーブンの短縮だ。
Rob is short for Robert.
ロブはロバートの省略だ。
しかし、こういうのは「ニックネーム」とはあまり呼びません。
世の中にはいろんなマイクやスティーブがいるので省略形ではあるけれど、ニックネームではありません。もっとその人個人につけられる名前で、ニックネームのほうが本名より長くなることもあります。
Eric Clapton’s nickname is Slowhand.
エリック・クラプトンのニックネームは「スローハンド」だ。
Matsui’s nickname is Godzilla.
松井のニックネームはゴジラだ。
アーティストと本名を切り分けている人には「stage name」といった言葉もあります。これは日本語でいう「芸名」に近いものです。
Eminem is Marshal Mathers’ stage name.
エミネムはマーシャル・マザーズのステージネームだ。
scientific name(学名)
「学名」のことで、植物や動物に対する公式な名前のことです。これは2つのラテン語が使われており、1つ目の言葉が分類上の「属」で、2つ目の言葉が生物の「種」を表しています。
The scientific name for this bear is ursus maritimus.
このクマの学名はホッキョクグマです。
This lily goes by the scientific name lilium auratum.
このユリはヤマユリという学名で知られている。
名前を動詞として使う
「we just got Banksy-ed(バンクシーされた)」のように、英語では人の名前を動詞のように使うことができます。これはいかにもその人物が行うような典型的な行為をしたということを示します。
人に見つからないようにストリートアートを描くようなバンクシーらしい行為、いかにもバンクシーらしいやり方、バンクシーに一杯食わされた、のような意味になります。
動詞として使われている人物が誰なのか、何をする人なのかを知らないと意味をつかめない表現ですが、説明をつけているので参考にしてください。
I hoped Donald Trump might be able to Forest Gump himself through the presidency.
私はドナルド・トランプが大統領の任期の間ずっとフォレスト・ガンプできることを期待していた。
フォレスト・ガンプは映画『フォレスト・ガンプ』の主人公で、知的能力に課題を抱えながらも偉大なことを成し遂げた人物です。
フォレスト・ガンプのようにドナルド・トランプにも、知的能力が低くとも偉大なことを成し遂げてほしいと望んでいる、といった意味ですが、トランプが有能な大統領だとは思っていないということをほのめかしています。
She was able to MacGyver a device to hold her smartphone while she ate.
彼女は食事中にスマホを持っておける道具をマクガイバーできた。
アメリカのテレビドラマ『マクガイバー』の主人公、マクガイバーは危険な状況を切り抜けるために、いつも日用品から巧みな道具を作り出しています。彼女も食べながらスマホができるようなうまい道具を作り出すことができたという意味です。
なお、こうした表現に使われる人物は有名人でなければならないということはありません。友達などのグループの中で、何かよく知られた習慣を持つような友人の名前を使うことも可能です。
Don’t [name] me!
他に人の名前が動詞として使われる表現に、Don’t [name] me!があります。相手に怒っていて、気安く自分を呼ぶな、話しかけてくるな! といった表現です。
A:But Joey…
A:でも、ジョーイ・・・
B:Don’t Joey me! I want the money now!
B:ジョーイって言うな! 今はお金がほしい!
例えばAがBからお金を借りているのに期日に返さない、だからBは怒っているといった状況です。
英語圏にも名前の縁起など気にする文化があるのか?
日本でも「4」や「9」が嫌われますが、英語圏でも13日の金曜日に代表される「13」は嫌われる傾向があるそうです。しかし、日本でも4、9を必要以上に気にするのは迷信深い古い世代であって、最近はまったく気にしない人も増えています。
ニュースに「Sadie(セイディ)さん」が登場しましたが、名前に「die」が含まれているのは気になったりするのか質問してみましたが、指摘されるまで気が付かなかったといっていました。つまりまったく気にしてないみたいです。
どちらかといえば発音として変にならないかは注意深くなるみたいです。
たとえば「Mike Hunt(マイク・ハント)」はすばやく発言すると「My cunt(私の女性器)」に聞こえてしまいます。
他にもAmanda Hugginnkissみたいな名前で「A man to hug and kiss」みたいに聞こえます。
こういうのはいたずら電話や、呼び出し窓口の冗談でも使われ「マイク・ハントさん~ いますか?」と大きな声で受付嬢に言わせたり、スタバのバリスタに伝えるみたいな話です。
Chad & Stacy
2018年4月23日にカナダの主要都市トロント北部で、レンタルのワゴン車が歩道に突っ込み10人を殺害する事件がありました。
容疑者の25歳の男性アレク・ミナシアンは「incel(インセル)」と呼ばれる女性蔑視の運動に傾倒していました。
自分たちが女性に相手にされないのは、女性側が悪いと考え、時にはそういった女性に暴力を振ることを罰するとして自分たちを正当化していきます。
その犯行声明に以下のような文言が書かれていました。
“The Incel Rebellion has already begun! We will overthrow all the Chads and Stacys!”
「インセルの反逆はすでに始まっている! 我々はすべてのチャド達、ステイシー達を打倒するだろう!」
このチャドとステイシーは一般的な英単語として存在しているわけではなく普通に人名です。
しかしながら、ステレオタイプな金持ちで社交性のある美男美女を連想させる名前です。場合によっては金持ちイケメン・美女で鼻につくような傲慢さを連想させます。
日本では名前に独自の意味合いがあるのは太郎&花子ぐらいしか思い浮かびませんが、英語でChad & Stacyといえば社交性ある(白人の)美男美女を強く連想させます。
したがって彼の書いた言葉ではChads and Stacysと複数形になっており、そういった美男美女を総合的に指しています。しかし一般的に使われる言葉かといえばそうでもありません。
Karen(カレン)
Karen(カレン)は人名ですが、よくある中年女性の名前の象徴です。
そこから意味合いとして「白人のお金持ち、上流階級の中年女性で無礼でだいたい差別的で傲慢な感じの人」を指して使われています。
典型的な外見は金髪のボブカット、ショートヘアで、お店に文句を言うときは「マネージャー(店長)を呼べ」とかいうような人です。
警察やマネージャーなどの権力を利用するのも特徴で、ひとことでいえば「ややこしい人」です。
They like to watch YouTube videos of Karens freaking out.
彼らはユーチューブでカレンがわめいている動画を見るのが好きだ。
There was a Karen in the supermarket refusing to wear a mask.
マスク着用を拒否するカレンがスーパーマーケットにいた。
YouTubeで「karen」で検索すると不穏な動画がいっぱいあります。