英語には日本人が1枚、1本、1個だと考えるものでも複数形で表現される言葉があります。例えば「shoes(シューズ)」などの履物は物体として左右で2個あるので、まだ理解しやすいほうです。
このページではパンツ(pants)やjeans(ジーンズ)、trunks(トランクス)など下半身に身に着けるものをまとめて整理しています。パンツが複数形になる理由は製法から来る歴史的なものの名残だそうです。
他の英語の複数形に関しては『shoes(靴・シューズ)の単数形と複数形の使い方』『メガネ(glasses)とハサミ(scissors)の複数形』をご覧ください。
この記事の目次!
下半身に身に着けるズボンや下着は複数形になる
英語では下半身に身に着けるズボンや下着類に関しては複数形で表現されるものが多いです。例えば以下のような下着、ズボン類です。
pants(パンツ)
jeans(ジーンズ)
trousers(トラウザ)
trunks(トランクス)
panties(パンティ)
overalls(オーバーオール)
stockings (ストッキング)
briefs(ブリーフ)
shorts(ショーツ / ショートパンツ)
boxers(ボクサーパンツ)
slacks(スラックス)
tights(タイツ)
以下の例文のように使うことができます。
I bought a cheap pair of overalls to paint the house in.
私は家にペンキを塗るときに着るための安いオーバーオールを1着買った。
Golgo 13 wears briefs.
ゴルゴ13はブリーフを履く。
diaper(おむつ)に関しては単数形と複数形の両方が見られます。
数える場合には「pair(s) of」を使う
これらを数える必要がある場合には「pair(s) of」を使います。pantsは1本であっても「pant(パン)」とは言いません。1つ2つと数えたい時には以下のように言います。
I have one pair of pants.
私はズボンを1本(1着)持っている。
I have two pairs of pants.
私はズボンを2本(2着)持っている。
わざわざ言う必要もない場合もあるので以下のどちらでもOKです。
He has lots of jeans.
He has lots of pairs of jeans.
彼はたくさんのジーンズを持っている。
He is wearing jeans.
He is wearing a pair of jeans.
彼はジーンズを履いている。
例えば寒くて2枚のジーンズを履く人もいると思うのでその場合は以下のように書くことができます。
He is wearing two pairs of jeans.
彼は2枚のジーンズを履いている。
pants(パンツ)のアメリカとイギリスでの違い
少し注意が必要なのはpants(パンツ)が意味するものがアメリカとイギリスで異なります。
アメリカで「pants」といえばそれはズボンのことです。日本のファッション産業でも「このカーディガンに合うパンツがありますよ」のようにパンツといえばズボンを指しています。イントネーションが後ろ上がりです。イギリスでは「trousers」を使ってズボンを表します。
イギリスで「pants」といえば下着にあたります。アメリカでは「underwear」のような言い方がされます。
地下鉄にズボンをはかずに乗るアメリカ発祥のイベントが世界各地で行われています。アメリカでは「No Pants Subway Ride in New York City」のように呼びかけされていますが、イギリスでは「No Trousers Tube Ride in London」のような形に変更されています。
数年前までずっとunderwearのunderは下半身のことだと勘違いしていましたが、服の下に着るという意味です。したがってパンツだけでなく上半身に着る肌着類や、ブラジャーもunderwearです。
パンツ(pants)が複数形になる理由
パンツやジーンズなどが複数形になる理由は昔の製法の名残だそうです。
2枚の布を前後で紐でしばったり、ボタンでとめたり、縫い合わせたりするので別の布2枚で1つのパンツ、ズボン、ジーンズを構成しているため複数形になります。
このあたりは2枚の布を使う製法に由来するものなので、trunks(トランクス)やpanties(パンティ)なども該当します。
けっこう「右足と左足に足を入れて左右で合計2個あるから」「脚を入れる部分が2個あるから」という説も見られます。足を入れる部分が2個あるから複数形になるならば、腕を2本いれる上着は複数形にならないのか? といった話にもなって製法から考えたほうが納得できる感じがします。
特にジーンズなど縫い目も一種のデザイン要素なので複数枚の布をつなぎあわせていることが明らかです。これは「clothes(服)」も同じ考え方ができます。
fly by the seat of one’s pants
パンツを使った変わった表現がアプリ内のニュースに登場していたのであわせてご紹介します。
非常に変な表現で「自分の経験と勘を頼りにする」「自分の経験と勘で判断・決断・処理する」の意味です。
もともとは「自分のパンツ(ズボン)の接している座席」みたいな意味で、戦争中に計器類が発達していなかった時代に、おしりに伝わってくる振動だけを頼りに飛行機の状態を把握して運転したことに由来するそうです。
There was no time to study for the exam, so I flew by the seat of my pants.
試験の勉強をする時間がなかったので、自分の勘だけで対処した。
He’s always flying by the seat of his pants, so it’s no surprise that he made a mistake.
彼はいつも自分の勘だけを頼りにしているので、彼がミスをしても驚きはないよ。