「座る、腰掛ける、着席する」の意味においてはsitとsit downは大きな違いが見られません。どちらでも使うことができます。
しかし「〇〇を座らせる」のような表現や「sit down to」の形になるとニュアンスの差が感じられます。
Please, sit down.についてはいくつかの英会話の本では失礼にあたるといった注意も見られたので本当かどうか確認してみました。
あわせて『sit inとsit onの違い、椅子に座るはどちらか?』もあるのでご覧ください。
sitの過去形・過去分詞と発音
sitの過去形・過去分詞ともに「sat」で発音は【sǽt】です。
これは問題ないと思いますがsitの発音【sít】が、うまく発音しないとshit【ʃít】に聞こえてしまうので注意が必要です。
sit【sít】
shit【ʃít】
なかなか日本人には難しい発音かもしれません。
sitとsit downの違い
基本的にはsitとsit downは単純に「座る」という意味においては置き換えても問題ないケースも多いです。
I sat on a bench.
= I sat down on a bench.
私はベンチに座った。
She was tired and wanted to sit.
= She was tired and wanted to sit down.
彼女は疲れていて、座りたかった。
じっとしている
sit(座る)には「人や物が動かないままでいる」のような使い方があります。しかしsit downにはその意味がないので、この場合は置き換えれません。
Don’t just sit there. Do something!
じっとするな。何かやれ!
I told him to go home but he just sat there staring at me.
私は彼に家に帰るよう伝えたが、彼はただそこでいて、私を見ていた。
この例文はおそらく突っ立っていて、座ってはなさそうです。問題は立っている座っているといった体勢の問題ではなく「動かずにそこにいる」といった意味が重要になります。
(建物などが)ある
また同じくsitには「建物などがある場所に存在する、位置する」といった意味があります。この場合もsit downには置き換えれません。
This building sits on the edge of the river.
この建物は川の端っこに立っている。
この意味で使う場合は「stand」も「sit」も同じ意味になってしまう不思議さがあります。
The town sits(= stands) on the other side of the mountains.
その町は山のあちら側にある。
The bottle sits(= stands) on my desk.
その瓶は私の机の上に立っている。
The building sits(= stands) on the corner of Main St. and King St.
その建物はメイン通りとキング通りの角にある。
ただし、このsitもstandも高さがあるものに使うので、高さがない湖や海域などに使うと変です。
Lake Baikal sits in Russia.
The Bermuda Triangle sits in the Caribbean Sea.
(変な表現です / standでも変です)
その場合はlieを使うことができます。逆にいえば高さがあるものにlieを使うのも変です。
The Bermuda Triangle lies in the Caribbean Sea.
バミューダ三角海域はカリブ海にある。
Lake Baikal lies in Russia.
バイカル湖はロシアにある。
~を座らせる
自分が座る以外にも「〇〇を座らせる(他動詞)」の使い方があります。この場合は少し差が出ます。
この場合はsit downは強制させて「座らせる」といったニュアンスが出ます。sitだと案内して座らせる、席を提供するといった意味になります。
My mother sat me down and scolded me.
お母さんは私を座らせ、叱った。
The staff sat me in the front row.
スタッフは私を列の前に座らせた。
したがって「命令」の場合はsit downが適切です。
Sit down!
座れ!
Sit!
(犬に)お座り!
sitをそのまま命令文で使うのは犬などに対してなので、人間には用いません。使うとかなり失礼になります。
Please, sit down.は失礼か?
「座ってください」を伝えるためにpleaseをつける場合はsit downが多いですが、sitだけでも問題はありません。
◎Please, sit down.
〇Please, sit.
「Please, sit down.」はいくつかの英会話の本で「お客さんに言うには失礼」といった意見が書いてありました。
ネイティブスピーカーであるスティーブに確認してみると「言い方、イントネーション次第」という意見でした。
ニコニコして軽い感じなら「Please, sit down.」をゲストに使っても問題はありませんが、イントネーションが違うと面接官が「座ってください」というような雰囲気にもなります。
もしイントネーションに頼らずに丁寧に「座ってください、おかけください」を言いたい時は文章を作れば間違いありません。
Would you like to have a seat?
Can I offer you a seat?
このように言えば、失礼だとは受け止められないと思います。
sit down toの使い方
またsit down toのように「(食卓などの席に)着く」といった表現の場合はdownをつけます。
They sat down to a nice dinner.
彼らはナイスな夕食を始めた。
They sat to a nice dinner.
(この表現をしない)
普通に使う分には違いはありませんが、状況によってはsit downとsitは意味やニュアンスが異なる表現だといえます。