「毒」のpoison / venom / toxinの意味の違い

「毒」のpoison / toxin / venomの意味の違い
 

公開日: 最終更新日:2023.02.16

「毒」を意味する言葉はカタカナでも広く使われる「poison(ポイズン)」のほかにも、英語では「venom(ベノム)」も使われることがあります。違いとしてはvenomはサソリ、ヘビ、クモなどの刺す・噛むことで入ってくる毒に使われています。

toxinは「毒素」と訳されることが多い、物質としての毒を指しています。ほかにも比喩に使えるかどうかといった違いなどもあるので「毒」に関連する3つの言葉の使い方を整理しています。

poison / venom / toxinの違い

poison / venom / toxinの基本的な違い

それぞれ「毒」を表す言葉ですが、一般的な理解として以下のように使い分けされる傾向があります。

poison

食べたり、触れたりすることで入ってくる毒です。植物や毒ガエル、河豚(フグ)などがそうです。

venom

刺されたり、噛まれたりして入ってくる毒のことです。ヘビやクモが該当します。

toxin

読み方は「タクシン」が近いです。毒素と訳されることが多く、物質としての毒を指します。「poison」も「venom」も広い意味で「toxin」だといえます。

このような違いはあるものの、ネイティブスピーカーでもこの違いを気にしている人、違いを認識している人がそんなに多くないので、日常会話レベルではそこまで気にしなくてもいいのかもしれません。

例えば「クラゲ(jellyfish)」は触って毒になるのか、刺されて毒になっているのか、その手段によって言葉を使い分ける必要がありますが「クラゲがどうやって毒をうつすのか?」を正確に知って言葉を運用している人のほうが少ないです。

以下の例文はどれも普通に見かける可能性があります。

例文

The spiders inject a poison into their prey.

The spiders inject a venom into their prey.

The spiders inject a toxin into their prey.

蜘蛛は獲物に毒を注入する。

言葉を正確に運用するならば「venom」や「toxin」だと思いますが、「poison」も普通に使われていると思います。サイエンスに関わる内容ならば気を使ってもいいのかもしれません。

以下、それぞれ言葉に特徴や使い方があるので例文とあわせてご紹介しています。

poison(ポイズン)の意味と使い方

poison(ポイズン)の意味と使い方

カタカナのポイズンでもよく知られていますが、生きているものにダメージを与える物質のことで、名詞で「毒」を意味します。

poison【pɔ́izn】

特に自然界では食べる、触れることによってうつる毒を指しています。pufferfish(フグ)、frog(カエル)、plant(植物・キノコ・花)などです。

名詞では以下のように使えます。

例文

She secretly put poison in his drink.

彼女はひそかに彼の飲み物に毒を入れた。

例文

That plant has deadly poison.

あの植物は死に至る毒を持っている。

食中毒は「food poisoning」と呼ばれます。

毒を盛る

動詞では誰かや何かに「毒を盛る、毒を入れる」です。

例文

She secretly poisoned his drink.

彼女はひそかに彼の飲み物に毒を入れた。

例文

She secretly poisoned him.

彼女はひそかに彼に毒を盛った。

poisonous(有毒な、毒性の)

形容詞はpoisonousで毒を含むことを表し「有毒な、毒性の」を意味します。

例文

She put a poisonous substance into his drink.

彼女は彼の飲み物に有毒物質を入れた。

例文

You must remove the poisonous parts of the pufferfish before eating it.

君は食べる前にフグの有毒な部分を除かなければならない。

比喩としての「毒」

日本語でもそうですが「poison」はときどき比喩的に使われ、ネガティブな影響を与える何かを意味することができます。

歌詞などでもよく見かけます。特に徐々に影響していくような場合に使われます。

例文

He spread his poisonous ideas on the internet.

彼はネットで悪影響を与えるアイデアを拡散した。

例文

His racist ideas were a poison that spread on the internet.

彼の人種差別的な考えはネットで広がる毒だった。

例文

He poisoned young people with his racist ideas.

彼は若者に彼の人種差別的な考えで悪影響を与えた。

venomの意味と使い方

venomの意味と使い方

venom(ベノム)は刺されたり、噛まれたりして、皮膚を突き破って入ってくるタイプの毒に使われます。snake(ヘビ)、scorpion(サソリ)、spider(クモ)などです。

venom【vénəm】

すでに書いたようにネイティブスピーカーでもpoisonとの違いを普段から気にかけている人のほうが少ないと思います。

例文

That snake has deadly venom.

あの蛇は死に至る毒を持っている。

venomも少し比喩的になりますが「悪意」のように毒々しいものに対しても共に使えます。

例文

His speech was full of venom towards minorities.

彼のスピーチはマイノリティに向けた悪意に満ちていた。

poisonを使っても似たような意味が作れます。

例文

His speech was poison towards minorities.

彼のスピーチはマイノリティに向けた悪意だった。

venomは動詞では基本的には使いません。したがってpoisonを動詞で使います。

例文

The spiders poison their prey before eating them.

蜘蛛は獲物を食べる前に獲物に毒を入れる。

クモの毒は「venom」ですが、動詞でpoisonといっても問題ないだろうといった意見です。ほかに言い方もないです。ただ科学者とかならツッコミが入るのかもしれません。

venomous

毒を含むことで「有毒の、毒を持つ」を意味します。

例文

There aren’t any venomous spiders in this area.

この地域には毒グモはいない。

例文

The zoo is having an exhibit on venomous insects, like scorpions.

その動物園ではサソリなどの有毒の昆虫の展覧会をしている。

また怒りや憎しみにあふれていることで「憎悪に満ちた、悪意に満ちた」といった意味もあります。

例文

She gave him a venomous look.

彼女は彼を憎悪に満ちた表情で見た。

例文

He wrote a venomous article about the mayor.

彼はその市長についての悪意に満ちた記事を書いた。

toxinの意味と使い方

toxinの意味と使い方

toxinは「毒素」と訳されて、物質としての毒の成分だと考えてもいいと思います。

toxin【tɑ́ksn / tɔ́ksn】

必ずしもすぐに死ぬようなもの、重症になるものだけではないので、普段から人間はいろんなtoxinを体の中に入れていると思います。

例文

He eats a lot of processed food that has toxins.

彼は毒素を持つ加工食品をいっぱい食べる。

例文

Working in this environment makes him vulnerable to toxins in the air.

この環境で働くことが、彼を空気中の毒素に対して脆弱にさせている。

toxic

「有害な」という意味では「harmful」と同じ意味です。化学系の有害さだけではなく、発言などにも使えます。

例文

This chemical is toxic.

この化学物質は有害だ。

例文

He made many toxic remarks.

彼は多くの有害な発言をした。

例文

Japanese animation is considered toxic by some.

日本のアニメは人によっては有害だとみなされている。

最後のアニメの文章などは、毒物に近いといった意味での有害さなので、かなりきつめの書き方です。ここまでいう人はどこまでいるのかは不明ですが、かなり敵視する人ならば使うこともありうる表現です。

ほかにも「hazardous material」の略で「hazmat」なども「有害物、危険物」の意味になります。



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