fiddle(フィドル)とは元は楽器としてのフィドルであり、基本的にはバイオリンと同一の楽器、同じ構造の楽器を指す言葉です。バイオリンのほうがフォーマルな感じがします。
そのフィドルを弾く様子から「いじる」といった意味で使われるようになりました。これは日本語の「いじる」と近い感覚で、髪の毛を触るような動作から、機械をさわる、操作するといった意味にもなります。
特徴がある象徴的な楽器なので「fit as a fiddle(フィドルのようにピンとはっている = 健康)」や「second fiddle(二番手、脇役)」といったイディオムにもつながっています。
この記事の目次!
fiddleの意味と使い方
いろいろ意味があるfiddleですが、何かを神経質にさわることで、動詞で「いじる、いじくる」などを意味します。
後に紹介していますがfiddleには楽器の「バイオリン」の意味があり、語源としては楽器としての意味が先にあります。バイオリンを演奏する動作が小刻みにいじっているように感じるところから「いじる、いじくる」の意味が成立しています。
日本語と同じように細かい調整をするために機械・コンピューターの設定を「いじる」といった使い方もできます。
She fiddled with her hair in the doctor’s waiting room.
彼女は医者の待合室で髪の毛をいじくっていた。
He sat at the table fiddling with a pen during the meeting.
彼はミーティングの間、ペンをいじりながらテーブルについていた。
I was fiddling with the settings on my iPhone.
私はiPhoneの設定をいじっていた。
I had to fiddle with the audio setting on my computer.
私はコンピューターの音の設定をいじらなければならなかった。
Stop fiddling with that machine!
あの機械をいじるな!
ごまかす
詐欺のような犯罪行為に使われ「~をだます、ごまかす」などの意味もあります。cheatと同じような意味でこちらも動詞です。
これも日本語でもちょっと悪い意味での操作をすることを「いじる」というので似ている語感です。
He was fired for fiddling with the accounting.
彼は会計をごまかしたことで解雇された。
fiddle aroundの意味と使い方
動詞ではfiddleだけでも問題ありませんが、fiddle aroundの形でよく見かけます。
この場合のaroundはさほど意味はなく、あちこちといったニュアンスが出て「いじくりまわす」ぐらいの意味でしかありません。
すでに登場した上のfiddleの例文をfiddle aroundに書き換えても問題なく通じます。
She fiddled around with her hair in the doctor’s waiting room.
I was fiddling around with the settings on my iPhone.
Stop fiddling around with that machine!
He was fired for fiddling around with the accounting.
(fiddle aroundとしても似た意味です)
fidgetとfiddleの違い
fidgetもよく似た言葉で「いじくる、そわそわする」などで貧乏ゆすりのような動作を表します。
ただしこの意味では、使い方に違いがあってfiddleは「何を」いじるかという目的語を必要としますがfidgetはなくてもかまいません。
He was fidgeting with his hands throughout the job interview.
彼は面接の間ずっと、手をそわそわさせていた。
She was fidgeting so much she dropped her pencil.
彼女はペンをいじくりすぎて落とした。
▲ She was fiddling so much she dropped her pencil.
(変な表現で、違う意味だと感じさせる)
フィドル(バイオリン)を弾く
動詞で「フィドル(バイオリン)を弾く」という意味もあります。名詞でもそのまま「フィドル(バイオリン)」を意味します。
I would like to learn to fiddle.
私はフィドルの弾き方を学びたい。
He fiddled for three hours during the party.
彼はパーティーのあいだ3時間、フィドルを弾いていた。
The band added a fiddle player last year.
そのバンドは去年、フィドル奏者を加えた。
I bought a new fiddle last week.
私は先週、新しいフィドルを買った。
バイオリン(violin)とフィドル(fiddle)の違い
楽器としては基本的にはバイオリンとフィドルは同じもので、「ヴァイオリン / バイオリン」がイタリア語から、「フィドル」が英語から成り立っている言葉です。
専門的に扱っている人にすればバイオリンとフィドルは違うといわれる可能性はありますが、あくまで一般的なネイティブスピーカーにとっての、英単語での感覚だという点をご了承ください。
fiddleはよりカジュアルな感じで、アイリッシュ系の音楽やカントリーミュージックなど近代的なスタイルの音楽で使われる際の名称です。一方でviolinはクラシック音楽などでよりフォーマルに使われる言葉です。
○ She is a highly trained violinist in the symphony.
△ She is a highly trained fiddle player in the symphony.
彼女はその交響楽団ではかなり熟練のバイオリニストだ。
上の場合には交響楽団の話なので雰囲気としてはviolinistのほうがより良いです。fiddleを使って間違いではありませんが、あまりにもカジュアルで合わない表現になります。
○ He’s been a fiddle player in the bluegrass band for 20 years.
△ He’s been a violinist in the bluegrass band for 20 years.
彼は20年間、ブルーグラスのバンドのバイオリン奏者だった。
ブルーグラスはアコースティック音楽のジャンルなのでfiddleがより良い表現です。violinistも可能ですが、たぶんクラシック音楽であるかのような、重苦しいフォーマルな感じになってしまいます。
(as) fit as a fiddle
fiddleはけっこう熟語や比喩に使われる言葉であり(as)fit as a fiddleは「すごく健康である」といった意味です。
語源はフィドル、バイオリンの弦がピンと張っていることに由来します。日本語のぴんぴんしていると近いです。前のasはなくてもOKです。
直訳するとフィドルのように健康だといった感じです。
She exercises every day, so she’s [as] fit as a fiddle.
彼女は毎日、エクササイズをしている。だから、彼女はすごく健康だ。
My doctor told me I’m [as] fit as a fiddle.
医者は私に、あなたは完全に健康だといった。
second fiddle
second fiddleは「2番目のフィドル、2番目のバイオリン」であり、転じて「二番手、脇役」みたいな意味になります。
主役ではない2番手なので基本的には否定的な意味で用いられることが多いです。ただし銀メダルと同じで2番手をよしとする場合もあると思います。
I don’t want to play second fiddle at this company any more.
私はこれ以上、この会社で二番手に甘んじたくない。
She is happy playing second fiddle in the play.
彼女は劇で準主役を演じられてうれしい。