カタカナになっている「revenge(リベンジ)」は「復讐、報復、仕返し」の意味ですが、基本的には名詞で使われる言葉であって「仕返しする」という動詞では見られない単語です。仕返しするならば「get revenge」の形にするか、動詞の「avenge」を用いるのが一般的です。
avengeは誰に対して何を復讐するのか、言葉の使い方が少しややこしいので順番に整理しています。最近では『revenger(リベンジャー)』や『avenger(アベンジャー)』が映画や漫画のタイトルにもなっているので、これらの使い方も整理しています。
revenge(リベンジ)の意味と使い方
カタカナでも広く使われている「revenge(リベンジ)」は「復讐、報復、仕返し」の意味ですが、英語では基本的には名詞で使われる言葉です。いちおう辞書には動詞で「復讐する」として掲載はありますが、ほぼ使われていません。
In the Edo Period, revenge killings were permitted.
江戸時代には、敵討ちは認められていた。
The gang took revenge on their rivals by stealing their car.
ギャングは、車を盗むことで、ライバルたちに報復した。
「誰かのために復讐する(for)」「誰かに対して復讐する(on / against)」を言い表す場合にはget revengeの形が見られます。onのほうが広く使われている印象もあります。
I got revenge for my girlfriend.
私は恋人のために復讐をした。
She got revenge on(against) her tennis rival.
彼女はテニスのライバルに仕返しをした。
I got revenge on(against) him.
私は彼に復讐をした。
He got revenge on(against) his ex-girlfriend.
彼は元彼女に復讐した。
上のテニスの例文だと「リベンジした、仕返しをした」としか書いていませんが普通に解釈すれば「(1回負けたけれど)勝ち返した」みたいな感じで受け止められます。
また相手が人間でない場合には、あまり一般的ではありません。
I must get revenge on TOEIC.
(詩的な表現)
TOEICを人間に見立てた詩的な表現としてならばありますが普通はいいません。challengeにもいえますが、TOEICのテストは別に意思をもたず、私たちを倒そうとも思っていないからです。
リベンジマッチ
格闘技などで見られる「リベンジマッチ」は、英語でも間違いではありませんが「grudge match」が一般的です。「grudge」には「恨み、怨恨、わだかまり」のような意味があります。
だいたい一度、負けた相手からのリクエストで試合が行われるので、意味合いとしてはカタカナの「リベンジマッチ」とほぼ同じです。
△ This is a revenge match.
〇 This is a grudge match.
これはリベンジマッチだ。
revenger(リベンジャー)
revenge(リベンジ)は基本的に名詞ですが、かろうじて動詞でも使われているので「リベンジする人」という意味でのrevenger(リベンジャー)は成立しないことはありません。
しかし、revengerでは辞書に掲載はなく、少なくとも英語圏では見たことがない言葉だといった意見でした。
ネット検索すると、和久井健さんによる漫画、ならびに映画、アニメの『東京卍リベンジャーズ(Tokyo Revengers)』や、韓国映画の『Revenger(リベンジャー)』がひっかかりますが「Revenger」はアジア圏で見られる和製英語っぽい使い方だと考えられます。
avenge(アベンジ)の意味と使い方
動詞で「復讐する、仕返しをする、報復をする」はavengeが使えます。名詞の「revenge」と比較すると、revengeが「仕返し、報復」といった殺人以外の手法も含まれてくるのに対して、avengeは「正義の行い」「悪を罰するような復讐行為」で「人を殺す(かたき討ち)」といった面が濃くなっています。
もちろん例外はあると思いますがavengeは「大義がある正しい行い / 敵を討つ」に使われる傾向があります。
また目的語の取り方、誰に対してavengeするのかが少しややこしいです。
She avenged her father by killing the mob boss.
彼女はギャングのボスを殺すことで、父親の仇を討った。
Before my father was killed he told me to avenge him.
父親は殺される前に、私に仇を討つように言った。
上の例文のように、avengeの目的語は「敵・相手」ではなく、敵討ちを捧げる相手を置くことになります。もしくは、敵討ちの対象となった行為です。
She avenged her father.
彼女は父親の仇をとった。
She avenged her father’s death.
彼女は父親の死の仇をとった。
上の例文はどちらも父親に捧げた、父親の死に報いたといった意味です。
He avenged all the insults from his classmates.
彼はクラスメートからのすべての侮辱に仕返しをした。
このように復讐の対象となった行為、復讐を捧げる相手を目的語にとるのが一般的な使い方で、「敵・相手」をとらない点には少し注意がいります。
avenger(アベンジャー)
この「正義の行い、悪を罰するような復讐行為」をする人々はavengerと呼べます。マーベルコミックの有名な映画になっていますが、こちらは辞書に「avenger(復讐者、敵を討つ人)」として掲載があります。
A group of avengers captured the thief and sent him to the police.
アベンジャーズの集団は泥棒を捕まえて、警察に送り付けた。