breakは後ろにoff, up, downなどをともなって様々な意味を作っています。break upなどはカタカナでも聞く感じですが、これだけでも複数の意味で使われます。
breakの元々の壊れるイメージに加えて、どう壊れていくかなど細かな表現やニュアンスにつながっているので整理してみました。
掲載している例文はすべてネイティブスピーカーに書いてもらったものです。
この記事の目次!
break
単純なbreakは「物が2つ以上に分裂してしまう、分かれてしまう」の意味と、特にコンピュターなどの電子製品が「動かなくなる」の2つの大きな意味があります。
My iPad is broken
(私のiPadが動かない/壊れている)
My iPad is broken in two.
(私のiPadが2つになっている/2つに割れている)
機械だけでなく自分の骨などを骨折した際にも使えます。
I broke my leg.
(足の骨を折った)
他にも記録を破る際の「break a record」や、誰かを失望させる、振る行為の「break (someone’s) heart」など物理的ではない壊すにも使うことができます。
お金がない・金欠
brokeの形でお金がないことを表すのも頻出の表現です。
I thought you were broke.
(私はキミはお金がないと思ってたよ)
Buying that sports car left me broke.
(スポーツカーを買って金欠になった)
I’m broke.
(私は金欠だ)
break up
break upはロックバンドやグループなどの解散などにも使われますが、男女関係の別れや喧嘩の仲裁などさまざまな意味で使われます。
喧嘩をやめさせる
言い換えると「end a fight」の意味で、ケンカなどのトラブルを止めに入ることに使える表現です。
Hey break it up you two!
= Stop fighting!
(なあ、ふたりともケンカはやめろ)
Police were called in to break up the brawl in Kabukicho.
(歌舞伎町での乱闘を止めるために警察が呼ばれた)
男女が別れる・解散する
こちらもよく知られた意味で、「カップルや人間関係が終わる、破局する」の意味で使われています。言い換えると「end a relationship」になります。
「~を終わらせる」と「終わる」の両方の意味でとれます。
She broke up with me because I cheated.
(私が浮気したので、彼女は私との関係を終わらせた)
We broke up when my company transferred me overseas.
(会社が海外に転勤を命じた時に私たちは破局した)
X Japan broke up because of creative differences.
(X Japanは音楽性の違いで解散した)
壊れる
「壊れてバラバラになる、砕け散る」あるいは「壊してバラバラにする、粉砕する」の意味もあります。乱暴で荒々しく、すばやく砕け散るようなタイプの現象に対して使います。
ニュアンス・感覚として、わかれた後に「何も残っていない」という意味があります。
The space shuttle broke up entering the Earth.
(スペースシャトルは地球に突入する時に壊れた)
The meteor broke up as it came near Earth.
(地球に接近したときに隕石は砕け散った)
An earthquake broke up my collection of dishes.
(地震が私のお皿のコレクションを粉々に砕いた)
break apart
先に紹介したbreak upとの違いになりますが、upだと粉々になって欠片も残っていないような壊れ方です。
break apartも「ほとんど壊れて残っていないけど、ちょっと残っている」という微妙なニュアンスの差があります。
The space shuttle broke apart entering the Earth.
(スペースシャトルは地球に突入する時にほぼ壊れた)
訳としては同じでいいかもしれませんが、状態としては破片や羽根など何かしら残骸が確認できるような壊れ方です。
break off
この表現は「何かから外れる、壊れたけど本体・中核をなすメインのものは残っている」というニュアンスを含んでいます。
Mori broke off from SMAP to race bikes.
(モリくんはオートレースのためにSMAPから抜けた)
モリくんは抜けたけどSMAPそのものは存続していました。
The handle broke off my suitcase.
(スーツケースのハンドルが壊れた)
これは明らかですが取っ手の部分が壊れただけで、本体のスーツケースは無事です。
Can you break off a piece of that cookie for me?
(あのケーキをひときれ、私にくれる?)
break down
break downにも「壊す、破壊する」の意味がありますが、ほかにもいくつかあるのでご紹介します。
(ゆっくりと)壊す・溶ける
upのほうに似たような意味が登場しました。「粉々になる、打ち砕く」の意味ですが、こちらはもっとゆっくりで、徐々に壊れていく現象に使います。
Construction crews are breaking down the abandoned hospital.
(工事作業員は廃棄された病院を解体している)
これも爆薬などでドーンと爆破するのではなく、窓をはずしたり丁寧に解体していくようなイメージです。
Sugar breaks down easily in hot coffee.
(砂糖は熱いコーヒーに簡単に溶ける)
このような例文だと壊れるというよりも、ゆっくりと溶けていくイメージが近いです。
The soap broke down the dried up food on the pot.
(洗剤が鍋の干上がった食べ物を粉々に砕いていった)
この例文は洗剤がこびりついた食べかすを溶かしていくようなイメージです。
シンプルな例文ですがsoapを四角い石鹸と思い込み、dried up foodをドライフルーツのようなものをイメージして、potをお湯が出てくるポットと勘違いすると、本当に理解不可能な例文になってしまいます。
dried upは干からびた食べかすのような状態で、ドライフルーツのような意図的に乾燥させた食べ物はdried foodです。
説得する
「説得する」といった意味で、何度もお願いしてやらせることです。受け身になると「心が折れる、説得される」の意味になります。何度も頼むことでゆっくりと壊していくイメージは近いかもしれません。
He kept asking his parents for a toy until they broke down and bought it.
(彼は両親が折れておもちゃを買ってくれるまで、何度も頼み続けた)
The UN is hoping sanctions will make North Korea break down and end their nuclear program.
(国連は制裁が北朝鮮を折れさせ、核プログラムを停止させることを望んでいる)
壊れる
機械などが壊れる、動きを止める場合にも使います。特に機械関係(マシーン)に使い「車、掃除機、皿洗い器、エレベーター」などが壊れたときに使います。
逆に使わないのが電子製品で「電話、パソコン、コンピュター関係」などですが、この差はけっこう感覚的で説明が難しいですね。
My car broke down in the desert.
(車が砂漠で故障した)
My fridge broke down.
(冷蔵庫が壊れた)
精神が不安定になる
精神的に不安定になるようなことも指せます。
He broke down after working 31 days straight.
(彼は31日連続で働いた後に精神的に不安定になった)
名詞の形でも同じ意味を表せます。
He had a breakdown after working 31 days straight.
(彼は31日連続で働いた後に精神的に不安定になった)
break into / in
こちらも「侵入する」などの意味で、どちらかといえば「入ること/侵入すること」にフォーカスした表現です。
普通は侵入されたら何か盗まれていることが多いですが、文脈によっては入っただけのこともあります。
She broke in through the bathroom window.
(彼女はバスルームの窓から侵入した)
I closed the shutters so people can’t break in.
(人が入ってこれないようにシャッターを閉めた)
break into
breakにはカタカナでも使う「橋本環奈はブレーク/ブレイクした」のように、人気が出ることも意味します。
break intoで主に新しいキャリア、仕事などで成功することを意味する表現として使われます。
He didn’t break into show business until his 40s.
(彼は40代までショービジネスで成功しなかった)
I’m trying to break into manga writing.
(漫画家で成功するように挑戦している)
ブレイクする
まだ一般には知られていないアイドルグループや、そこまで売れていないバンドが「もうすぐブレイクするかもね」のブレイクは、break throughが最も近い表現です。
これは別項目で詳しくまとめているのでご覧ください。
break out
break outは何かが突発的に起こる、勃発する、発生するなどの意味があります。
よくfight(ケンカ)riot(暴動)war(戦争)などと一緒に使われますが、お祝いごとのイベントにも使える表現です。
Celebrations broke out in front of the Courthouse after the votes were read.
(投票結果が読み上げられると、裁判所の前では判決を祝う声があがった。)
語順を入れ替えたoutbreakは勃発、発生など病気などの流行にも使われます。
have a break
キットカットの有名なキャッチコピーに使われているbreakは「休憩」の意味です。
Let’s have a break.
Let’s take a break.
(休憩にしましょう)
カタカナでは「ブレイクタイム」とタイムをつける傾向があり、実際に辞書にも「break time」で掲載がありますが、あまり使わないし聞かないそうです。
少なくともカナダ人のスティーブはbreakは使っても、break timeは今まで使ったことがないと思うと言っていました。break単独で以下のような使い方をします。
He took a break at 11:00.
(彼は11時に休憩をとった)
He does puzzles on his break.
(彼は休憩時間にパズルをする)
breakfast
朝食の「breakfast」のfastを、「最初の」または 「速い」のファーストと勘違いしているケースがありますが、この場合のfastは「断食」を意味します。宗教上で言う「fast day」=断食日のfastと同じです。
最近、プチ断食といった「ファスティング(fasting)」と呼ばれるダイエットが流行っていますが同じ意味ですね。
つまり「breakfast」は、「fast (断食)」を「break (壊す)」という由来があり、一般的に言うと夕食と朝食の間が一番間隔があくことから、つまり「断食をやめる」という意味になります。
一方で、朝食とお昼をかねた朝と昼の間にとる食事を「brunch」=breakfast+lunchと言います。