和製英語の検証「ムードメーカー(mood maker)」

ムードメーカー

結論からいえばmood makerといった単語は英語圏には存在せず和製英語になります。ただネイティブに確認してみると、言葉の意味としては通っているし変な印象を与える英語ではないそうです。

ではムードメーカーをどう英語に置き換えるのか? は文脈やジャンルによって使い分けることができそうです。

全体としていえるのは日本の「ムードーメーカー」にぴったりくる英単語がないそうです。

カタカナの「ムードーメーカー」の定義そのものも曖昧で、お笑い的な要素で場の空気をなごませるのか? 高い技術や演説で雰囲気を変えるのか? あるいは1回きりの動作なのか? 常にそういう存在なのか? で言葉や表現が異なってくるそうです。

以下はカタカナの「ムードメーカー」の意味に近そうな英語をピックアップしています。

class clown

クラスクラウン

class clownは訳せば「クラスのピエロ」のことでクラスの道化役、お調子者といった意味があります。これなどはわりと「ムードメーカー」の意味することに近いのではないでしょうか。

英辞郎には『「皆を笑わせる愉快な人」という肯定的意味で使われることが多いが「受けを狙って変なことをする奇人」という否定的意味を持つ場合もある』とあります。

スティーブにも確認してみましたが、これはあっているそうで、たまに「クラスを乱すような存在」として否定的な意味で使われるケースもあるようです。

The teacher sent him to the principal’s office for being a class clown.
(先生は彼がクラスクラウンだったので校長室に送った)

良い意味で使われるケースも多いので、文脈で判断するしかありません。

Munenori is the class clown of the Cubs locker room.
(宗則はカブスのロッカールームのクラスクラウンだ)

いわゆるムードメーカーとして人気のシカゴ・カブスの川崎宗則などクラスクラウンといえるでしょう。このように学校だけでなく職場やスポーツチームにも使えます。

この文章で使われているクラウンはピエロのことですが、ピエロはフランス語なので英語圏ではあまり通じません。

leader

ニュースではガリガリ君で有名な赤城乳業の新製品発表会で広報担当者がコメントで「アイス業界のムードメーカーとして、冬のアイス売り場を盛り上げたい」と語っていました。

日本語から英語に置き換える段階で「ムードメーカー」という単語が、英語では「leader」に置き換わっています。

指導者の意味ではなく、先導者といった位置づけで、何かをやれば後から続く人がいる行為の先頭に立つ人です。結果的にその分野が盛り上がっていく、全体として業界の空気が変わっていく、という意味での意訳に近いものです。

Many people say that Google is the leader in many IT fields.
(多くの人々はグーグルは多くのIT分野でのリーダーだという)

Googleがやれば後から続く会社があり、結果的に盛り上がる、という話です。このあたりはビジネスニュースでの意訳の色合いが濃いかもしれません。

リーダーといわれると納得できる部分もありますが、カタカナのムードーメーカーはむしろ主役ではない感じがするので、けっこうギャップがあります。

life of the party

他にもlife of the partyという表現もあり「パーティーの主役、場を盛り上げる人、人気者、座を楽しませる人」などの意味があります。

He is the life of the party.
(彼は盛り上げ役だ)

他にもheart and soulで「心の拠り所」などの意味があり、これは精神的支柱に近い意味でしょうか。

これらの表現はlife and soul, heart and soulなど、さまざなま形があり国や地域によって使われ方が異なっているようです。

He is the heart and soul of the Detroit Tigers.
(彼はデトロイトタイガースの心の拠り所/中心選手だ)

cheer up

無理にムードメーカーに相当する言葉を使わずに、場の雰囲気をなごませる動作1回だけを表すならば、cheer up(元気づける、励ます、活を入れる、気を引き立てる)などが使えます。

He cheered everyone up by doing an impression of Arnold Schwarzenegger.
(彼はアーノルド・シュワルツェネッガーのモノマネで場を盛り上げた)

これも一回だけの動作でなく、現在形で普段からそうしている習慣的な行動、態度を書けばムードーメーカーに近いものになります。

He cheers everyone up by doing an impression of someone famous.
(彼は有名人のモノマネで場を盛り上げる)

無理にひとことで置き換えようしなければ、同じ意味を伝えることも可能ではないでしょうか。

icebreaker

icebreakerの単語もありますが、これは人に対して使うのではなく、場を和ませ緊張感を和らげる話題やジョークそのものを指してアイスブレイカーと呼ぶので、ムードメーカーとは使い方が違います。

The president told a joke before his speech as an ice breaker.
(大統領は演説の前にジョークをアイスブレイカーとして語った)

このような使い方をするので人間に対しては用いない点が異なります。

comic relief

物語の役割になりますが「コミック・リリーフ」が意味するところもムード・メーカーに近いかもしれません。

コミック・リリーフはシリアスなストーリーにおいて、道化役を演じることでストーリーにメリハリを与えるような人・役割・場面を指します。

どこあたりまでをコミック・リリーフと定義するのかは見解がわかれそうですが以下のように使います。

Mr. Satan was the comic relief in Dragon Ball.
(ミスターサタンはドランゴンボールの中のコミック・リリーフだ)

C3-P0 and R2-D2 often provided comic relief during the Star Wars movies.
(しばしばR2D2とC3P0はスターウォーズの中でコミック・リリーフを演じる)

人(あるいはその役柄)そのものを指したり、その人が部分的に提供する場面を指すことがあります。

まとめると言葉としてのムードメーカーは和製英語ではあるものの、そこまで意味不明な変な英語ではありません。例えば日本語では遊園地の乗り物の1つをジェット・コースター(Jet coaster)と呼びますが、これは英語ではRoller coaster(ローラーコースター)」です。

しかし、これもジェット・コースターでも十分に意味はわかるし、変な英語ではないそうです。ただし、ネイティブスピーカーはジェット・コースターと誰も呼びません。ムードーメーカーもそうはだれも言わないけど、まあまあ意味がわかるぐらいのレベルです。

翻訳しようとするとぴったりくる英語がなくて非常に難しいカタカナではあります。

   


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