英語では「walk “up” the street」や「walk “down” the street」といった表現が見られますが、このupやdownに特に意味に違いがないという話になりました。
基本的には「along」と扱いは一緒なので、どれも「道沿いに」といった感じであり、習慣的・癖ぐらいの感じで「up」「down」が使われています。
しかし、いくつかニュアンスに差が出るケースやstreet以外になるとまた話が少し変わるので違いを整理してみました。
この記事の目次!
「go up the street」と「go down the street」はどう違う?
道を聞かれた場合の答えとしても想定できますが、どれもalongと同じ意味で「道沿いに行け」といった意味でしかありません。
以下の例文はそれぞれ3つとも同じ意味の文で、upやdownもalongと同様、特に意味はありませんが、言葉の繰り返しを避けるために覚えておくと便利です。
I walked along the street.
= I walked up the street.
= I walked down the street.
私は通りを歩いていた。
I saw your uncle walking along the street the other day.
= I saw your uncle walking up the street the other day.
= I saw your uncle walking down the street the other day.
つい先日、キミのおじさんが道を歩いていたのを見たよ。
I walked quickly along the street to get to work on time.
I walked quickly up the street to get to work on time.
I walked quickly down the street to get to work on time.
仕事に間に合うように、急いで道を歩いた。
これは「walk(歩く)」に限った話ではなく「go(行く)」でも「drive(車で行く)」でも「run(走る)」でもどんな動詞でも一緒です。
例えば坂道を登っていくような意味であったとしても「down the street」と表現することができます。
これについてネイティブスピーカーと話し合っていましたが特に道の高低差、傾斜を考慮に入れているわけではないそうです。また南北や番地なども考慮に入れておらず、あまり意味なく「up」や「down」が使われています。
しかし、いくつかのケースでは微妙にニュアンスに差が出るケースがあります。
upは近づく / downは遠ざかる
ほぼ習慣的・癖のように使われているのでルールと呼ばれるほど厳格な決まりはありませんが、場合によっては「up / down」のどちらかが好んで使われる文脈があります。
「up」には近づいてくる感覚があり、「down」には遠ざかる感覚があるため、誰かの位置を中心に話しているような特定の文脈ではどちらかが使われることが多くなる傾向があります。
◎ He walked up the street to talk to me.
〇 He walked down the street to talk to me.
彼は私と話すために道を歩いた。
◎ He got angry at me and walked down the hallway to be alone.
〇 He got angry at me and walked up the hallway to be alone.
彼は私に怒り、一人になるために廊下を歩いていった。
このように近づく感覚があるものには「up」、離れていくものには「down」が使われる傾向があります。しかし、これらも感覚の話であってどちらを使っても間違いではありません。◎のほうがより多く使われているといった程度です。
明らかに高低差がある「山」や「階段」
すべての状況でupとdownを入れ替えて同じになるわけではなく、何を行くか、何に沿って歩くかによって、いくつか感覚的に差がでるケースがあります。
明らかに高低差があるもので、mountain(山)やstairs(階段)に対しては、やっぱり上るならば「up」、下るならば「down」が使われます。
He will go up the stairs.
彼は階段を上るだろう。
He will go down the stairs.
彼は階段を下りるだろう。
He will go up the mountain next month.
彼は来月、山を登るだろう。
He will go down the mountain next month.
彼は来月、山を下るだろう。
Go down the street, up the mountain.
= Go up the street, up the mountain.
道沿いに行って、山を登って。
mountain(山)に対してclimbではなく「go」を使うと、登山などではなく、軽い感じの山を感じさせます。それでもやっぱり上がる場合は明らかにupを使い、降りる場合はdownです。
また山の場合は立体的なのでalongを使うとおそらく山を登らずに山に沿って行くといった意味で解釈されます。
Go along the mountain.
山沿いに行って。
river(川)に対してのup / down
また「川沿いに歩く、川沿いに行く(along the river)」になると少しup / downにニュアンスの差が感じられます。ニュアンスの差なので人によっては一緒の可能性もある、すごくマイナーな差です。
川の場合はupを使うと川の流れに逆らう、上流に向かうというニュアンスが少し出ます。反対にdownだと下流になります。
Go up the river.
(上流に行く)
Go down the river.
(下流に行く)
しかし、これはニュアンスなので以下のように書くと100%間違いがありません。
Go upstream.
(100%上流に行く)
Go downstream.
(100%下流に行く)
ただし動詞との組み合わせの問題でもあり、以下のように「float(浮かぶ)」のように動きを感じさせない動詞だとあまり感じられません。
The boat floated along the river.
= The boat floated up the river.
= The boat floated down the river.
ボートは川に浮かんでいた。
down the middle
同じ考えですが、down the middleは直訳すると「真ん中に向かって、真ん中を」という意味ですが、主に二つの物を真ん中で分割するという意味で使われます。
食べ物を真ん中で切った場合に、二つの部分が等しく分かれることです。また、議論や意見の相違など、二つのグループや立場に分かれることを表す場合にも用いられます。
She cut the sandwich down the middle and shared it with her friend.
彼女はサンドイッチを真ん中で切って友達と分け合った。
The class was split down the middle between those who liked the book and those who didn’t.
クラスはその本が好きな人と嫌いな人で真っ二つに分かれていた。
これもdownは別にupでもalongでも同じですが、downが最も広く使われます。
She cut the sandwich along the middle and shared it with her friend.
She cut the sandwich up the middle and shared it with her friend.
彼女はサンドイッチを真ん中で切って友達と分け合った。
walk through the streets
「walk through the streets」は街を歩くといったように複数の道を指しますが、一般的には「公共の場に出る」「街に出る」といった意味で使われます。the streetsと複数形になっています。
複数の道を歩くの意味でも間違いではありませんが、ニュアンスとしては人々の目につく公共の場所、人前に出る、世間に出るといった感じです。
I can’t walk through the streets wearing such a short skirt.
私はそんなミニスカートを履いて人前に出れないよ。
I was walking through the streets when I saw a store that sells my favorite shoes.
街を歩いていたときに、私のお気に入りのクツを売っている店を見た。
up and down
up and downで「上がったり下がったり」としても使われます。back and forthは「前後に」を意味し、これらはどちらも「行ったり来たり」となります。
The police officer drove up and down the street.
= The police officer drove back and forth along the street.
警官は通りを行ったり来たり車で走っていた。
ups and downs
しかしups and downsになると意味が完全に異なり「浮き沈み、良い期間と悪い期間」のことです。複数形になっているのがカタカナと違います。
Our marriage has had its ups and downs like any other.
我々の結婚生活には、ほかの人がそうであるように、浮き沈みがあった。
You have to prepare for the many ups and downs of being a doctor.
あなたは医者であることで、多くの浮き沈みに備えなければならない。
There were a lot of ups and downs in our history.
私たちの歴史には多くの浮き沈みがあった。
My wife and I had a lot of ups and downs in our 50-year marriage.
50年の結婚生活の中で妻と私には良いことも悪いこともたくさんあった。