dressは名詞ではカタカナと同じ「ドレス」を意味しますが、動詞では普通に使うと「~に衣服を着せる」を表し、たいてい誰に着せるのか指定しなければなりません。
もし自分自身に対してdressを使う場合は「be dressed in」などのパターンがあります。
dressという英単語そのものを整理してみました。意外な意味では怪我の手当てや、料理の下ごしらえがあります。
この記事の目次!
名詞のdress(ドレス)
カタカナの意味に近い「ドレス」としての使い方ももちろんあります。普通の服ではなく、きらびやかなパーティーなどに着るドレスです。ただし、けっこう広範囲を指せて上の写真の右側のような「sun dress」のようなピクニックに行けるようなドレスもあります。
She wore a blueish green dress.
彼女は青みがかった緑のドレスを着ていた。
She selected a dress for her wedding.
彼女は結婚式のためのドレスを選んだ。
The staff at that restaurant enforce a strict dress code.
あのレストランのスタッフは厳格なドレスコードを施行する。
dress codeは服装の規定・規範みたいなもので高いレストランやカジノなどでも設定されているケースがあります。サンダルやジーパンがダメといったルールです。この場合、男性はドレスを着ていませんがdress codeです。
gown(ガウン)とdress(ドレス)の違い
英語でgown(ガウン)といえば、おとぎ話でお姫様が舞踏会で着ているような、写真左側のスカートが広がったタイプです。
dress(ドレス)はそれも含めて広い範囲を指せる大カテゴリーで、パーティーやちょっとした場に行く時に着る華やかな服装全般です。
gown(ガウン)はdress(ドレス)に含まれるので、上の写真は左右共に「blue dress」と呼ぶのは問題ないです。しかし、「blue gown」と呼べるのは左側です。
以下のように置き換えても基本的に問題ありません。gownで書けばだいたい形状が想像できます。
She bought an expensive gown for the award ceremony.
She bought an expensive dress for the award ceremony.
彼女は授賞式のために、高価なガウン/ドレスを買った。
したがって「wedding gown」も「wedding dress」もどちらも存在しています。
以下は少し注意が必要です。「sun dress」のような言葉もあるのでピクニックにdressを着ていくのは普通にありえますが、gownをピクニックに着るのは白雪姫とかでなければ状況的にあり得ないです。
She had a cute dress at the picnic.
彼女はピクニックでかわいいドレスを着ていた。
She had a cute gown at the picnic.
(状況としては変です)
しかし、寝るときに着るのはナイトガウンです。ナイトガウンは別にスカートは広がっていません。このあたり形状で名前をわけているのではない感じがします。
She wears a pink nightgown to sleep.
彼女はピンクのナイトガウンを着て寝る。
カタカナで「ガウン」といえばボクサーやプロレスラーが着ているものをイメージするかもしれません。あれは英語ではrobe(ローブ)とされています。ただし、gownと呼べないこともないです。
◎ The boxer entered the ring in a red robe.
△ The boxer entered the ring in a red gown.
そのボクサーは赤いローブでリングインした。
アメリカで卒業式に卒業生が着用するのはgownですが、裁判官が着ているのはrobeが一般的だったり、同じ形でも呼び方が違っていたりで、少しややこしいです。
動詞でのdressの使い方
カタカナと大きく違うのは、普通にdressを動詞で使うと「(誰かに)服を着せる」の意味になるので、誰に着せたのか(目的語)を指定する必要があります。
Can you dress the baby?
赤ちゃんに服を着せてあげてくれる?
I dressed my children for school.
学校のために子どもに服を着せた。
She dresses her dogs in little sweaters.
彼女は犬に小さなセーターを着せる。
be dressed in(自分が着ている)
自分自身が着ている服、主語の人が着ている服について語るときは、put onやwearを使う方がより一般的です。
dressは普段着、日常のなにも代わり映えしない服に対しても用いることはできますが、やはりきらびやかな服や普段着でないものを表す状況に使われやすい傾向は確かにあります。
dressを使って自分自身が服を着ることを意味することは可能です。その場合は以下の形になります。
dress oneself in
be dressed in
put onやwearを使ったほうが自然な感じの英文になりますが、dressでも間違いではありません。以下のように使います。
I wear a suit at work.
職場でスーツを着ている。
She put on a red sweater this morning.
彼女は今朝、赤いセーターを着た。
△ I dress myself in a suit for work.
△ She dressed in a red sweater this morning.
(間違いではありませんが、こう表現する理由もさほどない)
I dress myself poorly.
私は自分自身にみすぼらしい服を着せている。
= みすぼらしい服を着ている。
みすぼらしい服装をしているという意味です。
また上着や全身だけではなく、ジーンズや靴、メガネなどにもdressは使えます。
基本的にはwearなどでも同じ意味になります。
She was dressed in a red shirt.
= She was wearing a red shirt.
彼女は赤いシャツを着ていた。
She is dressed in fancy shoes.
彼女は華やかな靴を履いている。
She is dressed in designer sunglasses.
彼女はデザイナーサングラスを身に着けている。
以下のような使い方は変です。この表現ができません。
✕ I am dressing a pair of jeans.
(この表現はしません)
dress oneselfの省略
dress oneselfの省略した形がたまに見られます。このように書かれると混乱しやすい要素になります。
I dress (myself) poorly.
みすぼらしい服を着ている。
He always dresses (himself) in strange clothes.
= He always wears strange clothes.
彼はいつも変な服を着ている。
基本的にはdressは「誰かに服を着せる」の意味であって、自分が着ている場合には「dress oneself」の形か「be dressed in」にするのが基本です。
しかし省略すると「dress(oneself)」となり服を着せると服を着るが同じに見えてしまう点は注意が必要です。文脈から状況が明らかな場合には省略されることも多いです。
服を着ている表現については『「服を着る」のput on / wear / dressの違い』も参考にしてください。
dress asとdress likeの意味の違い
dressは動詞では「服を着る、服を着せる」といった意味がありますが、asを伴う場合とlikeを伴う場合のニュアンスの違いを見ていきます。
dress asは他の何かのふりをするための衣装を着ることで、「〜の格好をする」を意味します。
He dressed as a superhero for Halloween.
彼はハロウィーンのためにスーパーヒーローのコスプレをした。
She was arrested for dressing as a police officer.
彼女は警察官の格好をして逮捕された。
dress likeになると、「〜のような服を着る」の意味になります。
dress asの例文とともにニュアンスの違いを確認してください。
She was dressed like a doctor, so I mistakenly asked her for help.
彼女は医者のような服を着ていたので、私は間違えて彼女に助けを求めた。
医者のような服を着ていたけれども、医者であるかのようなふりをしていたわけではありません。
She was dressed as a doctor, so I mistakenly asked her for help.
彼女は医者の格好をしていたので、私は間違えて彼女に助けを求めた。
医者であるかのようなふりをしたくて意図的に医者の格好をしていたという意味になります。
Police warn people not to dress like tourists or pickpockets might target them.
警察は、人々に対して観光客のような服を着ないように、さもないとスリにターゲットにされるかもしれないと警告している。
× Police warn people not to dress as tourists or pickpockets might target them.
そもそも彼らは観光客なので観光客のふりをして観光客の格好をすることはできないため不可能な表現です。
dress up(ドレスアップ)の意味
ドレスアップは動詞で使う場合には、強調するような意味で用いられます。では、どこまで飾ったらupになるのか? といったルールはありません。
「ドレスアップする、おしゃれする、着飾る」といった意味で使われます。
Why are you all dressed up?
なぜドレスアップしてるの?
He is dressing up to go out tonight.
彼は今夜でかけるためにドレスアップしている。
名詞で使った場合には「dress-up」となり、これは子どもなどがやるコスプレのようなものを指します。これは動詞でもこの意味になる場合があります。
My daughter was playing dress-up with her friends.
私の娘はドレスアップをして友達と遊んでいた。
I dressed up as Edward Scissorhands for Halloween.
私はハロウィンのために、シザーハンズのコスプレをした。
下ごしらえをする
dressには食べ物の下ごしらえをするといった意味もあります。語源としては服のドレスよりもこの意味のほうが古く、14世紀のフランス語で「guide、control」などを意味したそうです。
突き詰めて簡単にいえば「整える」のような意味になっており、そこから下ごしらえの使われ方がされています。服装のドレスも正装という意味では整っています。
How should I dress a roast?
どのように肉の下ごしらえをすべきですか。
She dressed the turkey with honey and pineapple.
彼女は七面鳥をはちみつとパイナップルで下ごしらえした。
怪我の手当てをする
また怪我の手当てをすることも意味します。
I cut myself on a piece of steel, but luckily my brother could dress the wound.
はがねの欠片で切ったが、運よく兄が傷の手当てをしてくれた。
The nurse dressed the bullet wound with a bandage.
看護師は包帯で銃弾の傷を手当てした。
このあたりの不思議な使い方は元は「整える」であり住所などの「address(アドレス)」もad + dressで近い言葉だといえます。