clothingもclothesも「服」を意味する点においては同じなので使い分けに非常に迷いますが、かなり近い意味なので置き換えても問題ないケースも多いです。
ほかにもテーブルクロスなどの布を意味するclothや、動詞で「服を着せる」といった意味のclotheも存在しているため、さらにややこしくなります。
ここでは言葉の基本的な使い方を整理しています。あわせて音声ファイルで発音の違いもご紹介しています。日本人に苦手とされる発音を含む単語だといえます。
この記事の目次!
clothesの意味と使い方
「服装、服」などを表す単語ですが、常に複数形で使われる少し特殊な単語です。
常に複数形になる単語は他には「pants(パンツ)」「scissors(ハサミ)」などがありますがこれらの仲間です。
詳細は定かではありませんがおそらく服1着は複数の布から構成されているので、1枚であってもclothesになってしまうのだと思います。
I bought some clothes.
服を何着か買った。
She has lots of clothes.
彼女はたくさんの服を持っている。
This store has clothes for newborns.
この店は新生児のための服がある。
The beach has several huts for people to change their clothes.
ビーチには人々が服を着替えるための小屋がある。
基本的に複数形になるので、動詞なども複数形にあわせて変化します。基本的には日常会話ではclothesでいいそうです。
There are clothes here.
服がここにある。
Your clothes are cool.
服装がかっこいいね。
上の例文のケースでもthere isとはなりません。1着を数える場合は後に記載しています。
Tシャツ単体、ジーンズ単位でかっこいい場合などは別にclothesを使う必要があまりありません。シャツやジーンズがかっこいいと具体的にいえばいいだけです。
Your shirt is cool.
シャツがかっこいいね。
clothingの意味と使い方
clothingは「衣料品、衣服」などの意味で用いられます。ややフォーマルな言葉なので日本語の「衣料品」「衣服」などが近い雰囲気です。
She has a lot of clothing in her closet.
彼女はクローゼットにたくさんの服を持っている。
He needs new clothing for the winter.
彼は冬物の新しい服が必要だ。
People donate clothing to this charity.
人々はこのチャリティーに衣服を寄付する。
ただし、上にあげた例文はclothesに置き換えても意味は成立します。
She has a lot of clothes in her closet.
He needs new clothes for the winter.
People donate clothes to this charity.
(clothingとclothesで同じ意味になる)
友達などの服装を褒めるときには普通はclothingを使いません。「あなたの衣料品はクールだね」といっているような感じが近いと思います。
Your clothing is cool.
(間違いではありません)
衣料業界の人に会った時には上のような表現もありうるそうです。
clothingとclothesの違い
置きかえても問題ないケースもありますが、まず言葉の持っている雰囲気がclothingのほうが堅い感じがあるので文脈によって雰囲気をあわせてもいいと思います。
They are a major clothing retailer.
彼らは衣料品小売の大手だ。
They are a major clothes retailer.
彼らは服の販売の大手だ。
またclothesは常に複数形ですが可算名詞なのでmanyのような言葉がつかえます。一方のclothingは不可算名詞なのでmanyが使えずmuchを使います。
He has many clothes.
He has much clothing.
彼は服をたくさん持っている。
He has much clothes.
He has many clothing.
(明らかな間違い)
例文の比較
違いを比較するために両方の文章を書いて、ネイティブスピーカーに意見をもらいました。
◎ She has lots of clothes.
〇 She has a lot of clothing.
彼女は服をたくさんもっている。
上の例文の場合は「clothes」を使う人が多いと思いますが、clothingを使っても極端に変というわけではありません。そういう人もいると思います。
◎ Uniqlo is a clothing store.
〇 Uniqlo is a clothes store.
ユニクロは衣料品店だ。
上の例文の場合はclothing storeと呼ぶ人のほうが多いと思いますが、clothes storeと呼ぶ人もいると思います。
〇 Prada clothes are cool.
〇 Prada clothing is cool.
プラダの服はクールだ。
このあたりになるとどちらも同じぐらい使われていそうで、どちらが良い悪いという判断はありません。
こういった意味で言葉の雰囲気を考慮して文法のルールを守ればどちらも似たような意味になるという話です。
他にも「衣服」を意味する名詞を使いたいならば「outfit, ensemble」などがあります。
1枚、2枚と服を数える場合
もし1枚、2枚と数えたい場合にはpiece of clothingを使う方法があります。
I bought five pieces of clothing.
服を5着、買った。
This is my favorite piece of clothing.
これは私のお気に入りの服/1着です。
ここで「pieces of clothes」とすると少し自然さに欠ける表現になります。間違いとは言い切れず、そういう人もいるとは思います。
There are five pieces of clothes.
I bought three clothes.
(やや自然さに欠ける文章)
「pieces of clothing」を使うか、もしくはシャツを買ったならば「shirts」といったほうが早いです。
I bought three shirts.
3枚のシャツを買った。
article of clothing
1枚2枚と衣料品を数えるときは「article of」を使うことができます。
新聞などの記事を意味するarticleには「物体、物」としての意味もあるからです。ただし、物の意味で使われるのはこの服(clothing)をカウントするときぐらいです。
The charity is asking people to donate ten articles of clothing at most.
そのチャリティーは人々に最大で10着の衣服を寄付するように求めている。
cloth(クロス・布)
clothは「布、生地」などの意味があります。テーブルクロスなどのクロスです。複数形が「cloths」です。
I used a cloth to wipe the table.
私はテーブルをふくのにクロスを使った。
There is a cloth here.
ここに生地・布がある。
I have a doll made of cloth.
私は布でできた人形を持っている。
clothe(動詞)の意味と使い方
動詞はあまり使う単語ではありませんが「衣服を着せる」と「衣服を提供する」といった使い方が存在しています。
dressやchangeでも言い表せることなので、無理に使う場面があまりない感じです。
発音は【klóuð】なのでクロウズとなります。
He has to feed and clothe his children.
彼は子供たちに食事を与え、そして衣服を与えないといけない。
Her parents clothed her in a nice dress.
彼女の両親はいいドレスを彼女に着せた。
She clothes her dolls every day.
彼女は毎日、人形に服を着せている。
発音の違い
かなり似た音で発音の違いが見分けにくいですが整理する意味でも発音の違いを記載しておきます。ついでにcloseも掲載しています。
カタカナで無理やり書くとclothesはクローズよりも「クロウズ」のほうが近い発音です。
clothes【klóu(ð)z】服・服装
clothing【klóuðiŋ】衣服・衣料品
cloth【klɔ́(ː)θ】布・クロス
clothe【klóuð】動詞:衣服を着せる
close【klóuz】閉じる、閉まる
close【klóus】近い、親しい
辞書によってはclothes(名詞)とclothe(動詞)を同音扱いしていますね。
[ð]の音はthis【ðís】などにも使われている有声歯摩擦音と呼ばれる音です。[θ]は無声歯摩擦音と呼ばれthing【θíŋ】などにみられる発音です。
どちらも日本人には苦手とされる音で専門に紹介している動画などもYouTubeにあがっています。
参考:06.子音[θ][ð]の発音(YouTube)
服と素材の位置
服の素材がごく普通のものならば前に素材が来ます。
He is wearing a cotton shirt.
彼はコットンのシャツを着ている。
She has a nylon jacket.
彼女はナイロンのジャケットを持っている。
I have a leather belt.
私はレザーのベルトを持っている。
しかし変な素材を使ったものだと、だいたい”of”をともなって後ろに置かれます。
He is wearing a shirt of dollar bills.
彼はドル札でできたシャツを着ている。
She has a jacket of leaves.
彼女は葉っぱのジャケットを持っている。
カタカナのウェアーは和製英語
wearは接尾語(suffix)としてさまざまな言葉にくっついて名詞になります。
swimwear
sportswear
underwear
お馴染みの言葉だと思いますが、カタカナのように「wear(ウェアー)」単独で「衣服」を意味する名詞としては使いません。
Where is my wear?
That shop sells wear.
(*こういう言い方はしない)
wear / ware
発音が同じなので非常に混同されやすいですがwareは「一連の商品、同一種類の品」などの意味があります。ソフトウェアのウェアです。
これも単独で使うよりも、何かにくっついて1つの単語を作ることが多いです。
hardware
software
kitchenware
housewares
kitchenwareといえば鍋やフライパンのような台所用の製品などを指しています。
あまり言いませんがエプロンや割烹着に対してkitchenwearと表現することもかろうじて可能で、発音が似ているため間違えやすい言葉ではあります。
最近は身につけられる機器としてWearable deviceといった言葉もよく聞かれるようになりました。アップルウォッチやグーグルグラスのような身につけるIT機器です。
服を着ること、身に着けることの表現の違いについては以下の記事をご覧ください。