destroy(デストロイ)は動詞で「破壊する」の意味ですが、これは建物などの破壊以外にも夢や計画などを「打ち砕く」といった物理的な破壊以外にも使うことができます。スポーツなどで大勝した場合にも登場します。
その名詞がdestructionで「破壊」です。派生語にはdestructがありますが、よく見かけるのは「self-destruct(自爆する)」の形です。
ここではdestroyの使い方を例文にまとめています。トランプ大統領が国連の演説で使い、聞いている人をぎょっとさせた場面がありました。
この記事の目次!
destroyの意味と使い方
あまりにも大きなダメージを引き起こして、何かが使えなくなったり失われたりするような状態にすることで、動詞で「破壊する、滅ぼす」を意味します。
ハンマーでスマホを叩き壊すのも、飛行機で街を空爆するのもdestroyなので規模感は広く使うことができます。
destroy【distrɔ́i】
過去形はそのままedをつけて「destroyed」です。アクセントが後ろにあります。
The earthquake destroyed three buildings.
地震が3つの建物を破壊した。
I destroyed the hard drive of my old computer.
私は私の古いコンピュータのハードドライブを壊した。
The city destroyed the building because it was unsafe.
市はビルを破壊した。なぜなら、安全ではなかったからだ。
Many homes were destroyed in the hurricane.
多くの家がハリケーンで破壊された。
打ち砕く、壊す
実際の建物など物理的なもの以外を破壊することにも使えます。可能性や計画などを「打ち砕く、廃止する、終わらせる」の意味でdefeatなどが近い意味です。
スポーツの試合などにも使われ、大規模な感じ、圧倒的な感じで勝つことを意味します。
The accident destroyed his dreams of going to a top college.
その事故が一流大学に行く彼の夢を壊した。
His gambling addiction destroyed his life.
彼のギャンブル依存が彼の人生をめちゃくちゃにした。
The Tigers destroyed the Giants, 16-1.
タイガースがジャイアンツを16対1で打ち破った。
I will destroy you at Tekken.
鉄拳(ゲーム)でキミを打ちのめすだろう。
トランプ大統領の国連演説より「totally + destroy」
2017年の国連における演説でトランプ大統領は北朝鮮に対してtotally destroyと発言しました。これが北朝鮮を「破壊する」なのか、核の計画を「打ち砕く」なのか、どの意味で使っているのか混乱させる言葉遣いでした。
We will have no choice but to totally destroy North Korea.
我々は北朝鮮を完全に破壊/打ち砕かざるをえない。
totallyも2つぐらい意味があり1つは「全体的に、何から何まで、完全に」で、もう1つがアメリカ英語の口語表現で「すっごく、とても、本当に」といった強調する方法です。
The tornado totally destroyed the community.
トルネードが完全にコミュニティを破壊してしまった。
Oh no! I totally forgot to lock my door!
あー! ドアに鍵をかけるのをすっかり忘れた!
「totally + destroy」の組み合わせだと、おそらくトランプ大統領は北朝鮮の政府に対して「(核開発計画などを)本当に打ち砕くよ」と、強調表現として「計画を打ち砕く」といっているのだと思います。
しかし、文章だけ読めば「完全に、何から何まで + 破壊する」とも受け止められるので、まるで北朝鮮に対して虐殺や廃墟にするぐらいの表現にも読めます。
North Koreaが政府を指すのか、国そのものを指しているのかも、どっちでも解釈できます。どっちにもとれる表現の、悪い解釈を続けていくと、虐殺行為みたいなものを連想させてしまうという話です。それを国連のスピーチで言ってみんながぎょっとしていました。
destruction(名詞)
名詞はdestructionで破壊する行為のことで「破滅すること、破壊行為」を意味します。
destruction【distrʌ́kʃən】
The destruction caused by the typhoon cost the city billions of yen.
台風によって引き起こされた破壊がその都市に10億円の損失をもたらした。
Some people think the internet will lead to the destruction of society.
インターネットは社会の破壊につながると考える人もいる。
destruct / self-destruct
派生語で「destruct」はありますが、少し奇妙な感じもする言葉遣いで意味としてはdestroyとdestructionと同じです。
しかし、destructを単独の言葉で用いるのが微妙なところです。
They destructed the factory.
= They destroyed the factory.
彼らは工場を破壊した。
こういった使い方よりも一般的には「self-destruct」の形で用いられ「自爆する」の意味になります。
The missile has a self-destruct function.
ミサイルは自爆機能がある。
トム・クルーズ主演の人気のスパイ映画『ミッション:インポッシブル』では、テレビシリーズの頃からの伝統で、指令が自爆装置付きのメッセージで来るのがお約束です。
このようにself-destructの形で用いられるのが一般的で、あまりdestruct単体では使わないといった意見がありました。
また自爆するは「自分をダメにする」といった意味でも使われます。
He self-destructed once he began using drugs.
彼はドラッグを使い始めてすぐに自分をダメにした。
この場合は死んだとまではいっておらず、人生を台無しにしたぐらいの意味合いです。
destroyとdemolishの違い
「破壊する、取り壊す」の意味ではdestroyとdemolishはほぼ同じです。英米で少し差がある表現です。
demolishはわりと建築的な意味での建物の解体作業、取り壊し作業によく使われます。
The city decided to demolish the old church.
市は古い教会を取り壊すことを決めた。
上のように建築的な意味での解体、破壊は英米どちらでも使えます。
The Tigers demolished the Giants 12-0.
タイガースはジャイアンツを12対0で破った。
また上のようにスポーツでの使い方も英米で可能です。
しかし、アメリカ英語では建築以外(解体業務)の意味での破壊にも使えます。イギリス英語ではあまり建築系の破壊以外には使われない傾向があります。
The terrorists’ bomb demolished an entire city block.
米:テロリストの爆弾は街区全体を破壊した。
Drugs demolished his life.
米:ドラッグは彼の人生を破壊した。
ドラッグの例文など、ほかにもいろんな言い方があるのでdemolishを使わないといけない理由はありませんが、北米の英語ではこういった広い意味での破壊にも使い方ができます。
destroyとrazeの違い
razeは建物などを完全に壊すことです。
The town was razed by the missile attack.
その町はミサイル攻撃で破壊された。
The company plans to raze the factory and build a new one.
その企業は工場を取り壊して新しい工場を建設する計画だ。
razeで表す「壊す」はたいてい故意に行われているというニュアンスを含みます。
下の2つの例文はどちらも「その家は竜巻で破壊された」という意味です。
2つ目の例文のようにrazeを使うことも間違いではありませんが、竜巻は自然災害で誰かの故意ではないため、destroyを使った方が一般的です。
○ The house was destroyed by the tornado.
△ The house was razed by the tornado.
その家は竜巻で破壊された。