volunteer(ボランティア)はカタカナでもよく使われますが英語では動詞で「ボランティア活動をする」と、名詞で「ボランティア」、または「ボランティアをする人」を指すことができます。
カタカナのボランティアが「ただ働き」を都合のいいように言い換えられた感じで使われているといった指摘もあります。このあたりの英語での感覚をネイティブスピーカーに確認してみました。
形容詞ではvoluntary(自主的な)と反対の意味ではinvoluntaryがありますが、少し意味合いが違って使われているのであわせてご紹介します。
volunteerの意味と使い方
基本的には無償で働くことと思ってもそう間違いではないと思いますが、意味合いとして元々は自発的に軍隊に行く「志願兵」を指して1600年代には用いられていた言葉です。
発音は【vɑ̀ləntíər】なので以下の音声ファイルを確認してください。アクセントの位置がカタカナと違います。
volunteer【vɑ̀ləntíər】
volunteerは動詞では「ボランティア活動をする」という意味にもなり、名詞では「ボランティア」または「ボランティアをする人」を指すことができます。
日本語だと「ボランティア活動をする」「ボランティアに参加する」などの言い方になりますが英語ではvolunteerが動詞でそのまま使えるので便利です。
A lot of students volunteer at old-age homes.
多くの学生が老人ホームでボランティアをしている。
There are many volunteers at old-age homes.
多くのボランティアが老人ホームにいる。
I’m going to volunteer at the Olympics.
私はオリンピックでボランティアをするつもりだ。
I’m going to be a volunteer at the Olympics.
私はオリンピックでボランティアになるつもりだ。
また教室などで「誰か手伝う人いませんか? 誰か自発的にやりませんか?」みたいな呼びかけにも使えます。
Any volunteers?
誰かやりませんか? 誰かやってくれる人いませんか?
volunteer(ボランティア)は無償か?
東京オリンピックでも話題になっている「ボランティア」ですが、英語の言葉の感覚をネイティブスピーカー達にも確認しました。ボランティアは基本的には自主的に社会活動などに参加すること、その精神を表しているので本来は有償、無償は問いません。
しかし、カタカナの感覚と同じで「volunteer(ボランティア)」と聞いたときに多くの人が無償をイメージするのは英語でも同じです。
これがカタカナでは「ただ働き」と混同されて、ボランティアという言葉のイメージを悪用する感じに勝手な解釈をしているといった意見です。
「ボランティアは無償奉仕という意味の言葉ではない」は本当か?(Togetter)
アメリカ人のスコットにも意見を聞いてみましたが「volunteerって無償でやるもんでしょ? 有償だとそれ仕事じゃないの?」ぐらいの考え方で、無償であると感じるのはやはり同じでした。ほか4、5人のネイティブスピーカーに同じことを聞きましたが、やはりボランティアは無償であることが感覚的には前提だと言っていました。
日本でも「ボランティア」の定義が話題になりますが、言葉の成り立ちや本来の定義とは別に、日常会話の範囲内での言葉の運用としては通常は「無償で行うもの」という認識で間違いないと思います。
場合によっては有償であることを強調するならば「paid volunteer」といった言葉も使われます。
My brother became a volunteer firefighter.
私の兄は有償のボランティア消防士になった。
ボランティアの消防士は通常、少ないながらも報酬を受け取れるのが一般的です。
I was a paid volunteer at the hospital.
私は病院で有償のボランティアだった。
It is very difficult for a political candidate to use paid volunteers.
政治の候補者が有償のボランティアを使うのはとても難しい。
paid volunteerは報酬が支払われるものの、一般的には、かかった経費をまかなう程度の金額に留まるケースが多いです。
ただし「paid volunteer」についてはスコットは「う~ん、そういう言い方がないわけではないけど…」といった感じで渋い顔をしていました。どこまで一般的な概念かはよくわかりません。
強制のボランティア
ボランティアが自発的なものであるとするならば「強制のボランティア」は言葉としては少し奇妙な部分はあります。
ただし英語圏でも「mandatory volunteer(強制のボランティア)」という概念がないわけではなく、これは学校などで絶対に参加する必要があるボランティア活動を指します。
絶対に参加する必要はあるけれど、老人ホームで働く、地域の清掃をするといった選択肢はあるのが一般的です。
There is a mandatory volunteer policy for high school students.
高校の生徒には、強制ボランティア政策がある。
また飲酒運転の罰則などで社会奉仕活動を義務付けられるケースがありますが、それはcommunity serviceと呼ばれたりします。
He was sentenced to three months of community service.
彼は3か月間の社会奉仕活動を言い渡された。
voluntary / involuntaryの意味
形容詞にはvoluntaryがあり、こちらは「自発的な、自主的な」といった意味で使われます。この形容詞を見てもvoluntaryやvolunteerの言葉のベースは自発性にあるのかなという感じはしますね。
The former CEO said his resignation was voluntary.
元CEOは、辞任は自発的だったと言った。
反対のinvoluntaryは強制というよりも「無意識の、何げなしの」といった意味で使われます。これは医療関係の言葉としてよく登場して、筋肉がコントロールしていないような状態です。
He has an involuntary twitch in his eye.
彼は目に無意識の痙攣がある。
involuntaryが「非自発的な(自分が望んだことではない)」といった意味で使われないわけではありませんが見かける頻度としてはあまりありません。
voluntaryについては安楽死の分類を表す表現にも登場しています。
voluntarilyの意味
名詞がvolunteerで、形容詞がvoluntaryで「自発的な、自主的な」です。voluntarilyが副詞です。
文章の構造はかわりますが同じような意味は書けます。
Her participation was voluntary.
=She voluntarily participated.
彼女の参加は自主的だった /自主的に参加した。
以下は実際のニュースからです。
Osaka’s notorious Tobita Shinchi red light district will voluntarily close on June 28 and 29, when the city will host the Group of 20 Summit.
大阪の悪名高い売春地域の飛田新地が自主的に6月28日と29日、この街がG20サミットのホストをするときに、閉鎖をする予定だ。