英語学習者ならば当然のように意識している「S」をつけたりする複数形と単数形ですが、この言葉・用語そのものは「singular」と「plural」と呼ばれます。
「singular」は文法解説用語の「単数形」以外にも「驚くような、並はずれた」「奇妙な、特異な」といった意味でも使われることがまれにあるので注意が必要です。
逆に「plural」は文法用語の複数形を指す以外には、あまり使われない言葉です。ここでは「singular」と「plural」という言葉そのものについて解説しています。
英語での複数形・単数形の使い方をお探しの方は記事の最後にある複数形・単数形を使った記事を参考にしてください。総じて英語は複数・単数の概念にうるさい言語だといえます。
singularの意味と使い方
singularといえば英語学習者にとっては文法用語としての「単数形」を表す言葉として知られています。三人称単数は「3rd person singular」です。
singular【síŋgjələr】
singularという言葉そのものは名詞・形容詞で「単数形、単数の」を表します。
英語の単語を単数形から複数形にするには「S」をつけるのが基本ルールですが、以下のように変則的なものも探せば無数にあります。
The singular for “feet” is “foot.”
「feet」の単数形は「foot(足)」です。
“Medium” is the singular form of “media.”
「Medium」は「media(メディア)」の単数形です。
ニュースでは文法用語以外で、実際に「単一の、1つの」といった意味合いで使われたことがありました。
建築家の磯崎新氏が今年のプリツカー賞を受賞したニュースからで、彼の建築スタイルを以下のように描写しています。「一つだけ、単数(であることを拒む)」の意味で使われています。
His work defies a singular style, drawing from architectural history and theory as well as modern influence.
彼の作品は単一のスタイルを拒み、建築の歴史や理論と同様に近代の影響も受けて描かれる。
驚くような、並はずれた
それほど一般的ではありませんが「驚くような、並はずれた」といった意味で形容詞で使われます。
He is a singular talent on Broadway.
彼はブロードウェイで驚くほどの才能のある人だ。
Winning the Nobel Prize was a singular achievement in her life.
ノーベル賞を受賞したことは彼女の人生において並はずれた功績だった。
奇妙な、変わった
めったには使われませんが「奇妙な、変わった」といった意味もあります。こちらも形容詞です。
The appearance of a rainbow at night was a singular phenomenon.
夜に虹が現れることは奇妙な現象だった。
どの意味かは文脈で判断するしかなく、先に紹介した建築家の磯崎新氏のニュースでは後ろに多様性を示す内容が続いているので「一つだけ(であることを拒む)」の意味で使われているのだと判断できます。
pluralの意味と使い方
その対になる概念としての複数形はpluralです。pluralは言語的な「複数形、複数の」を表す以外はあまり使われない言葉で、singularのような別の使い方は日常会話レベルではほぼありません。
plural【plúərəl】
The plural for “foot” is “feet.”
「foot」の複数形は「feet」です。
“Media” is the plural form of “medium.”
「media」は「medium」の複数形です。
世の中には複数形のままカタカナになってしまった英単語がけっこうあります。例えば「ドーナツ」「ココナッツ」「スポーツ」「シューズ」などです。
これらは当然、1個だけであれば「doughnut」「coconut」「sport」や、履物は片方ならば「shoe(シュー)」「sock(ソック)」のように「S」がつかない形になります。
また逆に「earrings(イヤリングズ)」「panties(パンティーズ)」「slippers(スリッパーズ)」「DVDs」のように英語では複数形で使われるケースが圧倒的に多いけれど、カタカナでは単数形に置き換えられているものもあります。