靴は日本人には「1足」と感じるものであっても、物体としては左に1個、右に1個で2個あるため英語では「shoes(シューズ)」のように複数形にする必要があります。1足、2足と数える場合には「a pair of」を使います。
これらのルールは履物全般に適応されるのでカタカナでは単数形になっている言葉でも、英語では「sneakers(スニーカー)」「slippers(スリッパ)」「sandals(サンダル)」「stockings(ストッキング)」のように複数形で表現されることが多いです。
ここでは靴・シューズにまつわる英語表現や文法的なルールをネイティブスピーカーに聞いてまとめています。
靴以外で単数・複数についてお探しの方は『メガネ(glasses)とハサミ(scissors)の複数形』『パンツ(pants)が複数形になる理由』をご覧ください。
この記事の目次!
単数形(shoe)と複数形(shoes)の違いと使い方
英語では靴(くつ)を表す場合には通常は1足であっても複数形の「shoes(シューズ)」と表現されます。これは左で1個、右で1個で合計2個の物体から成り立っているためです。日本語では「一足」であっても英語では複数形として扱います。
もし1足(1組)、2足(2組)と数える必要があるならば「a pair of」を使うことになります。
I want a pair of shoes.
靴が1足ほしい。
I want two pairs of shoes.
靴が2足ほしい。
He has many pairs of shoes.
彼は多くの靴を持っている。
Do you want a pair of Nike shoes?
ナイキの靴、1足ほしい?
He has a pair of red shoes.
= He has a red pair of shoes.
彼は赤い靴を持っている。
ただし特に数える必要のないケースや1足2足という必要がない場面もあるので、その場合は以下の例文のように普通に表現できます。
He has many shoes.
彼は靴をいっぱい持っている。
I want to buy some shoes.
靴を買いたい。
I want to buy a shoes.
(a + 複数形なので間違いです)
Do you want Nike shoes?
ナイキの靴は欲しい?
現実的ではない言いがかりのような解釈をすれば「I have 20 shoes.」「He has many shoes.」は全部がクツの右側のみであるといった考えも可能ですが、それはあまり意味がないのでそこまで考える必要はないと思います。
また特定のブランドのシューズを漠然と欲しい場合はブランド名を複数形にすることも可能です。
Do you want New Balances?
Do you want Nikes?
Do you want Reeboks?
単数形のshoe(シュー/ 片方)の使い方
単数形の「shoe」はもちろん「片方の靴」を指す場面ならば登場する可能性があります。また慣用句や古い単語では単数形が見られることがあります。
例えば靴が片方だけ見つからない場面もあると思いますが、そこではshoeが登場します。
Where is my shoe?
俺のクツ(片方)どこだよ?
ジャスティン・ビーバーがコンサート中に靴を会場に放り投げて、コンサートを見ていた女の子の彼氏がたまたま片方をキャッチしてオークションに出したニュースからです。
Her tall boyfriend just happened to be in the path of Bieber’s Yeezy brand shoe after the singer flung his pair into the crowd.
彼女の背の高い彼氏が、ただビーバーが観衆に向かって投げ捨てたイージー(アディダス)の靴の進路に居合わせただけだった。
また靴屋は一般的には「shoe store」のように単数形になります。
There is a big shoe store here.
ここに大きな靴屋がある。
靴を履く、靴を脱ぐ、靴が脱げる
靴は服と扱いが一緒になるので履いている状態はwearを使います。これは履いているという状態を表す言葉です。
「靴を履く」という動作はput onを使います。また脱ぐ場合はtake offで表すことができます。
He put on a pair of shoes this morning.
He put on shoes this morning.
彼は今朝、クツを履いた(身に着けた)
He is wearing a pair of shoes.
He is wearing shoes.
彼はクツを履いている(履いている状態だ)
He took off a pair of shoes.
〇 He took off his shoes.
彼はクツを脱いだ。
「a pair of」は数える場合に必要にはなりますが、1人の人間が履いているクツは1足なのは当たり前なのでわざわざ言う必要がありません。特に脱ぐ場合にa pair ofを入れると少し自然さに欠ける文章です。
また誤ってクツが脱げてしまう状況は「fall off」「come off」を使って以下のように書くことができます。
One of his shoes fell off while he was running.
One of his shoes came off while he was running.
彼が走っている間に片方のクツが脱げた。
ブーツ、スニーカー、ソックス、ストッキングなどにも当てはまる
これらのルールは「shoe / shoes(シューズ)」にだけではなく、左右で1組になっている履物すべてに当てはまります。
例えば複数形のままカタカナになっている「socks(ソックス・靴下)」や「boots(ブーツ)」などがわかりやすいです。
しかし、カタカナでも使われているけれど複数形に注意しないといけないのは「sneakers(スニーカー)」「slippers(スリッパ)」「sandals(サンダル)」「high-heels(ハイヒール)」「stockings(ストッキング)」などがあります。
She wears high-heels.
She wears a pair of high-heels.
彼女はハイヒールを履いている。
High heels make her feet hurt.
ハイヒールが彼女の足を痛くしている。
I don’t wear slippers.
私はスリッパは履かない。
Nike’s new series of sneakers are selling well.
ナイキの新しいスニーカーのシリーズはよく売れている。
My sandals are too old.
私のサンダルは古すぎる。
These are the strongest boots I could find.
これは私が見つけることができた最も頑丈なブーツだ。
She tore her stockings on the table.
彼女はストッキングをテーブルで破いた。
これらは普通は左右で1セットなので複数形で登場することが圧倒的に多いです。しかし、片方を表すならば当然のように単数になります。
She hit the spider with a slipper.
彼女はスリッパでクモを叩いた。
他にもさまざまな靴の種類があり、基本的にはどれも複数形で扱われる性質を持っています。あげていけばきりがありませんが「loafers」「flip-flops」「clogs」などがあります。
問題になるのは外国語の場合で、例えば「下駄(ゲタ)」をどう扱うか? 複数形にする必要があるかどうかは明確なルールがありません。
「getas」とするのか「geta」とするのか、pair ofをつけるのか、はっきりとしません。
There isとThere are
shoesが複数形なのでThere isとThere areの書き方も注意が必要になります。どこの部分を単数形にとっているか、複数形にとっているかで判断してください。
There is a shoe.
(片方だけのクツ)
There are shoes.
(何足かは不明ですが複数のクツ)
There is a pair of shoes.
(靴が左右で1足)
There are two pairs of shoes.
(左右1足のクツが2組)
代名詞を使う場合の注意
細かな文法上のルールになりますが、例えば複数形のクツは「this」ではなく、一足であっても「they」「these」などになります。
これらが会話や文章の中でより複雑になってきます。以下のような文章はやや正確性にかけます。
New Balance shoes are one of the few made in the USA.
ニューバランスの靴は数少ないアメリカ生産の靴の1つだ。
みんな気にしていないのでごく普通に使われていますが、この場合のone of the(~の中の1つだ)はoneは単数形を指し、ここではシューズを指しています。
シューズ(shoes)は常に複数形なので、シューズに対して単数形を表すoneを使うのは文法的な正確さにややかけるだろうという話です。
正確さを追い求めるならば以下のように書けます。
New Balance shoes are among the few made in the USA.
a pair ofの使い方
言葉の意味としては「1組の、1対の」ですが、文脈によっては単純に「2個」の意味しかありません。
I have a pair of cars.
= I have two cars.
車が2台ある。
この言い方をする必要はどこにもありませんが、上の場合「2台の車を持っている」としかいっておらず、別に同じ車種の色違いのように対・組になっている必要はありません。
Two mangoes were sold today. The pair went to a restaurant in Tokyo.
2個のマンゴーが今日、売れた。このペアは東京のレストランに行った。
上の例文も単純にpairは2個の意味でしかなく「風神・雷神」のように対になっている必要はないという話です。
How many shoes do you have?
靴を何足持っている?
上のように質問された場合には以下のように答えることができます。
I have ten pairs.
= have 20 shoes.
10組(20足)ある / 左右あわせて20個ある。
どちらで答えても同じことを意味します。
日本人にはあまり感覚がないハサミと眼鏡や、パンツの複数形については以下の記事をご覧ください。