spillは「こぼれる、あふれる」といった意味の言葉です。他にも動詞で使った場合には「転げ落ちる」といった使われ方もします。
活用については2種類あり過去形・過去分詞にspiltをとるケースもありますが、一般的にはspilledが近年は多く用いられている傾向があります。
他にも有名な「秘密を漏らす」の意味があるspill the beansなどのイディオムにもなっているので使い方を例文にまとめています。
こぼれでる・あふれる
spill の基本的な意味は何かの中身をこぼしたり、あふれ出ることです。注ぎすぎたビールがあふれ出るようなものから、料理を運ぼうとしてぶちまけるような行為まで指すことができます。
用法としては自動詞(~があふれ出る)と他動詞(~をあふれさせる)の両方で使うことができます。
I spilled a cup of coffee on the desk.
机の上にコーヒーをこぼした。
I spilled coffee all over my lap.
膝の上にコーヒーをこぼした。
She spilled her purse out onto the table.
彼女は小銭入れをテーブルのうえにぶちまけた。
The shelf fell over and many books spilled out.
棚が倒れて、多くの本がばらまかれた。
He tipped the wineglass too far and it spilled on the carpet.
彼はワイングラスを極端に傾けたので、カーペットの上にこぼれた。
People spilled out of the building after the alarm went off.
アラームが鳴った後で、建物から人々が溢れ出た。
最後の例文のようにやや比喩的かなといった文章にも使えます。
spillの過去形・過去分詞
活用については過去形・過去分詞はspiltとspilledの2種類がありますがどちらも正解です。ただし1900年代からはspilledが優勢です。
以下は1800年頃からの変化で赤色が「spilled」で、青色が「spilt」です。
しかしながら「こぼれたミルク」のような言葉になると「spilt milk」のほうがやや使われており「spilled milk」のほうが少ないです。
全体を見ると青色のspilt milkが圧倒的に多い時代があり、spilled milkに追いつかれてから2000年以降はまたspilt milkが引き離しているといった奇妙な言葉の使われ方の変化が見られます。
どっちでも間違いではないのですが、ウインドウズの校正機能ではspiltに赤線がひかれて警告が出ました。
一般的にはspill – spilled(過去形)- spilled(過去分詞)を使っておけば無難でしょう。
spill(名詞)
名詞ではそのまま液体などがもれること、あふれ出ることを意味します。
There is a massive oil spill in the Gulf of Mexico.
メキシコ湾で大規模な石油の流出がある。
I told the staff there was a spill on the floor.
スタッフに床にこぼれたものがあると伝えた。
落ちる(動詞)
動詞では「落ちる、落馬する」といった意味もあります。特に自転車や階段などから意図しない形で転げ落ちるような動作に対してよく使われています。
She took a nasty spill of her horse.
彼女は激しく落馬した。
A: What happened to your arm?
B: I had a spill while riding my bike and cut it.
その腕、どうしたの?
自転車から落ちて、切ったんだ。
spill the beans
イディオムの中にもspillは見られspill the beansで「秘密をもらす」です。
She spilled the beans about our engagement.
彼女は私たちが結婚することの秘密をもらした。
How did you find out about my surprise?! Who spilled the beans?
どうやって私のサプライズを見つけたの?! だれが秘密をもらした?
由来について海外サイトを調べてみると、もっともらしい嘘・都市伝説として古代のギリシャで豆が投票に用いられていた説がありましたが、どうも1900年代になってから使われた表現なので古代ギリシャは関係ないだろうという意見でした。
spillそのものに「漏らす、打ち明ける、暴露する」という近い意味が古くからあったそうです。これは以下の紹介するイディオムにも見られます。
豆はどこから来た? という話については、表現としては派生した「spill the soup」「spill your guts」などもあり、その中でbeansが最もよく使われ生き残った程度であり、なんでもよかったのではないかといった話が書いてあります。
参考:The meaning and origin of the expression: Spill the beans
spill your guts
こちらはすべてを告白するといった意味です。spill the beansと似ていますが、spill the beansは悪意があったり、うっかり秘密を漏らしてしまうことですが、gutsはシンプルに告白するといった意味です。
A lot of famous actors spill their guts in a book at the end of their career.
多くの有名な俳優たちは、そのキャリアの最後で本ですべてを告白する。
We sat and drank coffee while she spilled her guts about her break-up with Brad.
私たちは座ってコーヒーを飲んだ。彼女がブラッドとの破局を告白する間。
これもspillにもともと「漏らす、打ち明ける、暴露する」といった意味があったので、そこからの発展した形だといえます。gutsは内臓やはらわたの意味です。
Spill it!
これでそのまま「Tell me!(教えろ!)」の意味になります。刑事ものなどで自白を迫るような場面で用いられたりします。
似た言葉で唾などを吐き出す「spit」を使った「Spit it out(はっきりいえ)」があります。Spit it outはモゴモゴしている人に対して使う言葉で、そもそも言う気がない人に使う「Spill it」とは性質が違います。
スペルも似ているので混同しやすい単語かもしれません。