haveとholdは基本的には同じような意味で「持つ」ですが、細かくみるとニュアンスの差が出ます。物体に対して使うならばholdは持つための努力、労力を少し感じさせます。
またイベントやミーティングに対して使った場合には「開催する」といった意味になりますが、これもholdは自らが主催して取り仕切っている感じがあります。haveだと単にあっただけの感じもします。
いくつか置き換えると意味が異なってしまうケースもあるので、haveとholdの使い方の違いについてまとめています。
この記事の目次!
haveとholdの使い方の違い
まずモノ・物体を持つ行為において考えると、一般的にhaveは受動的、自分の意志にかかわらず自然に持っているようなことを指します。またそれを持つ、所持するためにほとんど労力、努力を感じさせません。
I have brown hair.
私はブラウンの髪だ。
I have tissues in my pocket.
ポケットにティッシュがある。
× I hold brown hair.
(明らかに変です)
△ I hold tissues in my pocket.
(一般的ではない表現)
ポケットのティッシュも、髪の毛も意識して持っているわけではなく、そこにほぼ労力も感じません。その場合はhaveを使うのが一般的です。
一方のholdは一般的に能動的で、自分から「持とう」と思って持っているニュアンスが出ます。特に「持つ」ことに労力、努力がともなうものならばholdが使われやすいです。
傾向としての話なので、置き換え可能な場合も多いし、どちらでも意味は通ります。
〇 I’m holding a heavy book.
〇 I have a heavy book.
重い本を持っている。
〇 I held the pencil in my mouth.
〇 I had the pencil in my mouth.
口に鉛筆をくわえていた。
上の2つの例文はどちらもOKですが、特にそれが難しい、労力をともなうと感じることならば「hold」が使われやすいです。
またholdもhaveも「持っている」ですが、手に持っている以外にも「ニンテンドースイッチを持ってるよ」のように所持しているという意味でも使えます。上のポケットのティッシュの例文のようにポケットに入っていても使えます。
ただ手に持つことは、自分の手を動かしてつかみにいっているので、能動的なholdが使われやすい傾向があります。
「手を握る」みたいな表現でも明らかに差がでます。
She held his hand.
彼女は彼の手を握った。
She had his hand.
(状況が曖昧)
手をつなぐ場合はholdです。これをhaveで書くと何を表すのか曖昧で、手を握っていることや、猟奇的な殺人にも読めるし、あるいは婚約・結婚のようにも解釈できます。
イベント開催のholdとhave
イベント(展示会、会議など)を「開催する」の意味でもholdとhaveの両方が使えますが、少しニュアンスに差が出ます。
I held a meeting.
ミーティングを開催した。
I had a meeting.
ミーティングがあった。
必ずではありませんがholdを使うとおそらく自分が主催者であり段取りなどをしたように読めます。haveを使うと自分が主催者の可能性もありますが、単に参加していただけにも読めます。
Tokyo held a film festival.
東京(東京都)は映画祭を開催した。
Tokyo had a film festival.
東京で映画祭があった。
これも同じような感じでholdを使うとおそらく東京都が映画祭を主催して組織したのだと読めます。
haveを使えば「東京であった」ぐらいの意味で場所にフォーカスした感じになります。ただその映画祭が東京都主催である可能性もあります。
また「開催される」を受動態で表すならばholdが一般的です。
The festival will be held tomorrow.
▲ The festival will be had tomorrow.
そのフェスティバルは明日、開催される。
ここでhaveを使っても間違いとは言い切れませんが、この言い方をする人は少ないと思います。
have a job / hold a jobの違い
これも同じ意味ですが、ややholdのほうが説明した通り、その仕事を維持するのに多少なりとも労力がかかっていることを意味します。
50年間、同じ仕事をしている場合はどちらでも基本的にはOKです。
I held the same job for 50 years.
I had the same job for 50 years.
同じ仕事を50年していた。
実際のニュースでは94歳でマクドナルドで働き続けているおばあちゃんの話で登場しました。
Loraine Maurer of the USA said she will not retire from her McDonald’s job which she has held for 44 years despite reaching the age of 94, calling it “the reason I get up in the morning.”
アメリカのロレイン・マウアーさんは、44年間勤めているマクドナルドの仕事を引退しないだろうと語った。94歳になるにも関わらずだ。この仕事を「朝に起きる理由」と呼んでいる。
ニュースでは「hold」が使われています。つまり94歳のロレイン・マウアーさんはマクドナルドの仕事を自動的に何も考えずに働き続けたわけではなく、仕事で働き続けること、その職業で居続けることに少なからず労力、努力をともなっていることが感じられます。
hold down a job
特に仕事に就くことを強調する意味で「hold down」が使われることがあります。
「hold down」は押さえつけるような意味なので仕事を逃さないように、クビにならないように、維持していったニュアンスが出ます。
しかし、日本語にする場合には普通に「働く、職に就く」としても影響がでないようなニュアンスの差です。
She married a man who can’t even hold down a job.
彼女は職に就くことさえできない男と結婚した。
He held down a job for ten years in his hometown before moving to the city.
彼はその市に引っ越す前に、地元で10年間、働いた。
特に上の例文だと、すぐに辞めてしまったりクビになったりなど「職を押さえつけるように、仕事を逃さずに働くこともできない男」といったニュアンスが多少感じられます。
holdとhaveで意味が変わるケース
いくつかholdとhaveで置き換えができないケースも考えられます。
Can you hold my baby?
うちの赤ちゃんを抱いておいてくれる?
Can you have my baby?
うちの赤ちゃんをもらってくれる?
このようなケースでhaveを使うと、あなたが家に持って帰って育てて、みたいな意味になってしまいます。
Can you hold my baby for five minutes?
5分間、赤ちゃんを抱いておいてくれる?
Can you have my baby for five minutes?
(5分間育てる?)
したがって下のような文章は「5分だけあなたが育てて」みたいに聞こえるかもしれないので少し奇妙です。