カタカナでもよく聞かれるようになったスペック(spec)は「仕様、仕様書」といった意味でspecificationの省略した形です。性能と考えても近い部分はありますが実際の使い方を例文にまとめました。
カタカナでは「ハイスペック」「ロースペック」といった言い方がされますが、これが意味不明ではないものの一般的だとも言い難い和製英語ぎみの表現になっています。
一般的に高性能を意味するならば「high-performance(ハイ・パフォーマンス)」が使える表現です。数値の上で比較する場合には「tale of the tape」といった表現もあるので順番にご紹介します。
spec(specification)の意味と使い方
specはspecificationを省略した形で、意味は「仕様、仕様書、設計図」です。一般的には仕様・性能といった意味でそのまま使う分には問題がありません。
Can you tell me your computer’s specs?
私にあなたのコンピュータの仕様を教えてくれない?
My computer’s specs are not good enough for this game.
私のコンピュータの仕様(性能)はこのゲームのためには十分ではない。
仕様とはどんなパーツ・部品を使いどれぐらいの性能が出せるのかといったことで「性能」と日本語で考えることは可能です。
Can you give me the specs on the latest engineering project?
最新のエンジニアリングプロジェクトの仕様書をくれない?
最新のエンジニアリングプロジェクトの詳しい情報がほしい、という意味です。
ハイ・スペック(high-spec)は和製英語ぎみ
もともと「仕様」の意味で文脈によっては「性能」と考えてもいいんですが、これをそのままハイ・スペック(high-spec)として高性能を表そうとすると和製英語っぽくなります。
△ The Playstation 4 is a high-spec console.
プレイステーション4はハイスペックのコンソールです。
「ハイスペック」「ロースペック」といった使い方は、意味はわかるものの一般的であるとは言い難い英語です。完全に意味不明なわけではありません。表現するなら以下の例文の形です。
The Playstation 4 is a high-tech console.
プレイステーション4はハイテクのコンソールです。
The Playstation 4 is a state-of-the-art console.
プレイステーション4は最新式のコンソールです。
最近は高学歴、高収入といった人間的な評価にも用いられるケースがありますが、そこまでいくと完全なカタカナ表現になってしまいます。
また価格で「高級品」を意味するならばhigh-endは可能です。
high-performance
パソコンや車であれば「high-performance」が一般的です。他よりも強い、速いなど他の何かよりも有能、高性能なことです。
The Ferrari is a high-performance automobile.
フェラーリは高性能の自動車です。
I bought some high performance running shoes to take part in the marathon.
私はマラソンに参加するために高性能なランニングシューズを買った。
This university has several high performance computers to process genetic information.
この大学には遺伝学の情報を処理するための高性能なコンピュータが数台ある。
こういうケースの場合に「ハイスペック」という言葉を使う人もいますが、意味はわからないではないものの、やや和製英語な使い方になってしまいます。
tale of the tape
熟語で直訳すると「テープでの話」となります。もともとはボクシングに由来する表現ですが、これも考え方としてはカタカナの「スペック」に近いものです。
対戦するボクサー同士を比較した場合に、身長や手の長さといった試合前の基本情報は大きな勝敗の要因です。しかし、ボクシングのようなスポーツは何が起こるかわかりません。
ここから「基本情報で比較すると」「数字の上での判断」「データ」といった意味で使われることがあります。
If we look at the tale of the tape, the Porche is a better car.
数字だけを見ると、ポルシェのほうがいい車だね。
Judging by the tale of the tape, Mayweather has the advantage.
テープの話(データ)で判断すると、メイウェザーが有利だね。
家電などもそうですがパンフレットのスペックや数字では有利であっても、実際に使ってみないとよくわからない部分も大きいです。それをわかったうえで「数字の上での話、基本情報の話」として取り上げるときに使う、面白い表現です。
カタカナでもスペックの話をする場合には、数値の性能は良いけれど裏を返すと「実際に動かしてみないと体感としてはわからない」といった意味が含まれているケースがあります。
高収入、高学歴みたいなハイスペックの話も同様で、年収などを考えると世間一般では良い結婚相手とされるけど、実際に結婚して幸せかどうかはやってみないとわからない部分もあります。
こういった要素も「tale of the tape」だといえます。