lie(自動詞)とlay(他動詞)の使い方の違い

lie(自動詞)とlay(他動詞)の違い
 

公開日: 最終更新日:2023.04.11

「横たわる(lie)」と「横たえる(lay)」の違いを扱った問題は受験、テスト関係では有名です。活用や自動詞、他動詞といった概念もあって複雑です。

あらためてこの「横たわる(lie)」と「横たえる(lay)」の違いについてわかりやすく整理してみます。「なぜややこしいのか?」を考えると以下の要素などに分解できます。

・発音が似ている
・活用が不規則変化する
・一部で単語、スペルがかぶっているので混乱する
・他動詞、自動詞という考え方の違い
・横たわる、横たえるなど(日本語としては正しくても)混同をまねきやすい訳語の選択
・嘘をつくの「lie」ともかぶってくる

これらの項目が複雑に同時に来るのでなんだか難しいですが、1つ1つ分解していきましょう。

ネイティブスピーカーにこの2つの単語についての見解を聞いてみると「ほとんどのネイティブは文法的な違いを理解していないし、日常生活の中でいっぱい間違えていると思う。もちろん自分も含めてだけど…」と、カナダ人のスティーブが言っていました。

「むしろ外国語として学んだ人のほうが正確に使っているのではないか?」という意見もあります。確かに試験のための英語の知識という色合いが強い単語かもしれません。

lie(自動詞)の意味と使い方

lie-lay-lain

日本語訳をわかりやすく考えるならば「寝転ぶ、横になる、ゴロンと寝転ぶ」です。「横たわる」でもOKです。自分自身が地面やベッドに寝転ぶ行為です。

発音と活用は以下の形で、過去形lay・過去分詞lainともに不規則に変化します。カタカナでは「ライ-レイ-レイン-ライング」です。

寝転ぶ・横になる

lie-lay-lain-lying

【lái – léi – léin – láiiŋ】

以下の例文を参考にしてください。

例文

A cat was lying on the sidewalk.

猫は歩道に横たわっていた。

例文

I lay (down).

私は横になった。

上の「down」はあってもなくても意味は通じますが寝そべっている感じがあります。

英語を現在形で書くと、毎日やっているような習慣などをあらわすので、状況的に現在形で使うことはさほど多くありません。しかし、以下のような怪我をしたケースなどでは現在形も考えられます。

例文

She lies on a special mattress for her back.

彼女は背中のための特別なマットレスの上に横たわる。

仰向け・うつ伏せ

どんな体勢で寝転ぶかは以下のように表現することができます。

lie on one’s side : 横向きに寝転ぶ
lie on one’s back : 仰向けに寝転ぶ
lie face-down : うつ伏せに寝転ぶ

例文を参考にしてください。

例文

He was lying on his side to look out the window.

彼は窓の外を見るために横向きに寝転んでいた。

例文

She lay on her side because her ponytail was in the way.

彼女はポニーテールをしていたので横向きに寝転んだ。

例文

I lay on my back and went to sleep.

私は仰向けに寝転んで眠りについた。

例文

She is lying on her back to fix the car.

彼女は車を修理するために仰向けに寝転んでいる。

例文

The masseuse told him to lie face-down.

マッサージ師は彼にうつ伏せに寝転ぶように告げた。

例文

It is dangerous for babies to lie face-down when they sleep.

赤ちゃんにとって眠るときにうつ伏せになるのは危険です。

lieは建物や土地などにも使える

lieは建物や町などが、ある場所に広がっている、存在している、位置するといった意味でも使うことができます。

人間がゴロンと横になったように、町、川、建物、湖などがある地域に広がっているといった意味です。

例文

The Bermuda Triangle lies in the Caribbean Sea.

バミューダ三角海域はカリブ海にある。

例文

Lake Baikal lies in Russia.

バイカル湖はロシアにある。

例文

The town lies on the other side of the mountains.

その町は山のあちら側に広がっている。

standやsitにも似たような意味があります。しかしstandやsitが高さのあるものに使うのに対して、lieはあまり高さがないものに使います。

例文

The bottle stands on my desk.

The bottle sits on my desk.

その瓶は私の机の上に立っている。

例文

The bottle lies on my desk.

その瓶は私の机の上に横たわっている。

上のようにstandやsitは高さを感じさせる表現ですが、lieはごろんと横たわっている感じがします。

例文

The building stands(=sits) on the corner of Main St. and King St.

その建物はメイン通りとキング通りの角にある。

例文

The building lies on the corner of Main St. and King St.

(ビルが倒れて横になっているように感じる)

lay(他動詞)の意味と使い方

lay-aid-laid

こちらは日本語では「〇〇を横にする、〇〇を横たえる」となり、絶対に何か横にした物体が来ます。日本語訳としては「〇〇を置く」ぐらいの意味にもなります。

発音と活用は以下の形で規則変化します。カタカナでは「レイ-レイド-レイド-レイング」ですね。

〇〇を横にする

lay-laid-laid-laying

【léi – léid – léid – léɪɪŋ】

ポイントとしては、絶対に何を横にしたのかを伴うことです。

例文

Every morning I lay my clothes on the bed.

毎朝、私はベッドの上に服を置く。

例文

This morning she laid the flowers on the table.

今朝、彼女はテーブルに花を置いた。

以下のような表現の違いがあります。

例文

I put the book on the table.

私はテーブルの上に本を置いた。

例文

I stood the book on the table.

私はテーブルの上に本を立てた/立てて置いた。

例文

I laid the book on the table.

私はテーブルの上に本を横に置いた。

laidは本の表紙・背表紙をテーブルと接する置き方です。普通に何も考えずにテーブルに本を置くとこの形になります。特に指定しない場合はputもよくつかわれます。

またパソコンのマウスのような、縦横がないもの、一般的に置いたときに1通りしか置き方がないようなものでもlayは使えます。

例文

I laid the mouse on the table.

私はマウスをテーブルの上に(横に)置いた。

パソコンのマウスは丸みがあるので、立てて置くことはできず、置く方法としてはほぼ1種類しかありません。このような場合でもlayが使えます。特に深い意味もなく「put(置く)」とほぼ同じ意味合いです。

lay an egg(卵を産む / 大失敗)

layは「(何かを)横にする、横たえる」の意味ですが、まれに「卵を産む」という意味でも使われます。本当にたまに登場しますが、この意味があると知らないと混乱します。

例文

Turtles lay eggs.

カメは卵を産む。

例文

Mosquitoes lay their eggs in still water.

蚊は卵をたまった水に産む。

例文

My chicken laid an egg last night.

うちの鶏は昨夜、卵を産んだ。

さらに「lay an egg」の形でスラングで「大失敗をする」といった意味になります。なぜこういう意味で使われるようになったかは不明ですが、辞書にはおそらく卵が丸くて「0(ゼロ)」に似ているからだろうと書かれていました。

例文

She’s usually a great actress, but she really laid an egg in that movie.

彼女はいつもは素晴らしい女優だが、あの映画では本当に大失敗をした。

例文

He has to write an article every day, so sometimes he lays an egg.

彼は記事を毎日書かなければならない、だからときどき大失敗する。

自動詞と他動詞の違い

自動詞と他動詞の違い

英語の動詞には「自動詞(intransitive verb)」と「他動詞(transitive verb)」と呼ばれる分類があります。

簡単にいえば文字通り自動詞は「自分が動く動作を表すもの」で、他動詞は「他人・他のものに影響を与える動詞」です。

「横になる」と「他人を横たえる」は寝ることは一緒ですが、根本の部分で発想・対象が違います。

他動詞は他のものに影響を与える動詞なので、絶対に何に影響を与えたのかその相手(目的語)が必要になってきます。

ここではlie(横になる)は自動詞で、lay(〇〇を横にする)は相手が必要な他動詞にあたります。

英語では今回のlieとlayのように自動詞と他動詞で言葉がわかれているものもありますが、1つの単語で両方の使い道ができる単語も多く存在しています。

例えば「smell」などは「〇〇を匂う(他動詞)」と「においがする、においを放つ(自動詞)」のように両方使えます。

他動詞

She smelled the flowers in her garden.

彼女は庭の花のにおいを嗅いでいた

自動詞

This room smells like a hospital.

この部屋は病院のようなにおいがする/においを放っている。

部屋そのものが病院のような匂いを放っています。

自動詞と他動詞の判断

今回はlie-lay-lain(横になる)とlay-laid-laid(〇〇を横にする)で「lay」が2つの活用に共通しています。

単独でlayが登場した場合、どっちの意味なんだ? となった場合には、後ろに影響を与えている物体、対象となるもの(目的語)があるかで判断するしかありません。

例文

A cat lay on the sidewalk this morning.

猫は今朝、歩道で横たわっていた。

例文

Last night she lay on a special mattress.

昨夜彼女は特別のマットレスで横たわった。

例文

Every morning I lay my clothes on the bed.

毎朝、私はベッドの上に服を置く。

例文

When I lay my smartphone down, it automatically turns off.

私がスマホを置くと、自動的に電源が切れる。

上2つが自動詞でlieの過去形のlayです。下2つは、目的となる物体があるのでlayの現在形です。

ネイティブもよく間違えている

ネイティブもよく「lie」と「lay」を混同しており、むしろ外国語として学んだ人のほうが正しく運用しているのではないかといった意見もあります。

例えば「lay low」という表現があり、これは「目立たなくする、隠れる、おとなしくする」といった意味があります。ここでのlowは目立たないといった意味での低い位置です。

これは本来は「lie low(低く寝転ぶ)」とすべきですが、多くの人が間違って「lay low」といっているため、こちらも「間違いだけど定着している言葉」で辞書に掲載があります。

自分が低い姿勢になって目立たなくするわけなので本来は自動詞の「lie-lay-lain-lying」で考えるべきです。他動詞の「lay-laid-laid-laying」で考えるのは本当はおかしいです。

例文

The mayor decided to lie low(= lay low) until people forgot about the scandal.

スキャンダルを人々が忘れるまで、市長は目立たないようにすることにきめた。

嘘をつくのlie

嘘をつくのlie

ややこしいことに「嘘をつく」の意味を持つ単語とも活用がかぶっています。しかし、こちらは文脈で明らかなケースが多いです。

活用は過去形、過去分詞はそのままの規則変化なので特に問題はありません。liedは一般的にlie(嘘をつく)の過去形で発音は「ライド」です。

辞書で「lied」を検索すると音楽のリート、歌曲という意味で掲載がありますが、それはおそらくドイツ語か何かの専門用語です。英語のネイティブのスティーブが「リートなんて聞いたことがない…」といっていますので英語ではないと思います。

嘘をつく

lie-lied-lied-lying

【lái – láid – láid – láiiŋ】

以下は「嘘をつく」の例文です。

例文

She lied about not stealing the money.

彼女はお金を盗んでいないと嘘をついた。

例文

He lied when he said we was leaving.

彼は私たちが出て行ったと言ったとき嘘をついていた。

ネイティブスピーカーでもこれらを正確に使えていないし、スティーブもときどき間違えると言っていました。

lie(自動詞・寝転ぶ)の過去形は本当は「lay」を使うべきところを、間違ってliedといってしまうケースです。

以下、今回の関連する項目のおまけみたいなものなので必要のない方は飛ばしてください。

lay oneself

自動詞と他動詞を考えてみた場合に自分自身が横になる場合に「lay myself(自分自身を横たえる)」みたいな表現が可能なのか聞いてみました。

普通、自分が横になる場合は自動詞の「lie」を使います。

例文

I lay down.

私は横になった。

それをあえて他動詞でやってみる感じです。

例文

I laid myself.

(私は自分自身を横たえた)

ネイティブに意見を聞くと「わざわざこんな言い方はしない」といっていました。これを表現するなら自動詞のlie(横になる)を使います。

他動詞を無理に使った表現は歌の歌詞や詩などでは出てくる可能性はひょっとしたらあるかもといった感じでした。

lay out(レイアウト)

名詞の「layout」は配置図、設計図、レイアウトの意味があります。

他動詞のlayは「lay out」としても見かけます。過去形になると「laid out」です。

動詞では「配置する、計画する」などの意味もありますが「説明する」の意味でも使われることがあります。

例文

The president laid out his plan for the coming year.
=The president explained his plan for the coming year.

大統領は来年の計画を説明した。

そのまま「explain」で置き換えても問題はありません。



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