flat(フラット)は基本的には「平らな、曲がっていない」の理解で十分だと思いますが、いくつか特殊な使い方も見られます。有名なのはイギリス英語ではflatはアパートを指します。
パンクしたタイヤを「flat tire」や単に「flat」と呼ぶこともあります。またflat outで「すっかり、はっきり、全力で」といった使い方もされます。
ここではflatの使い方を例文にまとめています。特に難しい言葉ではありません。「平ら」であることの意味が広く使われています。
flat(平らな)の意味と使い方
基本的には形容詞で「平らな」の意味で問題ないと思います。曲がっていない水平な状態や直線です。
The ground was flat so we made a soccer field here.
地面が平らだったので、私たちはここにサッカー場を作った。
He made the blankets flat on the bed.
彼はブランケットをベッドに(平らに)敷いた。
ここから「金利や料金などが固定」を意味することも多いです。住宅ローンで35年間金利が固定される「フラット35」などの商品も存在しています。
おそらくグラフなどに描いた場合、固定であるため平らになるからだと思います。ほかにも「固定料金」などを意味することができます。
There is a flat fee for data usage.
データ利用量に対して固定の料金だ。
The lawyer charges his clients a monthly flat rate.
その弁護士は依頼者に月額料金を請求する。
Netflix lets you watch as much as you want for a flat rate of 800 yen a month.
ネットフリックスは毎月800円の定額料金で好きなだけ見れます。
また「丸くない、曲がっていない」のようなイメージからはお腹が出ていない、つまり太ってはいない、痩せているといった意味でも使われます。
She has a flat stomach.
彼女は平らなお腹だ。
注意点としては比較級の「より平ら」はflatterになってしまい「お世辞」と一緒のスペルになります。
flat tire(パンク)
自転車や車のタイヤのパンクについては「flat tire」や省略されて「flat」とも呼ばれます。
「平らなタイヤ(flat tire)」がなぜパンクになるのかは上の写真のように、パンクすると地面に接している部分は空気が入っていないので底の部分が平らになります。
She has a flat tire.
= She has a flat.
彼女の(乗り物)がパンクしている。
もちろん2つのタイヤがパンクしていれば複数形になります。
My car has two flat tires.
=My car has two flats.
車のタイヤが2つパンクしている。
haveを使えば「パンクしている」の意味ですが、get a flat(パンクする)では「パンクになる」と状態の変化を表す言葉になります。
puncture
パンクが間違いとも言い切れず、イギリスではタイヤのパンクを「puncture」ともよく表現されます。
I took my bike to the shop to fix a puncture in the front tire.
私は前輪のパンクを修理するために店に自転車を持っていった。
名詞・動詞の両方で使え、タイヤなどの表面に小さな穴を開けてしまうことで「〜に穴を開ける、パンクさせる」を意味します。
He was late for work because his ex-girlfriend punctured his tires.
彼は仕事に遅刻した、なぜなら元カノが彼のタイヤをパンクさせたからだ。
The scissors punctured her arm and she needed stitches.
ハサミが彼女の腕に刺さって、縫わなければならなかった。
彼女の腕にハサミで穴を開けることは、腕にハサミが刺さるということになります。
punctual(時間を守る)やpointも語源をたどると親戚で、ある1点にピンポイントであわせてくるイメージです。
ただし略して「パンク」といってしまうと音楽のジャンルのパンクをイメージさせます。
flat(out)の意味と使い方
何かを強調する意味でcompletelyと似た感じで使われますが、たいていネガティブなことに対して用いられます。
無理に日本語にすると「全く、すっかり、はっきり、全力で」みたいな感じです。outは省略されるケースもあります。
I’m flat (out) broke.
まったく金がない。
He is flat (out) wrong.
彼は完全に間違ってる。
「flat out」の形ではまだネガティブでないことに用いられることが多いです。
その場合は「全速力で、全力を尽くして、一生懸命に」といった感じで、こちらも強調する意味で用いられます。
He ran over flat out.
彼は一生懸命に走った。
She worked flat out all night.
彼女は夜を徹して必死に働いた。
flatten(平らにする)
英単語には「en」が頭や後ろにつくものがあります。意味としては「to make ~」で「~にする」と解釈するとわかりやすいかもしれません。flattenは「平らにする」です。
She flattened the dough to make cookies.
彼女はクッキーを作るために生地を平らにした。
Wearing a hat all day flattened my hair.
帽子を1日中かぶっていたので髪がぺちゃんこになった。
「flatten the curve(カーブを平らにする)」はコロナの状況における2020年の今年の言葉の上位に入っていました。感染者数の増加のグラフを思い浮かべると、その上昇カーブを抑えて、グラフを平らにするといった意味で使われています。
イギリス英語のアパート
イギリス英語ではアパート(apartment)、カタカナでいうマンションがflatと呼ばれます。
語源を調べてみると、アパートなどは1階建てなのでキッチン、お風呂、部屋などすべてが同じフロアの平らな部分にあるみたいな部分に由来する説がありました。
有名なダジャレがあるのでご紹介しておきます。
She criticized my apartment, so I knocked her flat.
彼女は私のアパートを批判した。だから私は◯◯◯した。
◯◯◯は2つの解釈が可能です。これでダジャレになるのは、まずknockにはcriticize(批判する)の意味があります。
彼女のフラット(アパート)を批判したと読めます。
一方で「knock someone flat」で相手をパンチで殴って地面にダウンさせることです。これは地面に対して平らに寝そべるからでしょう。
結局は「彼女を殴ってダウンさせた」とも「彼女のアパートを批判した」とも読めるダジャレになっています。
カタカナのマンションとアパートについて解説した記事があるのであわせてご覧ください。
flat-Earther
flat-Eartherとは地球が平らであること、地球平面説を信じる人々のことです。
Flat Earth(地球平面説)は古くからある考え方で、日本には16世紀後半まで地球という概念が存在しなかったそうです。日本に地球が丸いことが伝わったのはフランシスコ・ザビエルの頃です。
それを今でも信じている人が、世界的にはかなりの数になるそうです。その中でラッパーのB.o.B.が地球が平らであることを証明するためのクラウドファンディングをやっていました。
The cities in the background are approx. 16miles apart… where is the curve ? please explain this pic.twitter.com/YCJVBdOWX7
— B.o.B (@bobatl) 2016年1月25日
彼のツイートの写真の後ろには、地平線が見えますが地球が丸いんだったら、こんな直線にはならないだろう、誰か説明しろよ、という主張です。
American rapper B.o.B. has started a GoFundMe campaign to raise money so that he can launch a network of satellites into space and prove that the Earth is flat.
アメリカのラッパー、B.o.Bが「GoFundMe」での資金集めのキャンぺーンを開始した。人工衛星のネットワークを宇宙に打ち上げて、地球が平らだと証明するためだ。
B.o.B. is one of the surprisingly large number of “flat-Earthers” who believe that if the Earth were truly as round as they are told, then its curve should be more easily seen.
B.o.Bは驚くべきことに大量にいる「アース・フラッター」の一人であり、もし地球が本当に教えられているように丸いならば、その丸み(カーブ)はもっと簡単に見えるはずだと信じている。
クラウドファンディングでは6000ドル(67万円)まで集まったのは確認しましたが、その後どうなったんでしょうか。