これらは荷物や箱に入ったものの関連の単語で、それぞれ近いものを指しています。重なり合う部分が大きい同じ意味で使われる言葉もあれば、明確に違うものを指して使われるケースがあります。
感覚的、主観的な言葉なので絶対にその単語を使うというルールではなく、国、地域、人によって使う言葉が異なってくるケースもあります。
後半にはネイティブスピーカーに写真を見てもらい、どれが適切な言葉か選んでもらいました。一般的なネイティブスピーカーによる基本的な使い分けとして参考にしてください。
境界線は曖昧なので「自分はそうとは言わない」など例外がたくさんあると思います。
この記事の目次!
pack(パック)の意味
いわゆるパックで、紙や段ボールの入れ物で品物を入れるものです。カタカナに近い感覚です。
これも幅広い言葉で「何かを入れる容器」ぐらいの意味しかなく、大きさは段ボール箱から、お菓子の小袋、タバコひと箱まで広範囲を指して使われます。
She gave me a pack of cookies.
彼女はクッキーのパックをくれた。
この場合は日本のコンビニで売っているクッキーひと箱ぐらいが感覚的に近くなります。
packは他にも狼などの群れ、転じて人々の集団・一団などを指して使われることも多いです。
packet(パケット)の意味
packet(パケット)は小さなものに使われる傾向があります。典型的なのがsugar packet(シュガーパケット)でコーヒーに入れる砂糖で1回分が入った袋です。
またマクドナルドでチキンナゲットを注文するとソースを一緒にくれますが、あの1人前もpacketで表現されていました。
小さいものに用いられますが、これも小包ぐらいまでを指して使われるケースもあるので意味が広い言葉です。
He is rich. Nevertheless, he steals ketchup packets from restaurants.
彼は金持ちだ。にもかかわらず、彼はレストランからケチャップのパケットを盗む。
I put two packets of sugar in my coffee.
私はコーヒーに砂糖を2袋入れた。
パケット通信のように通信用語にもなっていますが、これも発想としてはデータ全体を細かく分割して通信を行う仕組みです。画像で検索すると通信系の図が多く登場します。
package(パッケージ)の意味
packageは漠然としている言葉で大きく2つぐらいの使われ方をします。少しカタカナと違います。
共通するのは紙や紙に近いもので「梱包・包装」されている物体といった意味が強くなります。
これはアマゾンから届いた荷物などを指してpackageと呼びます。わりと大き目のものまで含まれ、梱包された荷物・物体を指すのであって、その表面が無機質な無地、単なる段ボールであってもa package(パッケージ)になります。
I got a package from Amazon.
私はアマゾンからの荷物を受け取った。
もう1つは小分けにされたお菓子の袋のようなものを指します。だいたい紙またはビニールなど紙に近い梱包で、小さな物体を指します。「小袋」と考えても近く、この意味ではpacketに近くなります。
下の写真はクッキーがわけられて入った小さな袋ですが、これ1つ1つをa packageと呼ぶことができます。
Baby Star changed their package.
ベビースターは小袋を変更した。
日本人がカタカナでいう「あのチョコレートは素敵なパッケージね」は次に紹介するpackaging です。
旅行や結婚式のパッケージ
カタカナでよく聞かれるいろんなものが含まれた「パッケージ商品」のような使い方も英語できます。
This travel package includes three meals a day.
この旅行パッケージは1日3食が含まれている。
The wedding package is based on Final Fantasy.
そのウエディング・パッケージはファイナルファンタジーの世界観に基づいている。
しかし、この意味でのpackageをほかの言葉に置き換えると変です。「旅行パック」などカタカナでは聞きますが英語にすると違和感があります。
This travel pack includes three meals a day.
(旅行カバン、リュックのようなものをイメージする)
The wedding pack is based on Final Fantasy.
(何か想像しにくい)
packaging(パッケージング)の意味
packaging(パッケージング)とは梱包・包装のデザインのことを指して使われることが多いです。日本語にすると「あのチョコレートは素敵なパッケージングね」とするのが近いです。
Cup Noodle’s packaging is iconic.
カップヌードルのパッケージングは象徴的だ。
She is a packaging designer.
彼女はパッケージングのデザイナーだ。
packageとpackagingの違い
この2つはpackageは梱包されている袋や箱を指し、packagingはデザイン的な意味での梱包・袋・箱を指しますが、時に同じ内容を意味することができます。
Baby Star changed their package.
Baby Star changed their packaging.
(どちらも似たような意味)
上の例文は2つともお菓子のベビースターの小袋を変更したことを意味します。この変更にはデザインそのままで大きさだけの変更も意味できますし、ガラッとすべて変えることも表せるので結局は一緒のことを指しています。
「袋(のデザイン)を変えた」と「包んでいる袋を変えた」は結果的に似たような意味となります。
ただし、以下の写真のような物体の場合に置き換えると変になるパターンもあります。
左側はボードゲームの箱です。右側はiPhoneの箱です。
これはデザイン的に「nice packaging(いいパッケージング)」とは言えます。
The packaging of the Scrabble box looks nicer than that of the iPhone box.
スクラブルの箱のパッケージング(のデザイン)は、アイフォンの箱のそれよりもより良さそうだね。
しかし一般的にこういった商品・物体に対してpackage(小袋に近い意味)とはいいません。普通はboxと表現するのが適切です。
The scrabble box looks nicer than the iPhone box.
スクラブルの箱はアイフォンの箱より良さそうだね。
The scrabble package looks nicer than the iPhone package.
(この表現は変です)
packing(パッキング)の意味
packing(パッキング)といえば動詞で使った場合は旅行の時などに荷物を詰め込むようなパッキングを指します。
She is packing a suitcase.
彼女はスーツケースをパッキングしている。
Packing is difficult.
パッキングは難しい。
名詞で物体を指して使った場合には衝撃をやわらげるための梱包材、緩衝材を指しています。
I used Styrofoam packing in my boxes when I moved.
引っ越しの時に、私は発泡スチレン梱包材を箱の中に使った。
They used packing to keep it from breaking.
私は壊れないように梱包材を使った。
parcel(パーセル)の意味
parcelも荷物、小包ですが郵送されることを前提としたような物体を指して使われます。
I sent a parcel to my aunt in Chicago.
私は小包をシカゴにいる叔母に送った。
コンバースの有名なスニーカーは人名からとられた「Jack Purcell(ジャック・パーセル)」なので字が違います。
ネイティブスピーカーによる違いの描写
ネイティブスピーカーに写真を見てもらい、どの言葉を使うのがベストなのかを判定してもらいました。今回はアメリカ人のダイアンと、カナダ人のスティーブ、オーストラリア人のカールに確認しました。
場合によっては見出しに登場していない言葉がベスト、自然な選択なケースもあります。例えば何かを受け取ったとき「box(箱)」というのがベストなケースも考えられます。
スーパーのミンチ肉
よくスーパーで見かけるパックで日本語の感覚としては「お肉1パック100円」などの場合はこれが思い浮かびます。
これは英語でもpackでそのまま使えます。
I bought a pack of ground beef.
ひき肉のパックを買った。
これはスティーブ、ダイアンともに「pack」を使うといっています。
カールはこのような肉の場合は「重さ、重量」が重要になるので何も考えなければパックでは表現しないと思うと言っています。
ポテトチップスの袋
よくあるポテトチップスの袋ですが、これは地域差もあると思いますが北米(アメリカ・カナダ)ではbagを使います。ダイアンはpackageでもいいと思うと言っています。
I bought a bag of potato chips.
ポテトチップスのバッグを買った。
オーストラリア人のカールはpacketやpackを使うと言っているので少し人によって言葉が変わる要素です。
He’s holding a packet of chips.
He’s holding a pack of chips.
彼はポテトチップスの袋を持っている。
プレゼントの箱
何かの包装されたプレゼント用と思われる箱ですが、これを描写するとなると「ラッピング」になります。
The wrapping is beautiful.
ラッピングが美しい。
物体として見るとpackageかboxになるという意見でした。カールは単純に「present」を使うといっています。
There is a present on the table.
テーブルの上にプレゼントがある。
段ボールの箱
よくある段ボールの箱です。段ボールそのものの材質は「cardboard」と呼ばれます。これが箱に使われていればcardboard boxとなります。
材質を描写するのと物体を描写するのとでは少し変わりますが、物体としてはpackageまたはboxです。
I got two packages the other day.
先日、2つの(梱包された)荷物を受け取った。
One package is open.
1つの荷物は開いている。
There are two cardboard boxes. One is sealed, the other is open.
2つの段ボール箱がある。1つは封がされており、もう1つは開いている。
袋入りサンドイッチ
コンビニなどで見かける袋入りのサンドイッチです。これってみなさん日本語で「サンドウィッチのパック」といいますか?
日本語で考えると2つ論点があり、プラスチックの持ち帰り用の箱、屋台の焼きそばが入っているような容器なら「パック」といいそうですが、ビニールの袋をパックと呼ばない人もいるかもしれません。
もう1つは、わざわざ日常でこれを「パック」で呼ぶ必要があるのか? です。これはネイティブスピーカーに確認しても、同じような意見で特に何もいらない「サンドウィッチ」になりました。
I ate two sandwiches.
私はサンドウィッチを2個食べた。
これはダイアンがけっこう迷っていて、そのままサンドウィッチと呼ぶかもしれないし、packでもOKだと思うといっています。
packageは動詞での使い方もあるでカールは以下のように表現していました。
The sandwiches are packaged in plastic.
2つのサンドウィッチが包装されている。
宅配便の荷物
宅配業者から箱に入った荷物を受け取っています。よくある日常の光景ですが、これはpackageかparcelあたりを選ぶ人が多いと思います。
She received a package in the mail.
She received a parcel in the mail.
彼女は郵便で荷物を受け取った。
ダイアンはparcelという言葉をあまり使わないそうです。スティーブはparcelをまったく使わず二人とも「package」を使います。
卵のパック
パックといえば卵のパックが日本でも一般的ですが、英語ではcartonが使われます。スティーブ、ダイアンともにcartonでした。
1カートンがいくらかという量の規定はなく「紙の箱」ぐらいの言葉です。今はプラスティックですが紙に類する箱がカートンです。
卵でも海外では12個(1ダース)が多いですが、日本では10個入りが一般的かもしれません。日本でカートンで購入するといえばタバコぐらいしか思い浮かびません。
I bought a carton of eggs.
たまごを1カートン買った。
カールはpackを使うと言っていました。12個ならダースで表現していると思うといっていましたが写真は10個なのでダースではありません。
I bought a pack of eggs.
たまごを1パック買った。
カールはcartonは紙のイメージが強いそうで、日本ではそこまで見かけませんが海外では卵が紙のパック(egg carton)に入れられているのを見かけますが、紙ならcartonを使っていたと思うと言っています。
辞書の定義ではcartonは紙またはプラスティックの箱みたいな定義になっています。
牛乳パック
牛乳の大きな紙パックは普通はcartonで表現されます。たまごが入ったカートンとは少し別の種類だと思ってもよさそうです。
This is a carton of milk and a drinking box of coffee.
これは牛乳の1本の紙パックと、コーヒーのドリンキングボックスだ。
コンビニで売っている小さな紙のコーヒーはboxが近いだろうという話です。
ダイアンはアメリカは「juice box」といった1人分のジュースが入った紙パックで、ストローを指して飲むタイプのものがあるといっていました。
ただそれは果汁100%のジュースで、上の写真のようにコーヒーではなく「coffee box」といった組み合わせに少し違和感があるといっていました。コーヒーの紙パックは日本独自の商品なので英語でなんというかは微妙な部分があります。
スティーブは「drinking box」という言葉を使いますが、ダイアンは使ったことがないそうです。boxであることは間違いないと思いますが、何ボックスというのかは意見がわかれています。
カールは右側のコーヒーのようなものを「Tetra Pak」と呼ぶそうです。スウェーデンの食品用紙容器の開発をしている会社の商標ですが、国際的に知れ渡っている名称でこのような箱型を指して使うことがあります。
I bought the Tetra Pak of coffee.
テトラパックのコーヒーを買った。
スティーブに「テトラパックって知っている?」と質問したら「確かに、何人かそういう言い方する人はいた」といっていたので使う人は使う名前だと思います。
(おまけ)顔のパック
顔のパックについては一般的にmaskが使われるとダイアンがいっていました。face packという言葉がないわけではなく、普通はface maskや単にfacialのように表現します。
She is getting a facial.
She has a face mask
彼女は顔パックをしている。
クリーム状で顔に塗るタイプや1枚の紙を乗せるタイプがありますが特に区別はしていないといった意見です。紙のタイプは明らかに「face mask」だという意見です。
国による違い
北米を中心に使われる表現と、イギリス・オーストラリアで使われる表現のような差もあります。結局は同じものですが国単位、地域単位、もっといえば人によって使う言葉の傾向が変わると思います。
スティーブは個人的には「parcel」を使わずに、「package」を使うといっていました。個人の習慣としてそうだった、お母さんがそういっていたぐらいの理由しかないそうです。
以下は参考までにスティーブが書いてくれた各国での傾向のようなものです。
タバコ1箱に関してもアメリカでpacketと呼ぶ人は少ないと思うけれどイギリスでは使われています。イギリスでもpackという人もいます。
(英・米)I bought a pack of cigarettes from the store.
(英)I bought a packet of cigarettes from the store.
「クッキー1箱をもらった」という場合でもさまざまなケースが考えられます。
(米)She gave me a package of cookies.
(英)She gave me a packet of biscuits.
(米でもまれ)She gave me a packet of cookies.
(米・英)She gave me a pack of cookies.
クッキー(cookies)と呼ぶか、ビスケット(biscuits)と呼ぶかの差もありますが、使われやすい傾向がある言葉が存在しています。