基本単語のvisitは動詞で「訪問する、訪れる」であり、名詞では「訪問」となります。この言葉そのものは特に難しい言葉ではありません。
使い方として「make a visit」や「pay a visit」で「訪問する」といった意味にもなり、違いについてもまとめています。動詞で「visit to」のような使い方は誤りです。
外交関連では国賓訪問などさまざまな種類のvisitがあるので、後半に言葉を整理しています。
この記事の目次!
visit(動詞)の使い方
中学校で習う基本単語で動詞では「訪問する」の意味です。どこかの場所や人を訪れることです。
過去形・過去分詞はvisitedの規則変化であり、この言葉そのものは特に難しいわけではありません。
発音は【vízət】なのでヴィジット、ビジットぐらいでしょうか。直接、人に対しても使うことができます。
Many people visit Mount Fuji every year.
多くの人が毎年、富士山を訪れる。
We visited a Holocaust memorial in Berlin.
私たちはベルリンのホロコースト記念館を訪れた。
I visited my grandmother last weekend.
先週末に祖母を訪問した。
人間以外を主語にする
日本語をベースに考えると「幸せが訪れる」や「ハリケーンが訪れる」といった表現が可能ですが、英語だとあまり一般的ではありません。
辞書には「災害などに対して受動態で使うことがある」と書いていますが、スティーブに意見を聞くと自然な英文かといわれるとやや難色を示していました。
△ A hurricane visited my town.
△ My town was visited by a hurricane.
ハリケーンが私の町を訪れた。
△ Happiness will visit you someday.
いつかあなたに幸せが訪れるだろう。
英文としては何も間違ってはいないし、読んだ時に意味はわかります。しかし、この表現をするならばcomeを普通は使うといった意見でした。
Happiness will come to you someday.
A hurricane came to my town.
(通常はこういった表現を使う)
災害であるならばhitやstrikeで「襲う」といった、より一般的な表現があります。
あえて普通の表現をせずに「visit」を使う理由もなく、それによって出る特別なニュアンスもないのでわざわざ使う理由が見当たらないといった意見でした。
visit toの使い方
動詞で使った場合にvisit toと「to」をつけてしまいそうになりますが、これは誤りです。
× I visit to Osaka.
(間違い)
文法的には「他動詞」と呼ばれるもので、toを使わずに直接、訪問先・場所を置きます。
ただし次に紹介するようにvisitは名詞で「訪問、滞在」みたいな意味があるので「~するための訪問」「〇〇さんへの訪問」みたいな意味ならば「visit to」という形が登場することはあります。
I made a visit to the grocery store.
私は食料雑貨店を訪れた。
詳しくは以下の名詞の例文も参考にしてください。
visit(名詞)の使い方
visitには名詞で「訪問、滞在」やもう少し意味を広くとって「旅行、観光」や「見舞い」といった使い方もあります。特に何かの目的を指定しているわけではありません。
以下のように動詞と名詞での使い方を混ぜることも可能です。
My family visited the Capitol Building on our visit to Washington.
家族はワシントンへの訪問で国会議事堂を訪れた。
His visit to the White House was cancelled because of the disaster.
彼のホワイトハウス訪問は災害のためにキャンセルされた。
可算名詞なので1つの名詞には「a」がつき、複数回の訪問を指すならば複数形になります。
pay a visit / make a visit / visit の違い
名詞のvisitを用いて「pay a visit」や「make a visit」のような形で「~を訪問する」となります。
基本的には「pay a visit / make a visit」と単純な動詞の「visit」は意味は同じです。
この場合には先に紹介した「visit to 人(〇〇さんを訪れた)」や「visit to do(~するために訪れた)」のような「visit to」の形が見られます。
I paid a visit to my local church.
私は地元の教会を訪問した。
I paid many visits to friends and family over the holiday.
私は休暇中に友達や家族をたくさん訪問した。
スティーブに確認するとpay a visitのみ、やや行かないといけない感じがあるそうですが、かなり微妙なニュアンスの差なので無視できるレベルだそうです。
I made a visit to the grocery store.
= I paid a visit to the grocery store.
= I visited the grocery store.
(同じような意味)
pay a visitの使い方
また細かな文法的なルールやニュアンスとして、以下のような原則があります。pay a visitは基本的に人や物事に対して使われる傾向があります。
I paid a visit to her.
I paid her a visit.
私は彼女を訪問した。
このように「her」を直接置くか、to herとするかは柔軟です。しかし、場所に対してはあまり使いません。
I paid a visit to France.
I paid France a visit.
(少し変な表現)
1つ前の項目では「the grocery store(食料雑貨店)」がpaid a visit toに使われていますが、食料雑貨店を場所(place)と見るか、食料品を買う行為全般(thing)と見るかは曖昧なものがあります。
Franceは明らかに「場所」と判断できるので少し違和感のある表現です。ただし、人によってはフランスを物事・事象や人のように感じる人もいるかもしれないので曖昧な部分が残ります。
make a visitの使い方
make a visitも同じように「訪問する」という意味になります。こちらは逆に「場所(place)」に使われやすい言葉です。
しかし文型にpay a visitとの違いが見られ、あまり目的語を直接はとりません。
I made a visit to France.
フランスを訪問した。
× I made France a visit.
(明らかに変な文章)
I made a visit to the next town.
= I visited the next town.
となり街を訪問した。
また人に対してはmake a visitを用いない傾向があります。
× I made a visit to her.
▲ I made her a visit.
(人に対しては使わない)
I visited her.
私は彼女を訪問した。
したがって以下の例文のように人を直接は目的語にとらないように配慮する必要があります。
He made a visit to his grandmother’s to help her clean up.
彼は祖母の家の掃除を手伝うために訪れた。
grandmother’sとすることで「祖母の家」といった場所の概念になります。
さまざまな種類のvisit
私たち一般人にはあまりなじみがありませんが、国賓クラスの政治家などは特殊な形での「訪問」が存在しています。
外交関係のニュースではいくつかの普通ではない訪問が登場するので言葉を拾い上げてみます。
state visit(国賓訪問)
state visitは「国賓としての訪問」に相当する公式の訪問で、国家のトップクラスの人が相手に招待されていくようなものを指します。通常は大きめの歓迎セレモニーや式典が開催されます。当然、費用もホスト国持ちです。
日本でいえば天皇陛下を中心とする歓迎式典が行われます。日本側が国賓として扱うのは外国の元首(大統領・首相)や王族・皇室の人々です。
Prime Minsiter Abe made a state visit to the US.
安倍首相はアメリカへの国賓訪問を行った。
state dinnerは「公式晩餐会」のような意味で、国賓として訪問した場合には夕食会・宮中晩餐会が開かれます。
The queen invited the president for a state dinner.
女王はその大統領を公式晩餐会に招待した。
official visit(公式訪問)
これは「公式訪問」ぐらいの訳で政府の首脳陣などわりと高位のクラスの人が招待されていく訪問です。費用は普通はホスト国が払います。首相クラスなら式典ぐらいはあるかもしれません。
The minister of commerce made an official visit to Germany.
通商大臣はドイツへの公式訪問を行った。
working visit(実務訪問)
working visitは職員クラスが実務的な目的で、問題・課題などを話し合うために行う訪問です。これは招待されていくものではないので、費用も訪問する側が負担します。実務的な訪問だといえます。
このworking visitは文字通りの意味では普通のビジネスマンにも使えそうですが、一種の外交用語であり普通の人には使いません。
Japan’s minister of education paid his Chinese counterpart a working visit to discuss a wider student exchange program.
日本の教育大臣は、中国の同担当大臣に、より広い留学生交換プログラムについて話しあうために訪問した。
courtesy visit(表敬訪問)
courtesy(丁寧、礼儀、礼儀正しさ)とvisitの組み合わせで「儀礼訪問、表敬訪問」を意味します。
これは政治やビジネスなどに直接影響するような具体的な目的を持たず、ただ儀礼的にご挨拶に伺うといった公式な訪問を指します。
The president paid his ambassador in Sri Lanka a courtesy visit.
大統領はスリランカで大使に儀礼訪問をした。
Our company’s paper supplier made a courtesy visit.
我々の会社の紙の卸業者は挨拶回りをした。
いつもお世話になっていますというような仕事上の挨拶のためや、質問や意見がないかどうかを伺うために業者が付き合いのある会社を訪問したぐらいの意味です。
似たような意味ではcourtesy callもあります。
courtesy visitの場合はほとんどのケースで直接面と向かって会うような訪問を意味しますが、courtesy callの方は直接面と向かって会う訪問と電話でやりとりすることの両方を表せます。
The president made a courtesy call to his ambassador in Sri Lanka.
大統領はスリランカで大使に儀礼訪問/儀礼上の電話をした。
Our company’s paper supplier made a courtesy call.
我々の会社の紙の卸業者は挨拶回り/儀礼上の電話をした。
visitor(訪問者)
visitorは文字通り「訪問者、訪問する人」を指していますが、これは文脈によっては「お客さん」を意味する言葉にもなります。
文脈なしの普通の状況ではvisitorは招待状などを持たずに、ある場所にやってくる誰かを指し「訪問者」を意味します。一方でguestは招待されてくる人「招待客、ゲスト」を表します。
Visitors to our museum have been increasing.
我々の博物館への訪問者は増えている。
I was talking on the phone when a guest came to the door.
ゲストがたずねてきたとき、私は電話で話していた。
お客さんを表す言葉はいくつか存在しており主に業種やその性質により使い分けされています。customer, client, guest, visitorあたりを使い分ければ、あらゆる業種をカバーできると思います。
web業界で使われる「unique visitor(ユニークビジター)」とは変わった訪問者ではなく、ここでのユニークは固有の、特有のといった意味で使われる言葉です。
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