カタカナでもおなじみの「double(ダブル)」ですが、英語としては、動詞、名詞、形容詞、副詞とさまざまな使い方が存在しています。
基本的なイメージはカタカナと同じで、何かが二重、2倍、2つあるような意味として理解しても問題ないと思います。
熟語で少し変わった使い方も存在しているので、あらためて例文を交えながらご紹介していきます。日本語の「ダブる」についても併せて記載しておきます。
doubleの使い方
2倍などの意味では私たちになじみのあるもので、以下のような例文が成立します。
That is double what he gave me.
あれは彼が私にくれたものの2倍だ。
The price has become double what it was last year.
価格が去年より2倍になった。
他には「二重に」といった意味での使い方もあります。
I’m seeing double.
二重に見えている。
頭を打ったり、寝ぼけているときに、物事が重なって二重に見えてしまうようなことを意味する表現です。
動詞では何かを「2倍にする」といった意味でも使えます。
I doubled my income this year.
今年、収入を2倍にした。
Wとdoubleの関係
アルファベットの「W」をdoubleの意味で使うのは和製英語であり、英語ではこの表現が成立しません。
I want a double cheeseburger.
私はダブルチーズバーガーがほしい。
日本の飲食店では「Wチーズバーガー」や「W販売」などの意味で、doubleとWを置き換えていますが、おそらく外国人には意味不明です。
カナダ人のスティーブも「Wチーズバーガー」の「W」はそういう名前の商品なんだとずっと思っていたそうです。私たちにとってのYバーガーやTアイスと同じ感覚のなんかよくわからない商品名です。
アルファベットの「W」はもともとは「U・U」の「ダブル・ユー」なのだから、doubleの意味で使うのはそこまで間違いではないのでは? と思って確認してみましたが、どう考えてもその意味にはならないらしいです…。
この意味ではけっこう和製英語になっており、むしろ英語圏では「W」は「with」の省略として使われるケースの方があります。
調べてみましたがマクドナルドは少なくとも公式サイトでは「Wチーズバーガー」の英語表記はしておらず、ちゃんと「double cheeseburger」と書いています。
double as
2つの役割を果たすこと、「(ほかの物として)使える、兼務する」という意味になります。
My sofa doubles as a bed.
私のソファーはベッドとしての役割も果たす。
Your table can double as a shield during an earthquake.
あなたのテーブルは地震の間、保護物になりうる。
テーブルの下で身を守るといったことを意味します。
The bartender can double as a bouncer if there is trouble.
バーテンダーはトラブルがあるときには用心棒にもなる。
on the double
熟語で「on the double」は「直ちに、大急ぎで」を意味します。
I need the project done on the double.
私はそのプロジェクトを大急ぎで終わらせる必要がある。
She wanted him in Osaka on the double.
彼女は大阪で、直ちに彼を必要としていた。
この表現はすべて「very fast」ぐらいの意味なので、具体的に何かの日数・時間の倍を指しているわけではありません。
10日間の予定だった計画を5日で終わらせる必要があるといっているのではなく、単に「大急ぎで」といった意味しかありません。
double take(ダブルテイク)
少ししてから驚くこと、ふ~んと思ってから「おい!」と気がつくような、二度見してしまうようなことを指す言葉です。
最初にいわれたときはそうなんだと流してしまったけど、すぐに気がついて驚くことが「double take 」です。
「へぇ~そうなんだ…。えぇぇ~?!」みたなアニメなどによくみられる表現です。
I did a double take when she told me she was a man.
彼女が自分は男だったと伝えたときにダブルテイクした。
When I told my parents I was studying to be a clown they did a double take.
私が両親にピエロになりたいと伝えたときには、両親はダブルテイクした。
ダブルテイクの状況としては以下のような感じです。
A: Can you speak English?
(英語を話せますか?)
B: Why no. I don’t believe I can.
(どうして?無理です。自分ができるとは思いませんね)
A: Oh, okay…Huh?
(あー、そうですか…。ちょ、待てよ)
カタカナの「ダブる」
カタカナでも何かが重複してしまうことや、大学や高校で落第してしまい同じ学年をやり直すことを「ダブる」と表現します。これを英語で考えてみます。
まず「落第して同じ学年を繰り返す」は確認してみましたが、特定の言葉がないので普通に表現するしかありません。
He will have to repeat the second grade, because he failed the final exam.
彼は2年を繰り返さないといけないだろう。なぜなら彼は期末試験に落第したからだ。
もう1つはくじ引きやソシャゲのガチャなどで、同じものを引いてしまった場合などの「ダブる」です。
I got doubles of Pikachu.
ピカチューがダブった。
上のように表現できます。
他にも見積もりなどで同じ項目が登場するとき、「redundant(重複する、不必要な、余分の)」や「duplicate(~を複製する、~を二重にする)」、「overlap(重なる、重なり合う)」を使うよりは、もっと口語的に簡単な表現を使うのが自然だろうという意見です。
You have this written twice.
2回、書いてますよ。
You have double “improved sounds” in the estimate.
見積もりに「音声の改良」がダブるになっていますよ。
このようにdoubleやtwiceを使えば済む話なので、あまり難しい言葉を使う必要性がありません。
参考までに「redundant(重複する、不必要な、余分の)」と「overlap(重なる、重なり合う)」ですが以下のような状況を指すことができます。
あるアプリの改良を見積もりでもらった時に以下のような項目が出ていました。
No.1 : improve sound / 100,000 yen
No.2 : make sound louder / 50,000 yen
この場合No.1は「音を改良する」、No.2が「音を大きくする」で、見積もりとしては重複項目です。No.1の中にNo.2が含まれている要素と考えるのが妥当です。
したがって、この場合はNo.2を指して「This is redundant.(No.2は余分だ)」といった表現ができます。
また、この見積もりのNo.1とNo.2を指して「These are overlapping.(重なり合っている)」と表現することができます。
他にもスタントマンなどを表す「stunt double」やヌードシーンなどの代役や影武者を意味する「body double」については以下の記事を参照してください。ちなみにメイン写真の二階建てバスは「double-decker bus」です。
また似た言葉のdual(デュアル)やtwin(ツイン)との比較は以下の記事にまとめています。
double down on
ギャンブル用語で「倍賭けする」「倍プッシュする」ことで、だいたい負けたら掛け金を2倍にするような行為を指します。
そこから転じて「強弁する、強硬する」といった意味になります。
Even after he was impeached, Donald Trump doubled down on his claims that the election was rigged.
弾劾された後でも、ドナルド・トランプは選挙は不正操作されたという主張を強弁した。
Even though they were losing the war, the president doubled down and sent more soldiers.
彼らは戦争に負けつつあるが、大統領は強行してさらに兵士を送った。
ギャンブルで負けたら掛け金を倍にして取り戻す方式は「マーチンゲール」とも呼ばれ、負けが込むと資金がパンクして大敗する可能性が高い、あまり良いとは言い難い作戦です。
double downも「(自分が不利・劣勢なのに)強行する」といったニュアンスが色濃く、明らかに得られるメリットよりもリスクの方が大きいような状況で用いられることが多いです。