desertは名詞で使うと水のない「砂漠」ですが、動詞では「見捨てる、放棄する」といった意味になります。関連しているように感じますが語源が別なので関係ない言葉がたまたま同じ文字になったと考えられます。
desertedは「無人の、誰もいない」の意味でdeserted beach(無人のビーチ)、deserted island(無人島)のように使われることが多いです。
甘いデザート(dessert)は字が違いますが、動詞のdesertと発音が同じになります。混同しやすい部分がいくつかあるので順番に例文と解説をつけてまとめています。
この記事の目次!
desertの名詞での意味
特に問題はないと思いますがdesertは名詞で「砂漠」を意味し、発音は【dézərt】です。
Camels live in the desert.
ラクダは砂漠に住んでいる。
My car broke down in the desert.
車が砂漠で故障した。
固有名詞の場合には「the Sahara Desert」のように砂漠にはtheをつける必要があります。
次に紹介する甘いデザート(dessert)とはスペルのSの数と発音、アクセントの位置が違います。
また最後に紹介していますがまったく別の語源で、名詞desertには「当然の報い」といった意味もあります。
dessertとdesertの違い
料理の最後に出されるdessert(デザート)と間違えやすいですが、昔からdessertは「sweet(甘い)」なのでSが2個あるみたいな覚え方があります。
これはおそらく日本式の覚え方かもしれません。英語では別にSをもっとほしいみたいな覚え方があります。ほかにもバリエーションはあると思います。
Dessert has two Ss because you always want more.
デザートはSが2つ、なぜならいつももっといっぱい欲しいから。
デザートが食べ放題のファミレスにある「デザート・バー」のような表現も英語でも可能です。
desert【dézərt】砂漠(名詞)
dessert【dizə́ːrt】甘いデザート
カタカナで書くなら砂漠がデザートで、甘いのはディザートです。
desertの動詞での意味
動詞では「~を見捨てる、放棄する」の意味になり、発音は【dizə́ːrt】です。動詞と名詞で発音が違いますが、アクセントの位置が明らかに異なるので、こちらのほうが注意が必要です。
砂漠は前にアクセントがありますが、動詞の見捨てると甘いデザートは真ん中にアクセントが来ています。動詞の場合は甘いお菓子の「dessert(dizə́ːrt)」と同じ発音です。
desert【dézərt】砂漠(名詞)
desert【dizə́ːrt】見捨てる
dessert【dizə́ːrt】甘いデザート
以下の例文のように使います。
The soldiers deserted the base.
兵士たちは基地を放棄した。
動詞の「見捨てる、放棄する」と名詞の「砂漠」の関連ですが、語源が違うのでたまたま同じスペルになった単語だと考えられます。砂漠は見捨てられた場所だと考えると意味が関連しているように感じますが、語源的には関係ないという話です。
動詞は古くから軍隊、軍事用語として使われていました。一方の砂漠は「荒野、不毛地帯」といった意味から砂漠を指して使われるようになっています。
desertの動詞での使い方
動詞のdesertを「~を見捨てる、放棄する」の意味で使うのは人や場所に対してだけなので以下の例文のような物には使えません。
× She deserted her favorite sports car for a more economic vehicle.
(物には使わない)
スポーツカーは人でも場所でもないので、この表現は使えません。以下のようにgive up(あきらめる、放棄する、手放す)がふさわしい表現です。
She gave up her favorite sports car for a more economic vehicle.
彼女はより経済的な車のためにお気に入りのスポーツカーを手放した。
まれに物を人や場所に見たてた感じで比喩的に表現する可能性もあるので完全に無理なわけではありませんが基本的には物体にはdesertを使いません。
また、見捨てる側の人(主語)が不誠実だったり、裏切り者だとそれとなく示しています。
His friends have all deserted him.
彼の友人全員が彼を見捨ててしまった。
彼の友人全員が実際に不誠実だったかどうかははっきりしていませんが、話し手はおそらくそう感じています。
Many politicians began deserting the party after the scandal.
多くの政治家はスキャンダルの後に、その政党を見捨て始めた。
こちらも同じく、おそらく話し手は多くの政治家は不誠実だと思っています。
したがって以下のような文章だとdesertが使えません。
× She deserted her abusive husband.
(彼女は虐待的な夫を見捨てた、の意味では変)
虐待性のある夫を見捨てるのは正しいことで彼女は不誠実だというわけではないので、この表現は使えません。以下のようにleave(去る、見捨てる)がふさわしい表現です。
She left her abusive husband.
彼女は虐待的な夫を見捨てた。
desertedの意味と使い方
形容詞のdesertedはabandonedと似た意味の「見捨てられた、放棄された」で使われることもありますが、「無人の、誰もいない」の意味で使われることも多いです。上の写真は「deserted beach(無人のビーチ)」で、誰もいない道は「deserted street(無人の通り)」です。
放棄された場所を意味するのか、単に人がいない場所を指しているのかはどちらでも解釈が可能で文脈で判断するしかありません。
This place is deserted!
ここには誰もいない!
The plane crashed on a deserted island.
飛行機は無人島に墜落した。
人間に対してdeserted girl(見捨てられた少女)のような使い方もいちおう可能です。
She is a deserted girl.
(意味としてはOKです)
She was deserted by her friends.
彼女は友達に見捨てられた。
deserted girlのように人間にかかる形容詞で使うのはスティーブはあまり好みの表現ではないといっていました。書くならば上の例文のように受動態の形がいいかもしれません。
砂漠の場合は名詞なので「a」がつきます。
This place is a desert.
この場所は砂漠だ。
desertedとabandonedの違い
desertedは「放棄された」と「無人の」の解釈ができますが、必ずしも廃墟のようなものを指しているわけではありません。
早朝や深夜など誰もいない無人の地域や商店街もありますが、そういうのもdesertedです。
In the early morning the area is deserted.
早朝はこのエリアは無人だ。
廃墟のような街などは「ghost town(ゴーストタウン)」という言葉があり、ここから「ghost mall(廃墟のショッピングモール)」あるいは「dead mall」なども使われています。abandonedも廃墟に近いものを連想させます。
I like to go to ghost malls.
= I like to go to abandoned malls.
私は廃墟のショッピングモールへ行くのが好きだ。
I like to go to deserted malls.
(廃墟? 人がいない時間?)
desertedを使うとどちらでも可能なので、もう少しはっきりさせる必要があります。以下の例文は廃墟を意味しているわけではありません。
I like to go to malls when they’re deserted.
私は人がいない時に、ショッピングモールへ行くのが好きだ。
The mall is deserted in the early morning.
そのモールは早朝は人がいない。
この場合は店は開いているので店員はもちろんいます。したがって「混んでいない」の意味で使われていることになります。
deserted island / desert islandの意味
基本的には形容詞は「deserted」であり無人を意味します。
This place is deserted.
この場所は無人だ。
This place is desert.
(この使い方は間違い)
したがって無人島は「deserted island(無人島)」とするのが現代の英語のルールに従えば正しいです。
ただし古くは「desert」が「無人の」という形容詞で使われたこともあったそうです。この名残なのか「無人島」を意味する言葉に「deserted island」の他にも「desert island」と表記されることもあります。この場合も無人を意味しているのであって決して「砂漠の島」ではありません。
The plane crashed on a desert island.
その飛行機は無人島に墜落した。
desert islandは一種のイディオムや習慣的に使われてきた言葉なので、例外として覚えておくのが無難だと思います。英語には「roast beef(ローストビーフ)」のように本来は「roasted beef」であるはずがルールから外れたような単語があります。
無人島に関してだけいえば「desert island」と「deserted island」のどちらでも可能です。
ただし、このdesertの使い方は「無人島」のみに使われるのであって、先に紹介したショッピングモールやビーチを「desert mall」「desert beach」とすることなくdesertedを使います。
この問題についてはアメリカの辞書メリアムウェブスターが取り上げています。
What’s the ‘Desert’ in ‘Desert Island’?(メリアム・ウェブスター)
deserted islandが正しい英語だとは思いますが、「無人島に何を持っていくか?」といった「Desert Island Game」と呼ばれる言葉のゲームが古くからあります。特に勝ち負けを競うわけではありませんが思考実験的なゲームです。
これはBBCで1942年から放送されている『Desert Island Discs』と呼ばれるラジオ番組のタイトルとしても有名です。70年を超える長寿番組です。
毎回、ゲストが招かれて8枚の音楽レコード、1冊の本、その他の何を無人島に持っていくかを選んでもらい、トークを進める古くから続く番組です。このイギリスの番組名でも「Desert Island」になっています。
当然の報い・功罪
名詞のdesertにはもう1つ別の語源で意味があり「当然の報い」みたいな使い方がされます。
ほぼ登場する文脈が1つしかなく、通常は複数形の「deserts」になります。「自己責任だろ、自分がやったことを考えれば当然の報いである」といった意味でしか登場しません。
They got their just deserts.
彼らは当然の報いを受けた。
通常は悪いことをやってその報いを受けたことに対して使われます。先に殴ったので殴り返されたといったような状況です。
主語は変わると思いますが、文章としては非常にシンプルな形でこのままの意味で登場することが多いです。