maternity(マタニティー)はカタカナでもよく耳にしますが、日本で使われるカタカナの場合の多くは「妊婦」の意味で使われています。
しかし、英語のmaternityは辞書でひいてみると「母であること、母性」といった訳で記載があるように、もう少し広い漠然とした概念です。
ネイティブスピーカーに意見を聞きながら英単語としてのmaternityの考え方を整理しました。
maternityの使い方
そもそも英語でも日常会話であまり使わない部類の言葉であり、これは日本語の「母性」がそんなに普段の生活で登場する単語でないのと同じです。
意味としてはかなりぼんやりした概念、考え方の総称であり「母親であること、母性」などです。以下のように使うことができます。
She didn’t want to become a mother because maternity wasn’t her style.
彼女は母親になりたくなかった。なぜなら母親であることは彼女のスタイルではなかったからだ。
Maternity is difficult.
母親であることは難しい。
このように母親であることそのもの、母親としての役割などアバウトで漠然としたものです。その中に育児や妊婦であることなどが入ってきます。
maternityは名詞であり、形容詞のmaternalが「母親の、母親らしい」といった意味になります。
Men are increasingly taking on traditionally maternal responsibilities.
男性はますます伝統的な母親の責任を負うようになっている。
maternityとpregnantの違い
したがって日本で使われるカタカナのマタニティーが妊婦であることを指すのに対して、英語のmaternityは人に対して使わない言葉です。
She is maternity.
(こういう言い方をしない)
「母性」という概念と一緒なので「彼女は母性だ」というのが変なのと同じです。あまり人間に対して使う言葉ではありません。
もしそれが妊婦を指すならば「pregnant」を使います。
Priority seats are for pregnant women.
優先座席は妊婦の女性用だ。
ただしカタカナのマタニティーがほぼ妊婦を指しているのと同様な、近い使い方が「maternity dress」です。
She wanted to buy a maternity dress.
She wanted to buy some maternity wear.
彼女は妊婦用の服を買いたかった。
この場合の「maternity dress」は言葉通りパーティーなどに着ていく妊婦用のお出かけ用ドレスであり、妊婦さんが普段着るような服は「maternity wear」などと表現されます。
ここでのmaternityは妊婦を指しているので、カタカナのマタニティーに近いとらえ方ができます。
maternity leave(育児休暇・産休)
普段の会話、ニュースの範囲内で耳にする頻度が高いmaternityといえばmaternity leave(育児休暇)ではないでしょうか。
She is on maternity leave.
彼女は産休中だ。
She will take maternity leave.
彼女は産休を取るだろう。
We all covered for Shirley while she was on maternity leave.
私達は全員でシャーリーが産休の間は彼女の分をカバーした。
pregnantとの比較になりますが、育児休暇は出産のために仕事を休むのではなく、産前産後を含めての考え方です。
pregnant leaveだと妊娠休暇となり出産した後は含まないことになるので、この意味でもpregnantとの言葉の違いが出ます。
日本では「産休」と「育休」がどこまで区別されているのかわかりませんがmaternity leaveは両方を含んだ言葉だといえます。
paternity
maternityの反対、対になる言葉がpaternity(父であること)です。発音は【pətə́ːrnəti】です。
paternity leaveで「父親の育児休暇」です。
He requested paternity leave.
彼は父親休暇を申請した。
maternity leaveとpaternity leaveをあわせて「family leave」と呼ぶケースも増えています。
The company offers family leave for all workers.
会社は全従業員に家族休暇を提供している。
paternityはよく「実父確定の」といった父親であることを証明するためのDNA検査などに対して使われます。
He took a paternity test to prove he was the father.
彼は父親であることを証明するために実父確定のテストを受けた。
マタニティーハラスメント
maternity harassment(マタニティーハラスメント)はマタハラとも言われますが、妊娠中の、もしくは出産した女性が職場などで妊娠・出産を理由に解雇されたり嫌がらせされたりといった差別を受けることです。
日本で近年よく聞かれるようになった言葉です。maternityは「妊婦の、母であること」で、harassmentは「迷惑行為、嫌がらせ」を意味します。
変な英語ではなく英語圏でも「〇〇 harassment」は増えているので今後広く認知されていく可能性はあるものの、まだまだ日本の社会問題としての言葉としての意味合いが強いです。
英語として広く一般的な言葉かといえば微妙ですがネイティブスピーカーが読んでも十分に理解可能な言葉の組み合わせだといえます。
Numerous studies have been conducted to try and find ways to stop maternity harassment in Japan.
日本でのマタニティーハラスメントを食い止める方法を試して見つけるために多数の調査が行われた。
詳しくはハラスメントの項目にも記載があります。