fix / repair / mendはどれも「なおす」といった意味に集約されますが、それぞれ微妙に異なるニュアンスを持つためベストな表現が変わります。
また日本語との兼ね合いで、英語でそのモノ・事象を「壊れている」と認識できるかどうかの違いがあります。例えば人間関係は「壊れている」と考えられるけど、悪い生活態度は「壊れていない」となります。
同様に修理する、なおす、補修する、修正するがイコールにならないような差が英語にもあります。ネイティブスピーカーに何がOKで何がダメかを1つ1つ確認してみました。
この記事の目次!
fix / repair / mendの使い方
どれも「修理する・直す」といった意味の言葉で基本的にはどれも同じ意味です。以下の例文の「シャツを修理した」のようにすべて置き換え可能なケースも存在しています。
He fixed his shirt.
He mended his shirt.
He repaired his shirt.
どれでも同じ意味になりますが、その上で少し言葉の性質として使われやすい傾向のようなものがあります。
例えばrepairは機械や物理的な修理などに使われることが多い言葉です。
mendは繊維などに対して使われる傾向がある、ちょっと古くさい単語ではあります。グーグル検索で「mending」を検索すると服やジーンズなどの穴を塞ぐ画像が多く登場するように「補修」の意味合いが強くなります。
しかし、多い・傾向があるというだけで、ほかのモノに使ってはいけないわけではありません。
意味が広いfix
特にfixはいろんな意味を持つ単語でときに「make」「correct」として使われます。
He fixed his shirt.
(修理? 整えた?)
この例文は少し曖昧で、服が破れていたから直したようにも読めるし、服装が乱れていたので整えたようにも読めてしまえます。
また辞書で検索しても日本語訳に「固定する」や「食事や飲み物を用意する、準備する、作る」などの意味がfixには含まれています。
He fixed dinner.
(夕食を作った? 整えた?)
この例文も解釈に幅が生まれ、makeの意味で「彼が夕食を作った」とも解釈できるし、味がいまいちだったので「味を整えた」ようにも読めます。
fixは他にも「決定する」「調整する」「解決する」といった修理を越えた意味で広く使える反面、文脈によって解釈に幅が生まれるためどの意味で使っているのかはっきりさせる必要がある言葉だといえます。
fixについては単独で使い方を記事にまとめています。
修理する、直す、改めるは英語でどういうか?
日本語から考えた場合にどの言葉がふさわしいのかは難しいです。直訳が成立するケースもあれば、そもそも根本的な部分でとらえ方が違うケースもあります。
全パターン検証としてネイティブスピーカーにどれが使えるのか? 使えないのか? を検証してみました。
あらためて見ると「fix」の意味の広さ、柔軟さがわかるのと、日本語とのとらえ方の違いが出ます。
自動車を修理する
自動車が壊れたので「修理する、直す」といった場合には以下の表現が考えられます。
〇 I fixed my car.
〇 I repaired my car.
△ I mended my car.
この場合のmendが間違いではありませんが、自動車に穴が開いていたのでそれを直したのように、特定の修理を強く連想させます。エンジンが動かなくなったといったメカニカルな修理に関してはfixかrepairがベストです。
服の穴を修理する
服に穴が開いていたので修理する場合にはどの単語を使っても同じ意味になります。mendは衣服の修理につかわれやすい言葉ですが、特に意識せずに他の単語で十分に自然な表現になります。
〇 I fixed the hole in my shirt.
〇 I mended the hole in my shirt.
〇 I repaired the hole in my shirt.
冒頭であげた例文ではfixを使うと修理する、整えるなど曖昧になりましたが、ここでは「the hole in my shirt(シャツの穴)」と明確に言っているので修理の意味で受け止められます。
彼女との関係を修復する
彼女との関係が悪くなったので関係を改善する、修復するといった場合には以下のパターンがあります。
〇 I repaired my relationship with her.
〇 I mended my relationship with her.
mendは衣服などの繊維に、repairは機械的なものに使われる傾向があるものの、このように人間関係の改善にも使うことができます。
しかしながら「fix」を使うと意味が広くなるため、文章が曖昧になります。
△ I fixed my relationship with her.
彼女との関係を固定した(?)
△ I fixed our relationship.
私たちの関係(彼女との関係)を改善した(?) / 固定した(?)
このように書くと彼女との関係を一定の形に固定したと読まれる可能性が高くなります。「関係を固定する」が具体的に何を意味するのか不明です。
したがってfixの解釈が広くなるため、後ろの目的語を明確にしてあげるとより文章がはっきりします。
I fixed the problem that was hurting our relationship.
私は私たちの関係(彼女との関係)を傷つけている問題を修正した。
もしくは最初から「improve(改善する)」のような言葉を使ったほうがわかりやすいかもしれません。
態度をあらためる
これは日本語からの直訳ができないパターンです。そもそも生活態度、態度(attitude)が悪いことは「壊れている」とは考えないからです。壊れていないものは修理できません。
× I repaired my attitude.
× I mended my attitude.
★ I fixed my attitude.
(固定したの意味なら理解は可能)
この場合のfixは「生活態度を固定した」と解釈することは可能です。仮に「my bad attitude(悪い態度)」であったとしても、やはり態度は壊れていないため修理ができません。
その場合はimproveを使うのがベストだといえます。
I improved my attitude.
私は態度をあらためた。
医者が病気を治す
医者が病気を治すことは日本語でも「医者が人間を修理した」とはいわないのと同様に根本的な部分で病気は壊れているとは考えません。したがって修理はしません。
× The doctor repaired my disease.
× The doctor mended my disease.
▲ The doctor fixed my disease.
病気を治すのに「fix」を使う人をカナダ人のスティーブは過去に聞いた経験があるのはあるといっていましたが一般的には使わない部類の表現です。
しかし病気・怪我の中でも「壊れている」と表現できる「broken arm(腕の骨折)」などには使えます。
〇 The doctor mended my broken arm.
〇 The doctor repaired my broken arm.
△ The doctor fixed my broken arm.
この場合、やはりfixは「固定する」の意味があるためギプスのようなもので固定することを連想させます。しかし固定することはなおしているので解釈としては微妙ですね。
誤字・脱字を修正する
これも「壊れている」と認識できるかどうかの問題のように感じます。そもそも誤字・脱字は壊れていないので修理できないのだと思いますがfixが使えます。
fixの持つ「修正する、調整する、整える」みたいな意味が効いているためfixだけは使えます。
〇 I fixed that typo.
× I repaired that typo.
× I mended that typo.
スケジュールを修正する
これも考え方としては同じで「スケジュール」は壊れていないため修理することができません。fixは使えますが別の「固定する、決定する」の意味で受け止められます。
× I repaired my schedule.
× I mended my schedule.
★ I fixed my schedule.
= I decided my schedule.
もし「スケジュールを修正する」を変更するといった意味で言いたいならば単純に「change」でいいのではないでしょうか。
I changed the schedule.
スケジュールを変更した。
問題を修正する
これも同じく「problem」は問題・課題だと考えることはできますが、別に問題そのものが壊れているわけではないので修理できません。
やはりここではfixのみ使える状況です。マネージャーは問題を修正・修理した、となります。
〇 The manager fixed the problem.
× The manager mended the problem.
★ The manager repaired the problem.
最後のrepairはこのproblemが何かが壊れているといった問題であるならば可能になります。エンジンが壊れていたのをマネージャーが修理したといった意味ならば成立します。
人に頼むか? 自分で直すか?
これはfixやrepair、mendだけに限りませんが、一般的に人に頼むか自分でやるかで表現が変わります。
人に頼む : have + モノ + fixed(過去分詞)
自分でやる : fix + モノ
I repaired my car.
I fixed my car.
(おそらく自分で工具を使って修理した)
I had my car repaired.
I had my car fixed.
(人に頼んで修理した)
正確にいえば「fix + モノ」を使うと100%自分でやったと解釈されるわけではなく、どっちかわからない状況になります。カジュアルな場面では人に頼んでいてもこういう表現も出てくると思います。
反対に「have + モノ + fixed(過去分詞)」を使うと100%、人に頼んで修理をしてもらったと受け止められます。
これは修理だけではなくcut(切る)やdye(染める)なども同じです。
I cut my hair.
(おそらく自分で髪を切った)
I had my hair cut.
(美容室などで切ってもらった)
髪の毛の場合でもヘアスタイルを見れば自分でできるかどうかは明らかなのであまり厳格にこのルールが運用されている感じでもありませんが、have + 過去分詞だと「人に切ってもらった」が明らかなので誤解が生まれません。