ポテトチップスに使われている英単語のchip【tʃíp】はさまざまな熟語や慣用句などに使われ、あげればキリがありませんが代表的なものをご紹介します。
もともとは小さな破片を意味する言葉で、そこからカジノなどのチップにも使われています。このカジノのチップに由来するイディオムもいくつかあります。
アメリカでウエイターに渡すのはtip【típ】で言葉がそもそも違いますのでご注意ください。発音は以下の音声ファイルで確認してください。
chip【tʃíp】
crisp【krísp】
tip【típ】
tipについては『tip / tipping / tippedの意味と使い方』をご覧ください。
この記事の目次!
米:chip 英:crisp
お菓子のポテトチップスに関していえば、crisp(クリスプ)はイギリスでの名称ですが指しているものは一緒です。potato crisp = potato chipです。
I got a bag of crisps / chips for the party.
パーティーのためにチップス一袋を手に入れた。
In Canada they have dill pickle and ketchup flavored crisps / chips.
カナダにはキュウリの酢漬けとケチャップ味のチップスがある。
chip / crispの違いはイギリス・アメリカにおけるポテトチップスの話です。したがって以下にご紹介するイディオムなどで相互に置き換えはできません。
wood chip(木片)をwood crispとはイギリスでもいいません。同様にカジノのチップなども英米ともに「chip」であって、置き換えることはできません。
chip sandwich
熟語ではありませんがクリスプサンドイッチ(crisp sandwich)とも呼ばれ、ポテトチップスを具に挟んだサンドウィッチです。他にも具を混ぜたりするので、ポテチのみがサンドウィッチの具ではない場合もあります。
アメリカではトレーラーパーク料理 (Trailer park cuisine) と呼ばれることもあるようで、安くてすぐに引っ越せる住宅(トレーラーパーク)に住む人が食べるといったネガティブな意味があります。
他にもフライドポテトをサンドウィッチに挟む「Chip butty」と呼ばれる料理もあります。
ニュースでは、こういった雑な料理を子供のお弁当にもたせるのが問題になっている話があり、学校側が怒っていることが伝えられています。
細かい破片
もともとは小さな破片のような何かを指します。この形状からポテトチップスの名前も来ているのだと思います。
Chips of paint keep falling off these old walls.
ペンキの一部が古い壁からはがれ続けている。
I put wood chips all over my garden.
私は庭じゅうに木のかけらを置く。
chip off the old block
これで「性格・行動・外見などが(父)親にそっくりな子」といった意味になります。
直訳ではchipが子ども、old blockが親で「元の木塊からとれた一片」といった感じです。
Michael is a chip off the old block. Look at him play baseball like his father did.
マイケルはそっくりだよ。彼の父親がしたように野球をしている彼を見てごらん。
カジノのチップ
カジノゲーム、ポーカーやルーレットで使う代用貨幣を意味することもあります。麻雀の点棒もchipの一種です。
I brought some chips for the poker game.
私はポーカーゲームのためのいくらかの代用貨幣を持ってきた。
I tipped the waitress with some chips.
ウェイトレスにいくらかのチップをチップとして渡した。
上の例文などややこしく、カジノで勝っていると飲み物を運んでくれたウエイターなどにメダル・コインをあげたりしますが、チップ(chip)をチップ(tip)として渡しています。
chip in(カンパ)
これで「仲間などが金などを出し合う、カンパを集める、寄付する」などの意味にもなります。
これもおそらくアメリカのカードゲーム、チップを投げ入れる様子などに由来する言葉だと考えられています。
We all chipped in and bought her a big birthday present.
私たちみんなでお金を出しあって、彼女に大きな誕生日プレゼントを買った。
I’m collecting money for charity. Would you like to chip in?
チャリティーのためにお金を集めているんだ。寄付してくれない?
when the chips are down
これは「深刻な状況のとき、重要な状況のとき」などの意味になります。
これもカジノで行われるポーカーなどのカードゲームに由来する言葉で、チップが積まれてテーブルに置かれている状況、つまり大きな勝負の準備が整ったことを意味しており、そこから「重要な局面、大事な場面」といった表現につながっています。
When the chips are down, I need people I can trust.
状況が深刻なとき、信頼できる人々が必要だ。
He’s usually an average soccer player, but when the chips are down he plays his best.
彼はいつもは平均的なサッカー選手だが、重要な場面ではベストプレイをする。
chip on one’s shoulder
直訳すると「肩にチップを乗せている」で怒っていることや、戦う気まんまんの状態を指します。
Stay away from Josh. He’s got a chip on his shoulder today.
ジョシュから離れてろ。今日はけんか腰だ。
Some people have chips on their shoulders about immigrants.
移民についてけんか腰の/怒っている人もいる。
100年ぐらい前の習慣で、言い争いや喧嘩が起こりそうになると、自分の肩に木のクズ(wood chip)を乗せて、喧嘩相手に「これを払ってみろよ、取り除いてみろよ」と宣言します。
喧嘩相手が同意して「じゃあ、やってやるよ」といって振り払おうとすると、それが肉体的な喧嘩のスタートの合図になるという習慣です。たいてい子どもがやっていたようです。
時代劇の遠山の金さんの「この桜吹雪、散らせるもんなら散らしてみろ」と発想は同じです。
これは現代社会ではたまにポテトチップスでやる人を見かけます。