イギリスの伝統ある歴史的な場所を購入・保存する団体のナショナル・トラストが「サンタクロース(Santa Claus)」と呼ぶのはアメリカナイズされすぎで受け入れがたい、伝統的なFather Christmas(ファーザー・クリスマス)と呼ぼうといったことを発表してニュースになっていました。
さまざまな呼ばれ方をされるサンタクロースですが今回はサンタクロースの名称について取り上げてみます。
Father Christmas
サンタクロースと呼ぶことを拒否したナショナル・トラストはチャールズ皇太子などがスポンサーにつく歴史ある団体なので特に愛国心のようなものが強いのだと思います。
ニュース報道によるとナショナル・トラストの広報担当者はメディアに対して以下のように語っています。
A spokesperson later told the media, “the jolly man with the beard goes by many names all over the world, but we try to stick to one…Father Christmas”
「このあごひげをともなった陽気な男は、世界中で多くの名前で呼ばれている。しかし、我々は忠実であることに努める、ファーザー・クリスマスにだ」
またイギリスの礼儀作法の専門家なども、このサンタクロースの名称に対してイライラしている様子がニュースで伝えられています。
An etiquette expert agreed with the policy saying that it’s “lower class to call him Santa.” He also thanked National Trust for “speaking out and correcting this irritating and increasing Americanization of Christmas.”
ある礼儀作法の専門家はこの方針に同意して「下層階級は彼をサンタと呼ぶ」と語っている。また彼はナショナル・トラストが「意見を主張して、このイライラする、アメリカ化されたクリスマスの増加を正すこと」に対して感謝を伝えた。
「lower class(下層階級)」といった単語が出てくるあたりにイギリスっぽさを感じるニュースです。イギリスは伝統ある国なので昨今のアメリカナイズされたサンタクロースに物申したくなるようです。
サンタクロースの別名
サンタの起源は4世紀ごろ聖ニコラスにあるとされていますが、先に紹介したようにイギリスではFather Christmasが伝統的に使われています。
むしろアメリカでの呼称がバリエーション豊富です。
Santa (US)
Santa Claus (US)
Saint Nicholas (US)
Saint Nick (US)
Old Saint Nick (US)
Jolly Old Saint Nick (US)
Kris Kringle (US)
Father Christmas (UK)
サンタクロースそのものの存在を英語で説明するならば以下のような文章になります。
Santa Claus is said to be a large old man with a white beard who carries a large sack with toys to give out to children. He rides a sleigh pulled by eight reindeer.
サンタクロースは白ヒゲを生やした大きな老人で、大きな袋を持ち、8匹のトナカイが引くソリに乗って子ども達にプレゼントを配って回ることになっている。
オーストラリアのサンタ
オーストラリアでもサンタクロースとファーザークリスマスが両方とも使われています。古くはイギリスの植民地だったので、イギリス式の「ファーザークリスマス」が主流だったようです。
オーストラリア人のカールに聞いてみると、カールの祖父母ぐらいは普通にファーザークリスマスだったそうですが、最近はアメリカのテレビ番組の影響などもあってサンタクロースの名前も広く使われているようです。
オーストラリアは南半球なのでクリスマスが夏になることで知られています。これはグーグルの画像検索などをしてみるとビーチで寝ているサンタや、サーフィンをするサンタの写真がたくさんでてきます。
Australia Santa Claus(グーグル画像検索)
ただしカールに確認してみると、クリスマスは夏だけど一般的にはサンタクロースは北極あたりから来ることになっているので、私たちがよく知る冬のイメージのサンタクロースが存在しないわけではなく、半々ぐらいで使われているそうです。
赤い服の由来
サンタクロースが赤色の服を着ているのはコカ・コーラが宣伝のために採用したのが定着したという噂があります。これは半分ぐらい正解で、コカ・コーラのプロモーションが現在のサンタクロースのイメージ形成に大きな影響を与えているのは紛れもない事実です。
1931年に画家のハッドン・サンドブロムがコカ・コーラ宣伝用に描いたサンタクロース像です。しかし、下の1919年に作成されたイラストの時点で赤い服、白いひげのイメージが成立しています。
Father Christmasはよく緑または赤の衣装で描かれることが多く、これはカトリックの司祭の服装です。したがってコカ・コーラが世界的に広めたのは事実だといえますが、その前から赤い服で白髭をたくわえているイメージがなかったわけではありません。
何歳ぐらいまでサンタを信じているか?
これは日本での調査になりますが、数年前に子供情報を扱うアクトインディ社が子供たちが何歳までサンタクロースを信じているか? を調査しました。結果としては13歳ぐらいになるとほぼサンタクロースを信じていないと判明しています。
According to a survey by the children’s information website Act-Indi, 90 percent of kids aged three to seven believe in Santa Claus.
子どもの情報を扱うアクトインディの調査によると、3歳~7歳までの子どもの9割がサンタクロースを信じている。
Gradually as they age the number decreases. Only half of ten-year-olds and almost no one over 13 believes in Santa.
年齢と共に「信じている」と答える割合が減っていき、10歳で半分以上が、13歳以上になるとほぼ誰もサンタクロースの存在を信じていない。