よく災害などの報道で見かける言葉でfatalityは事故、災害などによる「死」を意味する言葉です。death(デス)と似ていますが、デスは自然死・寿命なども含めていえるので少しニュアンスが違います。
casualtyはよく「死傷者」と訳されることが多く、死者と負傷者の両方を含むことができる点で違います。しかし、ネイティブスピーカーでもどこまで正確に運用されているのかは不明です。
比喩として使った場合にもfatalityとcasualtyでニュアンスが違ったりするので、使い方を例文にまとめています。
fatalityの意味と使い方
fatalityもdeathも、どちらも「死」という名詞です。
death(デス)はどのような死に対してでも全般的に使える言葉ですが少し直接的な表現です。
一方のfatalityは事故や殺人、病気などで早すぎる死に至ったような場合に用いる言葉です。発音は以下の音声で確認してください。
fatality【feitǽləti】
置き換えても問題ない場合もあれば、明らかに変なケースもあるのでご紹介します。以下は置き換えても意味が同じケースです。
The fatalities (= deaths) from the war have totaled over 1,000.
その戦争の死者は合計で1000人を超えた。
Traffic fatalities (= deaths) have been decreasing each year.
交通事故の死者は毎年減少している。
以下の場合は置き換えると少し変です。
Deaths due to old age occur at higher ages here than in other countries.
ここでは高齢による死は他国よりも、より高い年齢で起こっている。
▲ Fatalities due to old age occur at higher ages here than in other countries.
(表現として変です)
「高齢者が他の人を殺している」などなら別ですが、上の場合には自然に起こる死であって、これにfatalityを使うと変です。deathのほうが自然な死を表しています。
死者・亡くなった人
fatalityは亡くなった人そのものを表すことも可能です。これも同じく性質として事故、殺人、病気などの自然ではない犠牲者的な意味があります。
He was the last fatality of the mass shooting.
彼は銃乱射事件の最後の死者だった。
この意味ではdeathで置き換えると変です。
▲ He was the last death of the mass shooting.
(変な表現です)
casualtyの意味と使い方
casualtyもだいたい複数形で「事故などによる」死傷者、犠牲者として用いられます。deathよりも丁寧な表現です。
casualty【kǽʒuəlti】
fatalityが明確に「死」を意味しているのに対して、casualtyは「死者」と「負傷者」も含めることができる点で違います。死傷者と考えてもいいと思います。
casual(カジュアル)と同じ語源で元は「偶然、偶然の機会」みたいな意味があります。そこから偶然による事故や戦争での犠牲者などを表すようになったのがcasualtyです。
また偶然であることは、はっきりしない、先が読めないことで、このあたりの意味がカタカナでも使われる「casual(カジュアル)」の意味につながっています。
There were no casualties from the earthquake.
地震での死傷者はなかった。
The police rescued the hostages without any casualties.
警察は死傷者なしで人質を救出した。
上の例文だとdeathで置き換えても似たような意味になります。
There were no deaths from the earthquake.
The police rescued the hostages without any deaths.
(似たような意味になります)
また以下のように使うこともできます。
The car accident resulted in one casualty.
車の事故で1人の死傷者が出た。
casualtyは曖昧な要素がある言葉で日本語の「死傷者」と近いです。怪我人、負傷者がいる、何人か亡くなっているならばそう書くはずであって、それが書かれないのは本題ではないか、不明かなどの理由があると思います。
Continuous bouts of heavy rain has lead to hundreds of evacuations and some casualties on the island of Kyushu.
連続した大雨の期間が、九州で数百人の避難と何人かの死傷者につながっている。
上は実際のニュースからですが、亡くなったのか怪我なのかは、この情報だけでははっきりしません。
casualtyとfatalityの違い
casualtyとfatalityの違いはすでに説明したような根本的な差のほかにも、比喩として使った場合にも差がでます。
The company was a casualty of the recession.
= The company was a victim of the recession.
その会社は景気後退の被害者・犠牲者だった。
上のような例文の使い方ができ、おそらくこの会社は悪い影響を景気後退によって受けたのだと思います。
The company was a fatality of the recession.
その会社は景気後退の死者だった。
上のように書くと「fatality」は死を明確に指しているので、会社の場合だと倒産のような状況になったのだと判断されます。
casualtyも倒産している可能性はありますが、おそらく悪い影響を受けた犠牲者ではあるものの生き残っている可能性もあります。
関連としてtollもよく死者数を表すのに使われます。