deliver(デリバー)も意味が多くある動詞で、一般的には「配達する」として知られますが、同じぐらい「出産する」の意味でも登場します。
この意味を知らないと完全に読み違える要素のある単語です。「delivery(デリバリー)」でカタカナでもおなじみの「配送、配達」を表す名詞です。
使い方が豊富なので意味を一通りまとめてみました。
この記事の目次!
deliver(デリバー)の意味と使い方
deliverはいくつか幅広いイメージがありますが、基本的には届けること、もたらすことであり、そこにある程度の距離感と労力がかかるような行為全般に使われる傾向があります。
主な使われ方は「配達する、配送する」のほかに「出産する」があります。
出産する
deliverが「出産する、子供を産む」の意味で使われているケースも多くみかけます。普通はその後ろにbabyを表す単語がセットになっているはずです。例文を参考にしてください。
She delivered a healthy baby boy.
彼女は元気な男の子を出産した。
She delivered the baby early.
彼女は早期に出産した。
She will deliver the baby next month.
彼女は来月に出産予定だ。
deliver a babyには「出産、分娩で赤ん坊を取り上げる」の意味もあります。
He is the doctor who delivered Beyonce’s babies.
彼はビヨンセの子供たちをとりあげた医者だ。
動物などにはbirthが使われたり、give birthなどでも同じ意味になります。
配送する・配達する・届ける
もちろんピザや宅配便などを「配達する、届ける」の意味でも使うことが可能です。これは後で紹介するdrop offでも表現可能です。
Domino’s delivers a pizza in thirty minutes.
ドミノは30分以内にピザを配達する。
I am trusting him to deliver the package by tomorrow.
私は彼が明日までに荷物を配達してくれると信じている。
She delivered a memo to me.
彼女はメモを私にくれた。
メモの例文などもgiveに近い意味ですが、目の前で気軽に渡したというよりも、少し距離があってわざわざ届けにきたといったニュアンスです。
物体だけではなく、ニュースなどを「配信する」の意味でも使えます。
RocketNews24 gets over 50 million hits a month and is widely known for delivering unusual and alternative news.
ロケットニュース24は月間5000万ページビューを超え、一般的ではない珍しいニュースを配信することで広く知られている。
他にもdeliver a speech(スピーチをする)といった表現や、日本語の「配送する、配達する」よりも広い意味で使われます。
He delivered a speech.
彼はスピーチをした。
They held a seminar on improving the ways doctors can deliver care to their patients.
彼らは医者が患者に治療を提供する方法を改善するセミナーを開催した。
実現させる、果たす
他には仕事などで「職務を遂行する、実行力がある」といった感じで使われます。上に書いたセミナーの例文も近い意味です。
He made a promise and he delivered.
彼は約束し、そして実行した/やり遂げた。
Great job! You really delivered on that project.
いい仕事だった! きみはあのプロジェクトでよくやってくれたよ。
delivery(デリバリー)の意味と使い方
名詞が「delivery」であり「配送、配達」としてよく知られます。カタカナでもよく聞かれる「デリバリーピザ」のような言葉です。
ただし、上にあげた動詞のdeliverの意味がそのまま名詞にもなるので「出産」の意味もあります。
The delivery took three hours.
その出産は3時間かかった。
The baby’s head was injured during delivery.
赤ちゃんの頭が出産の間に傷ついた。
また当然のように「デリバリーピザ」のような使い方も可能です。
He runs a pizza delivery service.
彼はピザの宅配サービスを経営している。
Delivery staff often have to work in bad weather.
しばしば配送スタッフは悪い天気でも働かないといけない。
drop offとdeliverの違い
drop offには「運搬車などから物品をおろす、納入する」の意味があるので宅配するようなことにも使えます。
言葉のイメージとして「drop off」は(目的地について)素早く簡単な感じで届けることを、deliverはややそのプロセス・過程(距離があったり労力をかけている)を重視したように響く表現です。
もちろん人によって受け止め方は違いますが、日本語でいう「届ける」と「配送・配達する」のような言葉のイメージの違いと似ています。
アメリカの企業ではしばしばフレンドリーで日々の生活にある身近な存在であることを演出するために「drop off」が好んで使われることがあります。
結局は何を伝えたいかによる言葉の使い分けです。いくつか例文を掲載します。
〇 I have to drop off this shirt at my sister’s on the way to work.
△ I have to deliver this shirt at my sister’s on the way to work.
仕事に行く途中に、妹のところにこのシャツを届けないといけない。
表現としてはどちらも可能ですが、妹にシャツを届けるのに「deliver(配送する)」は堅すぎる言葉遣いです。
同じ企業・業種でも使う場面で言葉の選択が変わる可能性があります。
◎ The company delivers pizza all over the city.
〇 The company drops off pizza all over the city.
その会社は町中にピザを宅配する。
上の例文の場合は運営している「会社」についての文章であり「店舗」ではないので、ちょっとdrop offだとシンプルすぎて、仕組み・販売網として洗練されていない感じが多少あります。
At Pizza Hut, we’ll drop off(=deliver)your order in under 30 minutes!
ピザハットでは、30分であなたのオーダーをお届けします!
お客さんに直接語りかける広告文の場合はどちらもOKです。好みの問題もあると思います。drop offはフレンドリーな感じが伝わるし、deliverは努力している、企業としてちゃんと配送している感じが伝わります。
厳密にいえばdrop offは「目的地で荷物などを降ろす(結果)」であり、deliverは「目的地に向かって配送する(過程)」であり少しニュアンスレベルで差がでるケースもあります。しかし、以下の例文などもほぼ同じような意味になります。
I dropped off the car keys at his house.
I delivered the car keys to his house.
私は自動車の鍵を彼の家に届けた。
deliverを使ったほうがやや届けるまでの過程を重視した表現になります。
配達場所に向かっていく過程なのでdeliverには方向を示すtoを使い、drop offは配達場所・目的地で降ろすイメージから地点を表すatが前置詞になっている点でも、根本的な部分でのニュアンスの差があるのは事実です。
業者を使って届けるか? 手渡しか?
「この書類を届けるよ」といった場合に、それが自らの手渡しなのか、宅配業者を使うことを意味するのか、どっちなのか確認してみました。
① I will courier those documents to you.
①はcourierを動詞で使っており「宅配便で書類などを配達・送付する」の意味なので宅配業者を使うことを意味しています。
② I will send you those documents by a courier.
②もsend(送る)なので99%ぐらい宅配業者、郵送ネットワーク、郵便を使って送付することを意味します。
③ I will deliver those documents to you.
③ぐらいになると微妙で、これだと「ひょっとしたら宅配業者ではなく、言った本人が届けてくれるかも」といった伝わり方になります。
④ I will hand deliver those documents to you.
④の表現になると100%本人が手渡ししてくれることを意味します。
もし自分が持っていくことを確実に伝えたいならば「hand deliver(手渡しする)」を使ってください。