closeはまずカタカナでもよく知られるドアやお店などを「閉める、クローズする」の意味があります。
closed(クローズド)は「閉じている、閉店している」を表す言葉です。お店の看板などでよく見かけたり、カタカナでは「クローズドな集まりがある」といった特定の人しか参加できない閉ざされたものに使うケースがあります。
もう1つが「close(クロース)」でこれは「近い」を意味します。心理的に近いことも表せるので「親しい」といった意味にもなります。
これらが品詞も発音も違うので非常にややこしい部分もあります。ここでは1つ1つネイティブスピーカーに意見を聞きながら整理してみました。
この記事の目次!
close : 閉める・閉店する(動詞)
日本人になじみの深い動詞でドアやお店などを「閉める、閉店する、クローズする」という動作を表す言葉です。動詞としての「閉める」です。
発音はclose【klóuz】クロウズが近いです。
close【klóuz】
He closed the door behind him.
彼は後ろのドアを閉めた。
What time do you close?
何時に閉店しますか?
We close at 10:00pm.
私たちは午後10時に閉店する。
We closed the shop.
私たちは店を閉めた。
最後の例文など「店を閉めた」としか言っておらず「1日の営業を終了した」なのか「店を畳んだ・商売をやめた」の意味なのか曖昧で文脈で判断するしかありません。
このような使い分けは「close down」や「close up」のような表現を使うことである程度は区別することができます。
またこの「閉める」の意味が名詞になったのがclosureで「閉鎖」です。それぞれ以下の別記事にまとまっています。
交渉や取引をクローズ・終える
ドアのような物体やお店などだけでなく、交渉や取引に対してもcloseすることができます。セールス、販売系の世界で「クロージング」といった用語はよく使われます。何かを終わらせることです。
They closed the deal with a handshake.
彼らは握手で取引を終えた。
They closed the negotiation last week.
彼らは先週に交渉を終えた。
これらの交渉や取引が成功したのか? 失敗に終わったのか? は文脈で判断する必要があります。
しかし、目的語が「deal(取引・契約・協定)」「sale(販売)」のような結果に近い性質のものだと成功して丸く収まった感じはします。
一方で「negotiation(交渉)」「meeting(会議)」のような何かへつながる過程に対して用いると成功したのか失敗に終わったのかは不明で、とにかく終わったことぐらいしかわかりません。
closed : 閉店した、閉じた(形容詞)
closed【klóuzd】は形容詞で「閉店した、閉じた」です。クローズド、クロウズドです。
closed【klóuzd】
形容詞なのでbe動詞を伴い「be closed」で「閉店している、閉まっている」となります。
The shop is closed.
そのお店は閉まっている/ 閉店している。
Are you open or closed now?
今、開いてますか? 閉まってますか?
動詞のcloseの過去形・過去分詞も同じ「closed」なので、どのように使われているかは文章の構造や文脈で判断します。
The door is closed.
ドアは閉まっている。
上の例文だと普通は「ドアは閉まっている」と読みます。「ドアは閉められる」という受動態・受け身の文章だと読めなくもないですが現在形で書くのは特に無理があります。
反対の意味にあたる「開店している」は当然「open」です。openも動詞で「開ける、開く」と形容詞で「開いている、営業中」の意味があります。同じ形なのが少し混乱する要素ですね。
閉店を示す看板の「close」はおかしい
日本のお店でドアなどに「close」と書いていることがよくあります。
オーストラリア人のカールがあれはおかしいといっています。彼は文法の本を書くぐらいの細かい人なので普通の人よりはうるさいです。スティーブはまったく気が付かなかったといっています。
closeは動詞で「閉める」の意味があるので、こうドアに書かれると「閉めろ!」「(開けたら)閉めろ」という命令になってしまいます。
ドアにpush(押す/押せ)やpull(引く/引け)と書いてあるのはOKで、その延長でclose(閉める/閉めろ)となります。
したがって、お店が閉まっている状態を指すならば「(we’re)closed」としてclosedと書くのが正しい表記です。英語圏の看板では「close」と書いているところはないと思います。
クローズドな集まり
カタカナでは限定された人しか参加できない閉鎖的な集まり、会議、パーティーなどを指して「クローズドな〇〇」といった表現がたまに聞かれます。
この使い方は英語ではないこともないぐらいです。特に会議やパーティーに使うと先に紹介した「終わった」と混同しやすい問題があります。
また政治的な場面で使われやすい表現で「非公開の、非公式の」といった意味になります。
The treaty was made after a series of closed meetings.
条約は何度かの非公開のミーティングの後で結ばれた。
behind closed doorsで「密室で、秘密で」といった熟語になります。
The treaty was made after a series of meetings behind closed doors.
条約は何度かの秘密のミーティングの後で結ばれた。
上の表現は政治的な文脈で使われる傾向があるもので、もしパーティーやオフ会など選ばれた人しか参加できないものならば「exclusive(制限された)」「secret(秘密の)」「private(プライベートな)などで表現可能ではないかと思います。
英語でもclosed circuit TV(閉鎖回路テレビ)のような使い方はあるにはあります。これは監視カメラのことでカメラとテレビのみの限定された範囲内でしか見れない、一般には公開されない映像だといった意味です。
The thief was caught on closed circuit TV.
泥棒が閉鎖回路テレビ(CCTV)でとらえられた。
close : 近い・親しい(形容詞)
close【klóus】はクロウスで形容詞・副詞の「近い」です。距離的に近いの意味のほかにも、心理的な意味で近い「親しい、近い関係」の意味にもなります。
close【klóus】
The shop is close.
そのお店は近い。
She is my close friend.
彼女は私の親しい友達だ。
She lives close to me.
彼女は私の近くに住んでいる。
語源を調べてみると一説によれば「閉める」とまったく無関係ではなく、扉を閉める場合などには扉同士が近づくことによって閉まることに由来するそうです。また閉まっていることは、がっちりしていて付け入る隙がありません。
ここから「近い、親しい」のイメージにつながっています。
例文を比較してみます。
This restaurant is closed.
このレストランは閉店している。
上の例文だと「営業していない」の意味です。
This restaurant is close.
このレストランは近い。
上の例文だと場所が距離的に近いという意味です。「あのレストランと親しい」と読めなくもないですが、もうちょっと別の書き方が必要です。
My family is close with this restaurant.
私の家族はこのレストランと親しい。
This restaurant and my family are close.
このレストランと私の家族は親しい。
あるいは「レストラン」ではなく「レストランのスタッフ(シェフ、オーナー)」と仲がいいと対象を変えれば意味がはっきりします。
おしい! 近い!
このクロースはクイズや質問などで正解ではないけれど近い場合にもよく聞かれます。
You’re close.
惜しい(近い)
これも答え・正解に対して近くなっているという意味で考え方としては同じです。
Close but no cigar.
おしい。
上の表現も古くからあるイディオムで「近いけど、葉巻はあげないよ」みたいな意味です。ここでのcigar(シガー)は景品になるような葉巻です。
クイズの答えや物事がいい線をついている(けど正解ではない)場合には聞かれる表現です。もちろん正解だったとしても葉巻をあげる必要はなくこういう表現です。
ほかにもclose shaveで「危機一髪」のような表現もあります。
come close
近づく、接近する、近接する、もう一歩のところであるといった意味です。
ポイントとしては日本語と同じで近づいているだけであって、達成していない点です。
Hilary Clinton came close to becoming the president.
ヒラリー・クリントンは大統領にあと一歩だった。
I came close to beating my high score yesterday.
昨日、ハイスコア更新にあと一歩だった。
He never came close to beating me at Call of Duty.
『コール オブ デューティ(ゲーム名)』では彼は相手にもならなかったね。
notやneverで否定すると「接戦になっていない」であり、大差で圧倒していることを意味します。
動詞:接近する、近づく
closeだけで「接近する」の動詞での意味もありますがほとんど使いません。
My birthday is closing.
△ 誕生日が近づいている。
この場合はsoonなどを使えばいいのであって、あまり動詞では使いません。「close in(近づく、接近する)」「close in on(~にだんだんと近づく)」の形ならば見かけます。
Bad weather closed in.
悪天候が近づいた。
The fighter jets were closing in on the enemy based.
戦闘機は敵の基地にじょじょに近づいていた。
She was closing in on her dream of becoming a lawyer.
弁護士になるという夢に彼女はだんだんと近づいていた。
この近さ、親密さのcloseが名詞になったものは「closeness」です。閉めるの名詞である「closure(閉鎖)」とはまた違った単語です。以下の記事にまとめているのであわせてごらんください。