hack(ハック)は最近ではコンピューター用語としてセキュリティーを突破して他人のコンピューターに侵入する行為を指して使われます。
近年は「lifehack(ライフハック)」のように派生した使われ方もされます。「木をぶったぎる」といった意味もあり、この使われ方のほうが歴史が古いです。
今まさに言葉の意味や使い方が移り変わっている最中にあるような単語ですが、一般的なhackやhackerといった言葉の使い方をまとめてみました。
この記事の目次!
hack(名詞)での意味と使い方
技術関係・コンピューター用語として使われることが多くセキュリティー、ロックを突破して内部に侵入する行為を指して使われます。
The tax evasion uncovered by the hack in Panama, is believed to be only the tip of the iceberg.
パナマでのハックにより明らかになった租税回避は、氷山の一角にすぎないと思われている。
The FBI found a hack to open the iPhone but it may not work on all models.
FBIはiPhoneを開けるハックを見つけたが、しかし、すべての機種でうまくはいかないかもしれない。
lifehack
最近はそこから広がって「lifehack(ライフハック)」のような形でも使われます。
イメージとしては「完璧ではないけど、アイデアなどを駆使してかろうじてうまく行っていること。それでいて、それなりに効果的な解決方法」といったことを指します。
これもプロの技術や商品になるような完璧なものではないけど、生活の知恵として有効なアイデアや手法を指します。
Using a plastic bottle to pick up an egg yolk is a great lifehack.
ペットボトルを使ってたまごの黄身を拾うのはすばらしいライフハックだ。
プロらしくない芸人
態度などを含めてプロらしくないコメディアンを指すケースがあります。辞書には「金のために何でもやる人」で掲載がありましたが概念としては近いですね。
Everyone calls Jimmy a hack who steals his jokes from the internet.
ネットからジョークをパクるジミーをみんながハックと呼ぶ。
hack(動詞)での意味と使い方
動詞で使われる場合は、だいたいコンピューター関連で「パソコンのセキュリティーを突破して侵入する」といった意味で使われます。
これも正規の手段ではなく、常に有効であるとは限らない不安定な方法です。しかし次の項目で紹介する「ぶった切る」の意味もあります。
Some people think North Korea hacked into the Sony computer system.
何人かの人々は北朝鮮がソニーのシステムに侵入したと考えている。
hack it
hack itの形で「やり通す、貫く、うまくやっていく」の意味があります。しかし、ネガティブな文脈で使われることが多いので注意が必要です。
考え方としては「うまくきりぬける、うまくやり過ごす」が近いですね。
If you can’t hack it at this company, you should quit.
もしこの会社でうまくやっていけないなら、やめるべきだ。
I’m afraid I won’t be able to hack it in the major leagues.
メジャーリーグでうまくやっていけなさそうで不安なんだ。
You can do it(お前ならできるよ!)といった前向きな意味ではなく、このように否定的な意味で使われることが多い言葉です。
乱暴にぶった切る
元々は「乱暴にぶった切る、~をたたき切る、刈り込む、切り開く、切り刻む」といった意味の言葉です。この場合は特にアイデアを駆使しているわけではなく、荒っぽく叩き割っています。
He hacked at the tree with his ax wildly.
彼は斧で荒々しく木をぶった切った。
I tried hacking at the coconuts with my machete.
私はナタでココナッツを叩き切ろうと試みた。
この言葉はかなり古くから使われており、コンピューターに侵入することと無関係ではなく「木をぶったぎるように侵入する」または「木こりのように一生懸命」みたいな語源があるようですが詳細は不明です。
Hack-and-slash video games
90年代に流行ったゲームの種類で、横スクロールで相手を剣などでぶった切るゲームを指します。代表的なものはSEGAの名作『ゴールデン・アックス』などです。
そこから派生して『真・三國無双』など、敵を剣でぶった切るようなゲームも指すようになっています。ファイナルファイトのように素手で殴るようなゲームはhack(ぶった切る)していないので少しニュアンスが違います。
hacker(ハッカー)
元々はコンピューター関連の高い知識を持つ技術の高い人の総称だったそうですが、今では一般的にはコンピューターのセキュリティーを突破するような人を指して使われます。
カタカナでは悪意あるクラッカーと区別するケースもありますが、どこまでこのような分類が一般的なのかは不明です。
「木をぶったぎる人」の意味もありますが、一般的に他人のコンピューターに侵入するような人を指します。このあたりはカタカナのハッカーと同じです。
Police set up a fake website as a honeypot to catch hackers.
警察はハッカーを捕まえるためのハニーポットとして偽のウェブサイトを作った。
He called the police but not before hackers erased half of his files.
彼は警察に呼んだが、しかしそれはハッカーがファイルの半分を消去する前ではなかった(半分消去した後だった)。
Following one of the largest hacker attacks in history, the entire database of 33 million clients for Ashley Madison was publicly released.
歴史上で最も大規模なハッカーの攻撃の1つを受けて、3300万人におよぶアシュレイ・マディソンの顧客のデータベース全体が公の場にリリースされた。