カタカナでも「スペア」はよく使われ、日本語の「予備の」と考えても間違いではありませんが、その意味では対応できない部分もあります。
特にspareは動詞でも使うことができ「大目に見る、見逃す」といった意味になります。文脈によっては真逆の意味が同じspareという単語で表現されてしまうので、少しカタカナよりは意味が広いです。このあたりの「spare」の使い方をまとめてみました。
形容詞・名詞でのspareの使い方
この形容詞での使い方はカタカナでもおなじみであり「予備の、追加の」といった意味です。この使い方は英語でもあります。
動詞のパートで解説していますが深い部分では「refrain(控える)」のような感覚で、使うのを控えられたものといったイメージです。
スペアキーやスペアタイヤのようなそのままカタカナになっているものもあれば、スペアタイム(空き時間)のようなカタカナだとそこまで見かけない組み合わせもあります。変わったところでは太ったお腹をその見た目から「spare tire(スペアタイヤ)」と呼ぶような表現もあります。
I have a spare tire in my trunk.
トランクにスペアのタイヤがある。
Do you have a spare key?
スペアキーはある?
He builds Gundam models in his spare time.
彼は空き時間にガンダムのプラモデルを組む。
Do you have any spare change?
小銭あまってない?(余分な小銭ない?)
まれに名詞で「予備の品、追加の品」といった使い方もされます。
My pen is empty. Do you have a spare?
ペンが空になった。予備を持ってる?
ボウリングのスペア
ボウリングのスペアも英語でもあります。なぜスペアなのか由来は断定できませんが、1投で倒すところを、残ってしまったので予備の2投目(追加の2投目)を使って倒すことからだと思います。
I got three spares in a row.
3連続でスペアをとった。
ほかのボウリング用語は以下のリンクにあります。
動詞のspareの使い方
spareの本質的な意味としては「refrain(控える)」のような感覚があり、何かを使わないでとっておくことです。「予備の」も使うことを控えられたものだと考えることができます。
動詞では以下のように人に使うと「~を勘弁する、容赦する、大目に見る、見逃す」といった意味になります。
The boss spared him from doing extra work.
ボスは彼を追加の仕事から見逃した。
Please spare me!
殺さないで!(見逃して! 容赦して!)
上の例文の場合は「人」そのものを使うこと、用いることを控えるといったイメージの延長です。
また以下のように「not give」のような意味でも使えます。
I spared him the extra work by doing it myself.
私は自分でやることによって、彼に追加の仕事をあげなかった。
Spare me the excuses.
言い訳はやめろ。
上の例文も「彼を使うことを控える」「言い訳は控えてください」といったイメージで解釈できます。
このようにspareは何かを使わないこと全般を表現することができます。
逆の意味になるケース
しかし、以下の場合は「give」に近い意味で使っています。
Can you spare some change?
小銭をわけてくれる?
Could you spare a minute to help me?
少しの間、手伝ってくれますか?
この場合は相手に対して「あなたの時間/小銭を使うのを控えてくれますか?」と頼んでいます。そして「その控えた時間/小銭を私のために使ってくれませんか?」というつながりです。
結果的にあなたの時間・小銭を私にくれませんか? と頼んでいるのと同じになります。けっこうロジックとしては遠回りな感じもする表現です。