日本の音楽業界用語では「スマッシュヒット」が大ヒットはしていないけど、そこそこ売れたような曲に対して用いられることがあります。
また何かほどほどに成功したものに対してスマッシュヒットが使われます。しかし、英語では大ヒットを意味するのでかなりカタカナと離れています。
smashの使い方も含めてご紹介します。
smashの意味と使い方
smashそのものは「打ち砕く、粉砕する」で、意味合いとしてはcrashより強く、激しい感じになります。
①The car smashed into a tree.
②The car crashed into a tree.
①と②は共に「車が木に衝突した」ですが、表現として①のほうが激しく強くなっています。
③He smashed a dish on the floor.
④He broke a dish on the floor.
彼はお皿を床に落として割った。
こちらもsmashのほうが強くなります。具体的にどうとは書いていませんが④は手が滑って落とした、③は投げつけて叩き割ったようなニュアンスが近くなります。
⑤The movie smashed records.
⑥The movie broke records.
⑤と⑥も「映画が記録を破った」の意味ですが、破り方が激しい感じがsmashにはあります。
もちろん卓球やテニスなどの「スマッシュ」もありますが、意味合いとしては強くたたきつけるような激しい動作を表しています。
crashについては以下の記事にまとめています。
スマッシュ・ヒット
日本の音楽用語で使われる「スマッシュヒット」は、90年代~2000年代にCDでいえば100万枚は売れていないけど、30万枚ぐらい売れたような曲に対してよく使われていました。
ミスターチルドレンでいえば『クロスロード』がスマッシュヒットで『イノセントワールド』は大ヒット。TM NETWORKでいえば『SELF CONTROL』がスマッシュヒットで、『GET WILD』が大ヒットとして雑誌で使われていました。
特にこれから売れ始める予感を感じさせる新人の、そこそこのヒット曲に対して用いられていた傾向があったように思いますが、定義は特にないと思います。
しかし、英語で「smash hit」といえば大ヒットしたことを意味するので、少しカタカナと意味合いが異なります。
The movie was a smash hit.
= The movie was a smash.
= The movie was very successful.
その映画は大ヒットした。
また以下のように楽しかったこと、成功したことに対しても使うことが可能です。
Your party was a smash.
= You party was very fun/successful.
キミのパーティーは大成功だったよ。
実際のニュースでの表現
実際のニュースでは、映画『アングリーバード』が大ヒットしたときに登場しました。
The Angry Birds Movie smashes into box office
映画『アングリーバード』が興行成績を打ち砕く。
アングリーバードは、何種類かの鳥達をパチンコのようなもので引っ張って飛ばし、敵にぶつけて倒すシンプルなスマホゲームです。
主人公の怒った鳥のレッドはオーソドックスな軌道で飛びますが、他の仲間の鳥達は爆発したり、急角度に降下したり、分裂したりと様々な能力があります。
かわいいキャラクターと変な鳴き声、子供から大人まで楽しめるゲーム性もあって世界中でヒットしました。
smash into box office
記事の見出しに使われた表現の「box office」は興行成績や興行収入を意味する言葉です。
smashは「粉砕する、打ち砕く、粉々に砕く」です。
この表現そのものが鳥を飛ばして相手を打ち砕くゲーム性にひっかけたものになっています。
では具体的に何かを表しているかといえば、少し漠然とした表現ですがニュアンスとしては興行ランキングの他の作品を打ち砕いて首位に出た、ランキングに入ったといった感じになります。
例えば興行成績の記録を出したなどの場合には以下のように書くことができます。
The movie smashed records.
その映画は記録を打ち砕いた。
今回の映画は全米初登場No.1にはなっていますが、何かの記録を打ち立てたわけではありません。
それでも初登場1位でキャプテン・アメリカ(シビルウォー)など他作品を打ち負かしたといった感じの意味を持つヘッドラインになっています。