「capture(キャプチャー)」はカタカナでもまれに聞くこともありますが、日本語では「捕らえる、捕獲する、獲得する」といった意味になります。特にとらえるのが難しいものに対して使われます。
captureは難しいものを捕らえるといった意味から、写真、映像関係の用語や、スクリーンショットを撮ることなどにも使われる言葉です。
今回はcaptureの意味をはっきりさせるために、似た意味であるcatch(キャッチ)との違いを中心にまとめてみました。
この記事の目次!
captureとcatchの違い
どちらも「捕らえる」「捕まえる」の意味ですが少しニュアンスに違いがあるので確認していきます。
catch(キャッチ)は動いている物体や動くと予想される物を捕まえていることを感じさせる言葉です。
一方のcapture(キャプチャー)は捕まえるのが難しい物だということを感じさせます。日本語の「捕獲」に近い雰囲気も少しあります。
どちらを使っても文章の意味としては成立するパターンもあります。
The military caught the rebel leader.
The military captured the rebel leader.
軍が反乱軍のリーダーを捕らえた。
I caught the dog as it ran past me.
I captured the dog as it ran past me.
私の前を通ったのでその犬を捕まえた。
catchを使った例文は犬が動いている状態だということが強調されていて、captureを使った例文は捕まえるのが難しいということが強調されています。どちらも可能な表現です。
She caught a cold.
彼女は風邪を引いた。
× She captured a cold.
(この使い方は変です)
風邪のウイルスは動いているのでcatchは可能な表現です。しかしcaptureになると風邪は簡単に引いてしまうため、捕まえるのが難しい感じがするcaptureは使えません。
しかし、キャプチャーには難しいものを捕らえる、獲得するという意味で「占領する、攻略する」としても使われます。
The military captured the rebel base.
軍が反乱軍の基地を占領した。
× The military caught the rebel base.
(この使い方は変です)
基地は動いていないのでキャッチは使えませんが、キャプチャーは使えます。
人の心や関心、注目に使う
captureは人の心や関心、注目などに対しても使うことができます。
Her victory caught the attention of the nation.
彼女の勝利は国民の注目をとらえた。
Her victory captured the attention of the nation.
彼女の勝利は国民の注目をとらえた。
人の関心はあるものからまた別のものへと動いていくものなのでcatchも可能な表現です。captureもまた人の関心を集めるのは難しいことなので可能です。
しかし「attention」に対してはcaptureとcatchの両方が使えますが、heartには片方しか使えない不思議があります。
Her victory captured the hearts of the nation.
彼女の勝利は国民の心を掴んだ。
× Her victory caught the hearts of the nation.
(この表現をしない)
心は何かほかのものへ素早く動いていくわけではないのでcatchの表現は使えませんが、国民の心を掴むのは難しいことなのでcaptureは可能な表現です。
このあたりは英語での感覚になってしまうので、日本語訳をベースに考えてしまうと「人の心はキャッチできるんじゃないの?」と使えそうな感じがしてしまいます。
写真をキャプチャー
写真に対しても使われる用語で撮影するのが難しいようなものに対して用いられます。これも元の「難しいものをとらえる」といった意味からです。
He captured some of the greatest moments in sports with his photos.
彼はスポーツの最もすごい瞬間を写真でとらえた。
この場合は被写体が必ずしも動いている必要はなく、相手が静止していても難しく努力が伴うようなものならばcaptureが使えます。
catchでも同じような意味になりますが、この場合は被写体が動いているようなものに使う傾向があります。
He caught a photo of the bird when it flew out the window.
彼は窓から飛び出ていく鳥を写真にとらえた。
注意点としてはcatchもcaptureも実際に「捕らえる、捕獲する」の意味があるので写真であることを明確にしないと不明瞭な文章になります。
He caught the bird when it flew out the window.
He captured the bird when it flew out the window.
(写真の話なのか? 実際に捕獲した話なのか?)
特にcatchには「見る」の意味も含まれてくるので、写真であることを指定しないと何を指しているのかはっきりしない文章になります。
YouTubeにSNSで見るとイラッとする旅行写真トップ10をまとめた動画を投稿しました。
Nice capture!(インスタグラム)
インスタグラムなどで「Nice capture!」といったコメントが見られるようになりました。「Nice capture」はプロのカメラマン同士では自然な表現ですが、インスタグラムなどに投稿された写真に「Nice capture!」とコメントをつけると、ちょっと不自然な感じがするといった意見がありました。
以下、ネットの意見とスティーブの感覚による見解だとお断りを入れさせてもらいます。
通常はそれがいい写真ならば「Nice picture!」「Nice photo!」といったコメントが自然です。よくある自然な「いい写真だね」といった意味です。
「Nice capture!」とコメントされ、そこに「いいアングルだから、露出がうまい具合だね、いいレンズフレアが入ってるね」といった具体的な理由があるならまだ納得できます。
しかし「Nice capture!」だけで何もコメントがないと「いいね!(like)」以上の意味はありません。
これはインスタグラムに対してのスパム系の行為に近く「Nice capture!」というコメントを添えるとアクティブなユーザーだと判断されることを狙っているのではないかといった意見です。
他にも「Nice snap!」「Nice pic!」あたりの不自然な言葉が選択されたコメントもスパム判定を回避するためにつけられているのではないかといった意見があります。
日本の「はてなブックマーク」でもスパム判定されないように「なるほどですね」「参考になりました」「すばらしいですね」みたいな、機械による自動投稿ではなさそうだけど特に意味のないコメントが投稿されるのと構造的には近いものがあります。
しかし、インスタグラム世代はこのような言い回しを本当にするのかもしれないし、実際に悪意なく「Nice capture!」を使っている人ももちろんいると思いますが、素人同士が単独で使うとやや自然さに欠ける表現だといえます。
参考:Nice “capture”…(boards.ie)
screencap / screen capture
パソコンやスマホの画面をそのまま撮ることをカタカナでは「スクリーンショット」あたりが一般的でしょうか。iPhoneならばホームボタンと横のボタンの同時押しなどで可能です。
英語でもscreenshotもOKで、他にもscreencap、screen capture、screen grabなどが用語として存在しています。比較的、新しい部類の用語なのでどれがスタンダードになるかは今後の流れ次第です。
I took a screencap of the tweet before he deleted it.
私は彼が消す前にそのツイートのスクリーンキャプチャーを撮った。
captured
形容詞としては「捕獲した」の意味がcapturedにあります。過去形と過去分詞もこの形です。
captured【kǽptʃɚd】
He took photos of the captured animal.
彼は捕獲した動物の写真を撮影した。
The captured soldiers were held in a hospital.
捕獲した兵士たちは病院に入れられた。
プロレスの技に「キャプチュード」があります。前田日明が得意にしていたスープレックスで日本名は「捕獲投げ」とされています。これはよく考えたらcapturedのことですね。
キャプチャード、キャプチュードどちらの発音が近いのか微妙ですが音声ファイルを聞いてみてください。