thin airは文字通りの意味でいえば「薄い空気、薄い大気」ですが、慣用表現として「何もないところ、何もない場所」といった使い方がされる言葉です。特によく見かける組み合わせが、跡形もなく消えるといった意味の「into thin air」と、何もないところから現れるという意味での「out of thin air」です。
慣用表現になってしまっているので、あまり理屈は考えないほうがいいのかもしれませんが、使い方を整理してみました。airそのものについては『air(エアー)の意味と使い方』をご覧ください。
thin airの意味
thin airはもちろん文字通り「薄い大気」の意味で使われることもあります。
That planet has thin air.
あの惑星は大気が薄い。
それ以外に「thin air」は「何もない場所、空っぽの場所」といった意味で使われることがあります。
日本語でも同じ感覚で「空気」は、何もないこと、何も存在しないことを言い表すのに使われますが、thin airで「何もない薄い空気しかない場所」といった強調したような意味になります。
たとえるならば、アマゾンから荷物が届いたけれど中身が空っぽだった場合に「空気(air)しか入ってないわ!」と表現するのと、「薄い空気(thin air)しか入ってないわ!」と表現するのとでは、どちらが空っぽ感をより強調しているのかといえば「thin air」のほうだといった話です。
とはいえ慣用表現のように「thin air」は使われており、あまり理屈はないそうです。thin(薄い)という意味は無視しても理解できます。
「into thin air」や「out of thin air」がもっともよく使われるフレーズ、慣用表現なので取り上げてみます。
into thin airの意味と使い方
突然、完全に消えることで「跡形もなく消える」といった意味です。
何もない(薄い)空気の中に消えていった、そして(薄い)空気だけがそこに残った、みたいな感覚の表現です。ただあまり理屈はないので、こういう表現なんだと丸々覚えても良さそうです。
The magician made the coin vanish into thin air.
マジシャンがコインを跡形もなく消した。
After the bank robbery, the suspect seemed to disappear into thin air.
銀行強盗のあとで、容疑者は跡形もなく消えたようだった。
out of thin airの意味と使い方
何の警告もなく突然現れることで「どこからともなく」を意味します。(薄い)空気の中から急に現れるといった意味です。
A bear appeared on my doorstep out of thin air.
一頭のクマがどこからともなく、うちの上り階段に現れた。
She seems to get money out of thin air.
彼女はどこからともなくお金を手に入れているようだ。
このout ofの使い方は以下にまとめてあります。
何もないこと
以下のような使われ方もします。空気は何かを隠せない、何かを支えることができないといったことを強調しています。
The car seemed to float in thin air.
その車は(薄い)大気のなかで浮いているようだった。
= その車は何もないところで浮いているようだった。
There was nothing in the box except thin air.
その箱のなかには(薄い)空気以外何もなかった。
= その箱のなかは空っぽだった。
except airのように書くと、箱を開けるとブワっと空気が吹いてくる感覚になりますが、thin airと書くとブワっとした空気の存在感もなく、本当に薄い空気(何もない)を意味することができます。