scramble(スクランブル)の意味を考える

スクランブル
 

公開日: 最終更新日:2019.12.7

scrambleはスクランブル交差点、スクランブルエッグなどカタカナでもわりと使われますが、使い方はいくつかに分類することができます。

しかし、根本にあるイメージは同じで混乱したバタバタ動くようなことを意味しています。

品詞は名詞での使われ方と、動詞での使われ方があるので順番に取り上げてみます。

scramble(混乱して動く)

スクランブル

混乱して慌てて動くようなこと、またはその動作を指すので例文を参考にしてください。

名詞での「争奪、奪い合い、混戦」などの言葉も「急いでパニックになりながら慌てて動く」という意味で近いと思います。

There was a scramble in the streets when he threw a big pile of money out the window.
彼が窓からたくさんのお金を投げたときに、道では奪い合いがあった。

Everyone scrambled to get a seat on the train.
みんなが電車の席を確保するために争奪を繰り広げた。

日本語でぴったり対応する言葉が見つけにくいですが、ごたごたしながら動き慌てている感じをイメージしてください。

スクランブル交差点

渋谷

日本では渋谷が有名ですがスクランブル交差点は各国によって名称が違うようです。

pedestrian scrambleが一般的で、他にも「diagonal crossing(アメリカ)」「scramble intersection(カナダ)」「X Crossing(イギリス)」などの名称が見かけられました。

通行人(pedestrian)が、対角線に(diagonal)動ける交差点(intersection)なので、ごちゃごちゃに混ざるという視点からいろいろな言葉が成立しています。

ごちゃまぜにする・混ぜる

「ごちゃまぜにする」という意味で、スクランブルエッグのスクランブルです。mix upが意味が近いです。

I like my eggs scrambled.
私はスクランブルエッグが好きだ。

She scrambled the pieces of the puzzle before I started it.
彼女は始める前にパズルのピースをバラバラに混ぜた。


Scrambled eggs(スクランブル・エッグ)

スクランブルエッグ
スクランブル・エッグなのか? スクランブルド・エッグなのか? 確認してみましたが文法上は「scrambled」が正しいみたいです。Wikipediaにも『Scrambled eggs』でページがあります。

アイスコーヒーも同様に「Iced coffee」が正しいとされますが、会話だとアイスコーヒーもアイスドコーヒーも、スクランブルドも気が付かない、誰も気にしてないそうです。

I like my eggs scrambled.
I like scrambled eggs.
スクランブルエッグが好きだ。

いちおうscrambledを使ったほうが無難で、上の2つともにOKです。

scramble(緊急発進)

緊急発進

軍関係のニュースで登場する場合は、戦闘機などの緊急発進のことでこれは軍事用語になります。

Fighter jets were scrambled when a U.F.O. was detected.
未確認飛行物体が感知されたとき、戦闘機は緊急発進させられた。

Planes were scrambled when a threat was seen.
脅威が見られたので、飛行機は緊急発進させられた。

U.F.OはUnidentified Flying Objectの略でそのまま「未確認飛行物体」となります。正体不明、国籍不明な飛行物全般を指す言葉なので、必ずしも宇宙人が乗る円盤を指すわけではありません。

スクランブル発進とはなにか?

防衛省が2016年4月から12月までの緊急発進(スクランブル)回数が過去最多の883回だったと発表しています。

特に中国機へのスクランブル発進が644回と、昨年の同時期と比較しても2倍近くにあがっています。いずれも領空侵犯はないものの緊張感が高まっている様子が伺えます。

よくわからない飛行機が日本に飛んで来た場合、まず「防空識別圏」と呼ばれる日本側の監視エリアに突入します。

防空識別圏は常に監視が行われているエリアで、この防空識別圏を飛ぶには(強制力はないですが)飛行計画の提出を事前に求めます。「家の前の道路」みたいなもので、道路を歩くことには文句はいえませんが、あまり家の前をうろうろされても困ります。

逆にいえば日本が他国の「防空識別圏」を飛ぶにはこちらから飛行計画を提出します。

この防空識別圏に無許可の正体不明の飛行機が来た場合に、警告の意味も含めて「どこの飛行機ですか?」と識別と証明を求めます。これがスクランブル発進です。警告して追い払う行為でもあります。

家の前をうろつく人に「あんたどこの人です?何してるんです?」と家から出ていって質問することですね。

中国は2013年に尖閣諸島上空を”中国の”防空識別圏と設定して、尖閣諸島上空を飛ぶ飛行機に飛行計画の提出を求めました。日本としては当然、認められるものではありません。アメリカの圧力もあって、この件は中国が少し引いた形になっています。

防空識別圏を突破して日本に向かって突っ込んできた場合、海岸線から12海里(約22km)から日本の「領空(airspace)」となるので、このラインを越えた時点で侵略(領空侵犯)です。

勝手に自分の庭に侵入された、家の中まで侵入されたのと同じで、強盗に近い行為です。

中国は日本のスクランブル発進に対して「日本の周辺空域を飛行する中国機に対し、自衛隊機が危険な監視活動を行い、中国機の安全な飛行だけでなく両国関係を危険にさらしている」と批判しています。



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