どれも「お金」を意味する表現ですが日本語にした場合はcash(現金・キャッシュ)、money(お金・マネー)、currency(通貨)と理解しても間違いないと思います。
cash(現金)についてはあえて現金を強調する必要性がある場合には用いますが、日常会話の範囲ではほぼmoneyと同じ意味でも使われます。
そのcashの中に「bill(お札)」や「coin(硬貨)」という分類があると考えることができます。複数形の扱いなど少しややこしい点もあるので整理してみます。
この記事の目次!
cash(キャッシュ)とmoney(マネー)の違い
cash(キャッシュ)が物体として存在している硬貨やお札などの「現金」を表すのに対して、money(マネー)はもう少し広い意味で銀行預金や電子マネーも含めて概念としての「お金」と考えることができるので日本語とも近い感覚です。
He has a lot of cash.
彼は現金をたくさん持っている。
He has a lot of money.
彼はお金をたくさん持っている。
基本的にはほぼ置き換え可能な言葉で、文脈で何を指しているかは明らかな場合が多いです。
I don’t carry a lot of cash when I travel.
= I don’t carry a lot of money when I travel.
旅行の時は多くの現金を持たない。
旅行の場合には「お金」といったら普通は「現金」を指すのは明らかです。状況によっては明確に「現金」と「お金」を区別する必要があるかもしれません。
He has a lot of money, but he doesn’t have any cash on him.
彼はたくさんお金がある。しかし、まったく現金を手持ちで持っていない。
in cash / cold, hard cash
cash(現金・キャッシュ)そのものがお金の中の1つの種類であり、会話の流れによっては「現金」を強調する必要があります。
その場合は「in cash」を用いることができます。
He paid me in cash.
彼は私に現金で支払った。
この場合は小切手やローンを組んだという意味ではなく「現金」で支払ったことになります。
ただし「銀行振り込み」のような行為を「現金支払い」「cash」とみなすかは英語でも日本語でも曖昧です。日本語でもすぐにお札に変えられるような銀行口座にある資金、流動性・換金性の高いお金を「現金」に含めて表現するケースも多いです。
I rely on the money in my bank account.
= I rely on the cash in my bank account.
私は銀行の口座のお金をあてにしている。
この場合にはさらに強調で「cold, hard cash」といった言い方が存在しています。
He paid me in cold, hard cash.
彼は私に現金で支払った。
コインは金属なので冷たくて堅いので現金であることを強調して「cold, hard cash」と呼ばれます。この場合はお札も含まれますが、本当に目の前で札束・硬貨を出して支払ったことになります。
money / cashは不可算名詞
moneyとcashは数えることができない名詞(不可算名詞)に分類されます。
はじめてこの考え方を習ったとき「お金を数えられないってそんなことはないだろ?」と思いましたが、数えているのはコイン(coin)やお札(bill)などの物体であって、お金そのものは数えていないことになります。
したがって多く持っている場合はmanyを使わず、muchやa lot ofで表現します。また複数形にならずにそのまま使います。
He has a lot of money.
彼はお金をいっぱい持っている。
He has much money.
彼はお金をいっぱい持っている。
I have much cash.
私は現金をいっぱい持っている。
currency(通貨)の意味
currencyは世界中にさまざま存在する「通貨」です。日本の「円」やアメリカの「ドル」など多くの通貨が存在しています。
発音は以下のファイルを確認してください。カタカナでは「カーレンシー」が近いです。
currency【kə́ːrənsi】
このcurrencyそのものはUSドルと日本円の2種類があればtwo currenciesと複数形になり数えることができます。foreign currencyで「外国の通貨」となります。
Convenience store chain FamilyMart has announced plans to install foreign currency exchange machines in some Tokyo stores.
コンビニエンスストアチェーンのファミリーマートが、外貨両替ができる機械を東京のいくつかの店舗に導入する計画を発表した。
Kiosk converts extra foreign currencies into electronic money
あまった外貨を電子マネーに変換できるキオスク
ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨は「cryptocurrency」と呼ばれます。意味としては「crypto(暗号の)currency(通貨)」です。
暗号通貨・仮想通貨ではなくsuicaやedyのような電子マネーはe-moneyと呼ぶのが一般的です。
通貨の複数形をどうするか?
世界各国の通貨そのものを見るとEurosやDollarsのように複数形になるものもあれば、日本のyenや韓国のwonのように複数形にならないものが存在しています。
感覚的にわかりますが「10000 yens」など普通はいいません。
主にもともと英語だった通貨などは数えることができるものが多いです。「dollar = buck(米ドル)」「euro(ユーロ)」「pound(ポンド)」などです。
I have 100 dollars.
I have 100 bucks.
I have 100 pounds.
米ドルの別名であるbuckも100 bucksと複数形になります。euroについては複数形をどうするのかちょっと論争があるみたいです。
一方でアジア系の通貨は複数形がない「単複同形」が多いです。yen(円)、yuan(元)、won(ウォン)などです。
そのわりには英ポンドの別名である「quid」も複数形になりません。このあたりはルールはあってないようなもので習慣的です。
I have 100 quid.
I have 100 yen.
legal tender
legal tenderとは法定通貨・貨幣のことで法律で定められたお金のことを指す用語です。
Sorry sir, New Zealand dollars are not legal tender in the US.
申し訳ありません。ニュージーランドドルはアメリカでは法定通貨ではありません。
In Langa Langa Lagoon, shells are legal tender.
ランガ・ランガ・ラグーンでは貝殻が法定通貨だ。
お札・紙幣(bill)
お札は「bill」と表現します。他に「法案」「請求書」みたいな意味もあるので、別の項目にまとめます。
I have a 20-dollar bill in my pocket.
私はポケットに20ドル札1枚を持っている。
From July Haneda Airport will be adding a kiosk that can convert leftover foreign coins and bills into electronic money and coupons.
7月から羽田空港に余った外国の硬貨や紙幣を電子マネーやクーポンに変換できるキオスクが登場するだろう。
請求書や法案については以下の記事にまとめています。
banknote / note
banknoteあるいはnoteも紙のお金のことで「紙幣」です。billのほうがよく使われており、banknoteはよりフォーマルで古臭い表現です。「銀行券」とまではいいませんがそれに近い雰囲気があります。
He was carrying $10,000 in banknotes( = in bills).
彼は1万ドルを紙幣で運んでいた。
She found a crumpled ten-dollar banknote( = bill) on the ground.
彼女は地面の上でくしゃくしゃになった10ドル紙幣を見つけた。
ただし、カナダ・アメリカは「bill」を使いますが、イギリス・オーストラリアでは「note」が広く使われているので地域差があります。
Can I borrow a ten-dollar bill?(米加)
Can I borrow a ten-dollar note?(豪)
Can I borrow a ten-pound note?(英)
10ドル/ポンド札を借りれますか?
アメリカ、カナダでも「note」は使われないわけではなくフォーマルな場面では用いられます。
硬貨(coin)
アメリカやカナダのコインにはニックネームがあり日常会話でもよく使われています。試験には出ないかもしれませんが日常生活では活用度が高い用語です。
アメリカの硬貨は上の写真で左から「penny / ペニー(1セント)」「nickel / ニッケル(5セント)」「dime / ダイム(10セント)」「quarter / クォーター(25セント)」です。
描かれている人物は「リンカーン(1セント)」「トマス・ジェファーソン(5セント)」「フランクリン・ルーズベルト(10セント)」「ジョージ・ワシントン(25セント)」です。
$0.01 – one cent coin – penny
$0.05 – five cent coin – nickel
$0.10 – ten cent coin – dime
$0.25 – twenty-five cent coin – quarter
「nickel(ニッケル)」は5セント硬貨で、ニッケルという材質の金属にちなんでこのニックネームがついています。こちらの硬貨は75%の銅と25%のニッケルで作られています。
10セント硬貨の「dime(ダイム)」は、古フランス語で「十分の一税」という意味の「disme」から来ています。この税金は、農民に収入の10分の1を教会に納めさせていた税で、1ドルの10分の1が10セントであることからこのニックネームが来ています。
25セント硬貨の「quarter(クウォーター)」もダイムと同様、1ドルの4分の1であることからこのニックネームがついています。
カナダの硬貨は1ドルは「loonie」で、2ドルが「toonie」の愛称があります。
イギリス、オーストラリアあたりは特に聞きませんがひょっとしたら何かあるかもしれません。
日本の500円硬貨は世界的に見ても高額硬貨の部類で、だいたい500円ぐらいになると紙幣になっているケースがほとんどです。
50円や5円のような穴の空いた硬貨も珍しいですが世界ではデンマークのクローネなどが穴空きの硬貨として存在しています。
coin(動詞)
coinには「新しい言葉を作る」といった動詞での使い方があります。coin a phraseで「新しいフレーズを作り出す」です。
硬貨を作り出すような意味合いからで、古くから使われている使い方です。
Peter Wilding is said to have coined the term “Brexit” in 2012.
ピーター・ワイルディングは2012年に「ブレグジット」という用語を作ったといわれている。
The American term “founding fathers” wasn’t coined until 1918.
1918年までアメリカの用語「建国の父」は作られなかった。
手持ちのお金を聞く
ニュース文に「to one’s name」という表現が登場していました。「自分の所有物として」といった意味ですが、要するに「それだけしかない、それがすべて」といった意味で使われます。
He has seven dollars to his name.
彼は7ドルしか持っていない/7ドルが彼の全財産
気をつけないといけないのは、「to one’s name」は手持ちを表現しているわけではありません。
手持ちを聞く場合にはhave on youを使い、今ポケットや財布の中にいくら持っているのかを質問できます。
How much do you have on you?
いくら、手持ちである?
I have seven dollars.
7ドル持ってるよ。
この場合はポケットや財布に7ドルあることを意味します。現時点でこの場における所持金です。
以下の聞き方は少し漠然としています。
How much money do you have?
お金をいくら持っている?
I have $10,000 to my name.
1万ドルがすべてだよ。
文章をそのまま読むと「お金いくらある?」と全財産を聞いていることになります。それに対してto my nameも全財産を表します。今の瞬間に札束で1万ドルを持っている必要はない点には注意が必要です。