run away(ランアウェイ / ランナウェイ)やescape(エスケイプ)は曲のタイトルも含めてカタカナでも広く使われている「逃げる」を意味する単語です。
fleeは「逃亡する」のような雰囲気が近く、evacuateは「避難する」といった使い方がされます。ここではそれぞれの自動詞・他動詞といった使い方の違いから、ニュアンスや何から逃げるかの言葉の相性の問題などを整理しています。細かい部分も含めてネイティブの意見を聞きながら例文付きでまとめてみました。
run awayの使い方
run awayは「逃げる、逃亡する」の意味でよく知られています。escapeと同じような意味です。
一種の慣用句であり元々は「足で走って」の意味ですが、車、飛行機、歩いて逃げても「run away」です。物理的な話だけではなく日本語と同じ「問題から逃げる」のような使い方もできます。
また英語の音のつながりを紹介する時にも登場する言葉で「run away / ラン・アウェイ」と書かれますが、実際の会話では発音は「ラナウェイ」のようにつながり話が有名です。
When the monster entered the room everyone ran away.
怪獣が部屋に入ってきたとき、全員が逃げた。
You can’t run away from all your problems.
君はすべて問題から逃げることはできないよ。
run awayには何から逃げたかを示す「from」や、どこに逃げたかの「to」を伴うことも多いです。
He ran away from the police to Mexico.
彼は警察から逃れるためメキシコに逃げた。
He ran away to Mexico.
彼はメキシコに逃げた。
He ran away from the bee.
彼はハチから逃げた。
He ran away from the explosion.
彼は爆発から逃げた。
別の表現でrun offもありますが、こちらは別の記事でoffとawayのネイティブの感覚の違いについてまとめています。
失踪する、家出をする、駈け落ちする
run awayには熟語、イディオムぎみの意味で「失踪する、家出をする、駈け落ちする」の使い方があります。逃げることの一種だといえるので、そこまで意味が違うわけではありません。
特に突然、あるいは秘密で、といったニュアンスを含みます。特に指定がないと「家から」というニュアンスを含んできます。
She ran away with her boyfriend and they got married.
彼女は彼氏と一緒に家を出て、二人は結婚した。
He ran away from home when he was 15.
彼は15歳のときに家を出た。
flee
「~から逃げる、~から逃れる、~からを逃走する」の意味で、活用は「flee-fled-fled」です。自由の「free」とスペルが似ているのと、訴えるの「file(過去形:filed)」とも似ているので読み違えそうになります。
発音を貼っておきます。fleeの発音はフリーマーケット(flea market)つまり蚤(ノミ)を意味する「flea」と同じ、同音異義語です。
flee【flíː】
free【fríː】
run awayとの比較で言えば、flee(逃亡する)run away(逃げる)ぐらいの差が感覚的に近いかもしれません。
run awayを使うと「立ち去った、逃げた」としか伝えておらず、感覚的には例えば「恋人に振られたからメキシコに逃げた」「人生が嫌になってメキシコに逃げた」「逮捕が嫌で警察から逃げた」など、さまざまな可能性を含んでいます。
一方でfleeを使うと強く「(警察あるいは国家権力などから)逃亡している」というニュアンスが出るので文章が短くコンパクトにおさまります。
He fled to Mexico.
He fled the police to Mexico.
彼はメキシコに(警察から)逃亡した。
「the police」と書かなくてもおおよそ警察から逃れていることが言葉の雰囲気としてわかります。
また他動詞の扱いになることが多く、fleeの後ろには場所や状況が来るので少し日本人にはつかみにくい部分かもしれません。なんとなく「from」を入れたくなりますが必要ありません。
They fled the prison when the guard was distracted.
彼らは警備員が注意散漫なときに刑務所から脱走した。
Many people are fleeing Syria.
多くの人がシリアから逃げている。
She fled the abusive relationship.
彼女は虐待関係から逃れた。
言葉の相性がありfleeはあまり小さな出来事には使いません。
▲ He fled the bee.
○ He ran away from the bee.
(ちょっと表現が大げさ)
○ He fled the explosion.
○ He ran away from the explosion.
彼は爆発から逃げた。
爆発は「run away」「flee」ともにOKだけど、ハチから逃げるのはrun awayが妥当といった判断です。どこまでという明確なラインはない感覚的なものです。
逃亡中、逃走中
何かから逃げている最中を意味するのは「on the run」などがよく使われます。「逃げている、逃走中である」であるといった意味で、だいたい警察からであることが多いです。
The robbers have been on the run since last week.
強盗たちは先週から逃走中だ。
The murder is still on the run.
殺人犯はまだ逃走中だ。
She is on the run from the mafia.
彼女はマフィアから逃げている。
on the lamは警察に捕まるのを避けることで「逃走中で」といった意味になります。
The criminal has been on the lam for years.
その犯罪者は何年も逃走中だ。
The movie is about a doctor who is on the lam for a crime he didn’t commit.
その映画は犯していない罪のために逃走中の医師についての物語だ。
「at large」でも「逃亡中で、野放しで」の意味がありニュースでも見かけます。
The murderer is still at large.
殺人犯はまだ逃亡中だ。
escapeの使い方
同じくescape(エスケープ)も「逃げる」ですが、こちらはわりと何にでも使えます。置き換え可能なものも多く、escapeのほうが意味が広いです。
英語の発音としては【iskéip / eskéip】なので、あえてカタカナで書くならば「イスケイプ」「エスケイプ」が近いです。
escape【iskéip / eskéip】
They escaped the prison when the guard was distracted.
彼らは警備員が注意散漫なときに刑務所から脱走した。
Many people are escaping Syria.
多くの人がシリアから逃げている。
She escaped the abusive relationship.
彼女は虐待関係から逃れた。
He can escape from handcuffs.
彼は手錠から抜け出ることができる。
I need to escape this boring life.
この退屈な生活から脱出する必要がある。
We escaped the killer.
殺人鬼から逃げてきた。
escape(名詞)
またescapeの特徴として名詞でも使える点があります。
The prisoners made a daring escape.
囚人たちは命知らずの逃亡を行った。
I went to Paris as an escape from my busy life.
この忙しい生活からの逃避としてパリに行った。
evacuateの使い方
evacuateは「避難する」の日本語がぴったりで、組織的に列を作って逃げたり、そもそも災害などが来る前に逃げることです。escapeは単純に「逃げる」でしかありません。
We evacuated the building because of a fire.
私たちは火事のためビルから避難した。
We escaped the fire.
火事から逃げ出した。
evacuateの後ろに、避難してきた「建物・場所」が入ります。一方でescapeは逃げ出してきた対象が入るので使い方が違います。
We barely escaped the flood.
私達は辛うじて洪水から逃げてきた。
We evacuated our home because of the flood.
洪水のため、私達は家から避難した。