edibleは食べられること、反対の意味のinedibleは食べられないことですが「食用」かどうかと考えてもいいと思います。
類義語のeatableとの比較は論争のある分野で「毒などなく安全に食べられる」と「おいしく食べられる」といった違いなど人によって説明が食い違います。
ネイティブスピーカーに意見を聞きながら、この違いなどについて例文付きでまとめました。深く考えなければそこまで難しい言葉ではありません。
edible / inedibleの使い方
edible / inedibleは食べられる・食べられないと考えるよりも多くのケースでは「食用」と訳したほうが日本語の感覚に近いと思います。
発音がちょっと言いにくい感じもするので以下の音声ファイルを参考にしてください。
edible【édəbl】
inedible【inédəbl】
以下の例文のように使うことができます。
Not all mushrooms are edible.
すべてのキノコが食用とは限らない。
Steel is inedible.
鉄は食用ではない。
This cup is edible.
このカップは食べられる。
These mushrooms are edible.
これらのキノコは食用だ。
Basashi is inedible to people in Western countries.
西洋諸国の人々にとっては馬刺しは食用ではない。
たまたま話題になったのですが馬は北米・ヨーロッパ諸国では基本的に食べることはないそうです。一部のヨーロッパで焼いて食べる習慣はあるそうですが、馬刺しのような生で食べる行為は驚かれるみたいですね。
個人の食べられる・食べられないといった味の好き嫌いや体質の問題が含まれるケースもありますが、広く一般の人々に毒などがなく食べられるか、食べられないか、つまり「食用」であるかを表現する際によく使われます。
例えば私はカニのアレルギーがあって蟹を食べることができませんが、この場合にはinedibleではなく普通はI can’t eatのような表現をします。
I can’t eat crab because I have an allergy.
カニが食べられません。アレルギーだからです。
単に味の好みの問題ならば「好きではない」とシンプルに伝えればいいと思います。
I don’t like crab.
カニが好きではありません。
個人の好みに使う
少し比喩的な表現になりますが「おいしく食べられる」のように個人の好き嫌いに対して「edible / inedible」を使わないわけではありません。
I don’t think natto is edible.
納豆が食べられるとは思えない。
Her cooking is inedible.
彼女の料理は食べられない、食用ではない。
これらはやや比喩的な表現を含みますが、要するに「納豆はまずい」「彼女の料理は食えたものじゃない」といった意味になります。
納豆を目の前で食べている人がいる、彼女の料理を彼女は食べているので「食べられる」のは明らかですが個人の感想として「edibleではない」と述べる言い回しです。
この使い方も普通に可能です。ただし日常会話ならば先に述べたように「I can’t eat」などで十分に伝わります。
上に紹介した「アレルギーがあるからカニが食べられない」もinedibleを使って表現できないわけではありません。
△ Crab is inedible to me, because I have an allergy.
カニが食べられません。アレルギーだからです。
この文章も文法上も間違いではありませんが、自然な会話なのか? わざわざこの言い回しが必要なのかといった疑問は残ります。
eatableとedibleの違い
eatableという単語は少し論争があって、日本語でも「eatableとedibleの違い」のように解説を書いている人も多いです。
まず論点として英語はいろんな動詞 + ableで造語に近いものが作りやすいですが、eatableは辞書に掲載があり、ある程度言葉として認知されています。
この違いについて人によっては「100%食べられるのがedible、人によってはお腹を壊すかもといったのがeatable」や「食べられるものが腐りかけている状態と普段から食用になっているの差」「おいしく食べられると安全に食べられるの違い」などさまざまな見解が見られます。
まずこういった状況で人によって使う感覚が違っている点があります。そして、そのうえでedibleのほうが広く一般的な言葉だといます。
カナダ人のスティーブに「edibleでなくて、eatableでしか表現できない状況ってあるの?」と質問してみると「個人的にはないと思う。そもそもeatableという言葉を使ったことがない」とすら言っていました。
同様にオーストラリア人のカールとアメリカ人のスコットにも確認しましたが、彼らも「eatableという言葉を使ったことがない」「造語みたいに感じる。辞書にのってるの知らなかったので勉強になった」と言っています。eatableを人生の中で使ったことがないネイティブがけっこういます。
またコーパスで使用頻度を検索してもらうと圧倒的にedibleが多く、eatableの登場頻度が極端に少ないです。
例えばレストランの店先には食品サンプルが飾ってあります。それを見た子供に対してならなんていう? と聞いてみると以下のような答えでした。
You can’t eat that. It’s plastic.
それは食べられないよ。プラスティックだよ。
また料理がほぼ終わっていて見た目には美味しそうだけど、まだ最後の味付けが完成していない場合ならばどう言う? と質問したら以下のような回答がありました。
You can’t eat that. It’s not ready yet.
食べられないよ。まだ準備が終わってない。
イスラム教徒は豚肉が禁じられていますが、これもわざわざedible / inedibleやeatableを使う理由がありません。
Muslim people don’t eat pork as part of their religion.
イスラム教徒は信仰の一環として豚肉を食べない。
このように普通に表現できます。これをinedibleを使っても間違いではないかもしれないという微妙な意見でした。
△ Pork is inedible to Muslim people.
(この言い方をする人もいるかも…)
このように日常会話の範疇でいうならば「eatable」も「edible」も自然な会話の中では、あまり言う必要性がありません。
また怪しい感じのピザがあった場合で「eatable」と「edible」のどちらを使うかとなればedibleを使うという話です。ピザのように明らかに食べるために作られたものでもedibleは可能です。
〇 This pizza is edible.
△ This pizza is eatable.
また日本の懐石料理についている飾りか食用かよくわからない葉っぱのあしらいなどでも「edible」を使ったほうがいいだろうという話です。スティーブの意見ですがeatableを使うと、いい教育を受けてない感じもするケースがあるそうです。
〇 Is this leaf edible?
△ Is this leaf eatable?
(この葉は食べられる?)
全般的にいえるのは日本語の「食べられる・食べられない」とその対訳にあたる「edible / inedible」にこだわって無理に使おうとせずに、英語の発想で自然に考えたほうがいいような気がします。can / can notとeatなどの組み合わせで自然な英語表現も可能だと思います。
またeatableという単語があまり使わない言葉だということになります。
edibleそのものが論争がある
ニュースでは岡山で発売された食べられる皮を持った「もんげーバナナ」を取り上げたことがあります。
他サイトがこの皮を「edible peel」と表現しているのに対して、ほかのバナナの皮もすべて食べられる、ただ味が良いか悪いかという問題だという論争も見られました。
「eatable」との違いにもつながりますが、世の中には変わったものを日常的に食べる習慣がある集団もいて、何をもって「edible」とするのかその基準が明確でないケースが見られます。
また国・人によっては「edible」は食用である / 食用でないの0/100の世界である言葉だと考えるのに対して、edibleに段階を認めるか(a bit edibleのような)でも考え方が違います。
当サイトでは「eatable」に対して明確に使うべき、使わないべきといった指針は出ませんが、「eatable」を使わないといけない明確な理由や「eatable」でしか表現できないもの・状況が見つからないといった回答になります。
ロイヤル英文法による解説
ロイヤル英文法にもeatableとedibleの違いが掲載されているので引用してみます。
本来のeatableには「おいしく食べられる」、edibleには「(有害でないので)安全に食べられる」の意味が含まれると言われるが、現在では、おいしくなくてもとにかく食べられればeatableもedibleも用いる。しかし、「無害だから安全に食べられる」意の場合はedibleしか使えないので、実際にはedibleのほうが使用頻度が高い。(徹底例解 ロイヤル英文法より)
「含まれると言われるが」の部分など、この解説が何を根拠に書かれているのかや書かれた年代も考慮する必要がありますが、おおよそ「eatableを使わないといけない理由がない」という部分は当サイトがネイティブスピーカーに聞いた感覚と一致します。
「おいしく食べられる」と「安全に食べられる」の境界線って非常に主観的だともいえます。納豆が「おいしく食べられる」食品なのか? はかなり主観が入ってきます。
eatableが使われない言葉なのもあり、なんとなくedibleを使ったほうが不要な摩擦を起こさない意味でも無難な感じはしますね。
palatable
良い味のことで、「口に合う、好ましい、おいしい」のことです。発音は【pǽlətəbl】です。
The food in prison is actually very palatable.
刑務所の食べ物は実はとてもおいしい。
これはポジティブな言葉ではあるものの、「ひどくはない」というニュアンスを含むために普通は褒め言葉としては使いません。
ケーキの美味しさを表す例文を以下にあげますが、下にいくほど味は悪くなっていきます。
① This cake is delectable.
② This cake is delicious.
③ This cake is palatable.
④ This cake is gross.
①は驚くほどおいしいというかなり強い表現で、②はとても良いといった強い表現です。③はひどくはない程度の弱い表現です。④になるとひどい味だという強い表現になります。
受け入れられる
またpalatableには「受け入れられる、許容できる」の意味もあります。
Sometimes movie trailers are changed to make them more palatable to Japanese audiences.
ときどき映画の予告編は日本の観客に、より受け入れてもらえるようにと変更される。
We are hoping this deal will be palatable to our client.
我々はこの契約がクライアントに受け入れられることを望んでいる。