SMAPが解散したことで「SMAPロスを感じる」や、福山雅治が結婚したことを「福山ロス」と呼んだりします。また、おやつのカールが販売中止になって「カールロス」を感じる人がいるなどの報道もありました。
多くは「喪失感」のような感じで使われているのだと思いますが、英語表現からこのロス(LOSS)を考えてみます。基本的にはlossは名詞で「何かを失うこと」を意味しています。
スマップロス・福山ロス・ペットロス
この「〇〇ロス」という言葉も最近になってよく聞かれるようになりました。福山ロス、スマップロス、ペットロスなど、結婚・解散・死別などがあって喪失感に襲われるようなものだと思います。
ネイティブスピーカーに英語で使えるのか確認してみましたが、微妙な感じで意味はわかるけど、一般的に使われている表現ではないと思うといった見解です。
△ Many people feel a sense of loss without SMAP.
△ Many people are feeling the loss of SMAP.
(多くの人がスマップロスを感じている、の意味)
上の文章あたりは極端に支離滅裂な文章ではないし、意味はわからないわけでもありません。しかし完全に自然な表現かといわれると微妙なラインです。
▲ Many people are feeling the SMAP loss.
(より意味がはっきりしなくなる)
この上の例文ぐらいになると、日本語の表現に一番近い感じになりますが、ちょっと奇妙な表現になります。言葉のミスマッチ感があります。
そもそも「スマップロス」「福山ロス」が何を意味するのか定義が曖昧なので、曖昧な日本語を英語にするのは人によって判断がわかれます。
グループの解散や男女の別れを意味するのはbreak upあたりで、寂しく思うのはmissあたりで表現可能かもしれません。
loss(名詞)の使い方
lossそのものは「ロス、失うこと、減少」などの名詞で、ものによっては普通に使えます。
The machine broke due to oil loss.
= The machine broke due to a loss of oil.
機械がオイルロスで壊れた。
He suffers from hearing loss.
彼は聴覚喪失を患っている/苦しんでいる。
人間そのものを失うことに対しても使うことは可能です。その場合、亡くなったこと、死んだこと限定ではなく、スポーツなどで有能な選手を失ったケースにも使えます。
The Rangers have been struggling after the loss of Darvish.
レンジャーズはダルビッシュを失った後でもがいている。
文脈によっては明らかに「死」を意味しているケースもあります。飼っていたペットを失う「ペットロス」などの言葉もカタカナでは聞かれます。
They shed tears at the loss of their dog.
犬を失ったときに彼らは涙を流した。
また会計用語では「損失」の意味になるので、経済・ビジネス系のニュースではよく見かけます。「敗戦、敗れること」も意味するので、スポーツ関係のニュースでも頻出です。
This will be the third year that Nintendo has seen operating losses.
任天堂に営業損失が見られるのは今年で3年目になる。
The game against the Seibu Lions was a devastating 2-13 loss.
西武ライオンズとの試合では2-13で完敗した。
動詞:lose – lost
むしろ「失う」を意味する動詞のlose(過去形:lost)を使ったほうがまだより自然な表現になります。無理にこだわって「ロス」という言葉を使わなければ、もっと自然な感じになります。
It’s been a year since we lost SMAP.
スマップを失ってから1年だ。
We are disappointed at the break-up of SMAP.
私たちはスマップの解散を残念に思っている。
We lost Fukuyama to Fukiishi.
私たちは福山を吹石のために失った。
喪失感・むなしさ
1から伝えるならもっと説明っぽい言い回しも可能です。void(喪失感・むなしさ・孤独感)みたいな言葉も使えます。
We cannot worship Fukuyama any more because he got married to Fukiishi.
私たちはこれ以上、福山を敬愛することができない。なぜなら彼は吹石と結婚したからだ。
Many people are feeling a void after the loss of SMAP.
多くの人々はスマップを失った後で喪失感を感じている。
おやつのカールの生産中止のカールロスならば、食べ物なのでまた違った表現も可能です。考えられる表現には以下のようなものがあります。
Many people are going through Karl withdrawal.
多くの人々はカールの離脱症状に入っている。
withdrawalは薬物やたばこなどの禁断症状で、身体が欲しがるような状態を指します。
Many people are disappointed over the loss of Karl.
多くの人々がカールを失うことを残念に思っている。
カールロスが何かはっきりしませんが、シンプルに「残念に思っている、がっかりしている」でいいような気がします。
例えばmissには「寂しく思う」といった「I miss you」の使い方があります。これで十分じゃないかと思います。全体的には日本語を無理に直訳しようとせず、意味をとって伝えるほうがわかりやすいのではないかという意見です。
I miss my old phone.
古い携帯を恋しく思うよ。
関連項目としてロサンゼルスを「ロス」とはいわない件については、こちらの記事をご覧ください。世界にはカタカナと発音が違う都市がけっこうあります。