document(ドキュメント)は通常は「書類」などを指して使われる言葉ですが、英語には似た単語でdocumentation(ドキュメンテイション)やdocumentary(ドキュメンタリー)があります。
カタカナではこれらの混同が少なからず見られ「ドキュメント番組」といった言い方がされますが、英語としては誤りだといえます。
documentとdocumentationの違いについてはかなり近い意味になるので間違えやすい要素になっています。ここでは英単語としての意味を確認します。
この記事の目次!
document(ドキュメント)の意味
ドキュメントは名詞で「公文書、記録文書」など公的な記録を指し、多くは紙の「書類」に対して使われます。
「Google ドキュメント」やマイクロソフトのワードのファイルの単位も「ドキュメント」と名称がついているので文章に使われやすい言葉です。
しかし紙以外に使ってはいけないわけではないので映像などにも用いられるケースもあるかもしれません。
His office was cluttered with legal documents.
彼のオフィスは法的な記録書類で散らかっていた。
You need to submit the following documents to apply for a visa.
あなたはビザ申請のために次の書類を提出する必要があります。
documentを動詞で使う
動詞では何かを記録することに対して使われます。これも媒体は問わないので文章、写真、動画、音声などなんでも可能です。
The book documents his experiences as a refugee.
その本は彼の難民としての経験を記録している。
A film crew followed her around to document the life of a presidential candidate.
映画のクルーは彼女の大統領候補としての生活を記録するためについてまわった。
動詞と名詞では発音が少し違うので音声を確認してください。
音声はわかりやすいように名詞は「my document」で動詞は「I document that」で発音しています。
名詞:document【dɑ́kjəmənt】
動詞:document【dɑ́kjəmènt】
doxの意味と使い方
doxはドキュメントの略で、プライベートな文章などをネットに公開して辱めるような行為です。新語として辞書に登録されるようになりました。
リベンジポルノ(revenge porn)は恋人時代に撮影したプライベートな写真、主にヌード写真などを別れた後にネットなどにアップする行為ですが、doxは個人的な恋人時代のメールやSNSのやり取り、非公開記事などを晒しあげる行為です。
The hacker group doxxed a prominent politician.
ハッカー集団は有名な政治家をドックスした。
動詞として使われているのが特徴でメリアム・ウェブスターによると過去形はdoxedまたはdoxxedのどちらでもOKだそうです。
documentとdocumentationの違い
ドキュメンテイションとは「document」のセット、まとまりを意味します。
ビザの申請なら「職業の証明」「住所の証明」「家族の証明」みたいな同じ目的のための複数の書類から構成されていますが、このまとまりがdocumentationです。
複数形のdocumentsと置き換えても成立するケースもあれば、置き換えると変になるパターンがあります。
You need to submit the following documentation(= documents) to apply for a visa.
あなたはビザ申請のために次の書類を提出する必要があります。
(先の例文と同じ意味です)
▲ His office was cluttered with legal documentation.
彼のオフィスは法的な記録書類で散らかっていた。
(ちょっとニュアンスとして変です)
おそらく彼のオフィスはいろんな書類で散らかっていると思うので少し変です。仮に「ある1つの大事件の膨大な枚数のドキュメント」が彼のオフィスに散らかっているならば意味としては成立します。
またdocumentationは何かを記録する過程を指します。ドキュメントを作成することなので「作業」を指しています。
The first documentation of this species was in 1908.
最初のこの種の記録は1908年だった。
documentary(ドキュメンタリー)の意味
ドキュメンタリーは名詞で、事実の記録としての映像を指しカタカナと同じです。それが映画であれば「ドキュメンタリー映画(documentary film)」となります。
辞書には形容詞でdocumentary(文書の、記録による)の意味で掲載がありますが、この意味ではほとんど使わないそうです。
I watched a documentary about the Korean War.
朝鮮戦争についてのドキュメンタリーを見た。
He doesn’t like documentaries, because he thinks they’re boring.
彼はドキュメンタリーが好きではない。なぜなら彼は退屈だと思うからだ。
英語のテレビ番組には「reality show(リアリティショー)」と呼ばれるものがあります。
documentary(ドキュメンタリー)が何か主題について教えたり伝えたりすることがメインになっているのに対して、reality show(リアリティ番組)はエンターテイメントが目的になっている点がまず異なります。
『あいのり』や『テラスハウス』のような番組は台本のない状態で素人の出演者の反応などを楽しむような番組形態で娯楽向けなのでドキュメンタリーとはいいません。