結論から書くと画像編集することについては「retouch」がよく使われます。これはadobeのPhotoshopなどを使ったデジタル加工の他にも、絵画などを修正することも含まれます。
ほかにもairbrushといった単語や、touch upという表現も使われることがあるので違いをご紹介します。最近はPhotoshopを動詞で使うケースもよく見かけるようになりました。
retouch(レタッチ)の使い方
retouchは写真などに修正を加えて整える作業を意味します。デザイン業界ではわりとよく聞く言葉で、プロのカメラマンが撮影した写真であっても雑誌などに掲載される場合にそのまま載るほうが珍しいです。
モデルの体形を変えてしまうほどの修正もありますが、写りこんだごみを取り除いたり、光を調整したりといった作業です。
retouchを使うと慎重で注意深く丁寧にやった編集作業を連想させます。
Magazines often retouch their photos to make them look better.
雑誌はしばしばよりよく見せるために写真の修整を行う。
発音は「リタッチ」が近いと思いますが、日本の印刷・デザイン界隈では「レタッチ」ともよく言われています。
基本的には「写真」に対して使う単語であり、実際の人間の化粧をなおしたりには使いません。写真以外では古くなった絵画などの修復作業などにも使われる単語です。
retouched photo
フランスでは2017年10月1日から雑誌などの広告に掲載されるモデルの写真が痩せて見えたり、胸などが大きく見えるように編集されている場合には「この画像は加工されています」と注意書きを掲載することが義務付けられました。
この法律の目的は修正されたモデルの体形などを見て、実現不可能な「理想の体形」をイメージしてしまい、自信の喪失や拒食など極端なダイエットにはしってしまうことを防ぐ狙いがあります。
以下は実際に配信されたニュース文からです。
From October 1st, it became mandatory for French magazines, websites, and ads to label any photo that has been digitally altered with “retouched photo
10月1日より、フランスの雑誌、ウェブサイト、広告のデジタル加工されたいかなる写真にも「レタッチされた写真」と表示することが義務化された。
ラベル表示をつけない写真は最大で37500ユーロ(約500万円)の罰金が科せられます。
またモデルには仕事の前に医療的な証明を要求するなど、フランスはファッション業界が盛んな国であるため、規制に対して他の国よりも力を入れている様子がうかがえます。
ニュース文にも登場していますが一言ではなく「digitally alter(デジタル処理で変更する)」といった表現も使えます。
touch upの意味と使い方
touch upも写真を編集することですが、retouchに比べるとややざっと素早く仕上げた動作である印象を与えます。
Magazines often touch up their photos to make them look better.
(上の例文と同じ意味だが少し急いでいる雑な作業を連想させる)
雑誌掲載の写真の加工などは丁寧に修正をやっていると思うのでretouchが一般的です。touch upを使うと急いでやったような印象があります。
retouchは基本的には写真の編集ですが、touch upは化粧などをなおすことにも使えるので意味が広いです。
She ran to the bathroom to touch up her make-up.
彼女はトイレに行って、化粧をなおした。
They are touching up a few rooms in my building.
彼らは建物のいくつかの部屋に修整をくわえている。
▲ She ran to the bathroom to retouch her make-up.
(人間そのものにretouchをあまり使わない)
▲ They are retouching a few rooms in my building.
(同様にモノ・物体にあまり使わない)
touchは「触る」のタッチですが文脈なしで使うと性的な意味を含むので注意が必要です。
airbrush(デジタル加工)
airbrushは文字通り「~にエアブラシで描く」の意味で、スプレー状のペイント道具を使って描くことを意味します。
His van has a unicorn airbrushed on it.
彼の小型トラックはエアブラシでユニコーンが描かれている。
My cousin makes money airbrushing guitars.
うちの従兄弟はギターにエアブラシで描いてお金を稼いでる。
これは実際にエアブラシを使わなくても、デジタル的に修正することに対しても使います。特に何かを消すことによく使われます。
They airbrushed the mole off her face.
彼らは彼女の顔からホクロを消した。
He was holding a gun in the original movie poster but they airbrushed it out.
オリジナルの映画のポスターでは彼は銃を持っていたが、しかし彼らはそれを消した。
この場合にはわざわざ「デジタル加工で」「彼女の顔(の写真)」からと書かないケースなので、airbrushが登場した時点で文脈からデジタルの話だと判断するしかありません。
photoshop
最近はadobe(アドビ)の有名な画像編集ソフトPhotoshop(フォトショップ)が動詞で使われるケースも増えてきました。他のソフトを使っていてもphotoshopを使います。
Can you photoshop that guy in the background out of the picture?
あの背景にいる男を写真から取り除く加工できる?
I photoshopped myself next to Donald Trump.
私はフォトショップで自分のトランプの横に加工した。
「ネット検索すること」を「google」と動詞で使うのと同じ発想であり、たとえBingを使っていても「google」を動詞で用います。
また固有名詞ですが動詞で使う場合には先頭を小文字にするケースもあります。このあたりは最近の言葉・用法で厳格なルールはありません。