カタカナでも広く使われているキャンセルですが、英語では「キャンセルする、取り消す」という動作が「cancel」です。取り消し、解除、中止を意味する名詞が「cancellation」です。ほかに形容詞で「cancelled(キャンセルされた、中止になった)」があります。
過去形・過去分詞のスペルはcancelledとcanceledの「L」の数が違う2種類がありますが、どちらも辞書に掲載があり広く使われています。伝統的には「cancelled」が古くから用いられてきました。このあたりのスペルの違いもまとめてあります。
この記事の目次!
cancel(動詞)の意味と使い方
動詞で「取り消す」という意味で、正式な取り決めを終わらせることです。カタカナだとキャンセルは名詞っぽい感じもしますが英語では動詞です。
His visa was cancelled and he returned to Serbia.
彼のビザが取り消されたので彼はセルビアに戻った。
I cancelled my newspaper subscription.
私は新聞の定期購読を解約した。
また「中止する、取りやめる」といった意味でも使います。計画したものが実現されないことです。
The concert was cancelled because of the pandemic.
そのコンサートはパンデミックのせいで中止された。
I decided to cancel my vacation plans.
私は旅行の計画を取りやめることに決めた。
同じようなことを言い表すには「call off」「scratch」などがあります。
She cancelled the meeting.
= She called off the meeting.
彼女はミーティングを取りやめた。
スぺルの問題:cancelledとcanceledの違い
cancelの過去形と過去分詞にあたる言葉には2種類のスペルが存在しています。Lを重ねる「cancelled」と、Lが1つだけの「canceled」です。
これは現在分詞の「cancelling」と「canceling」にも同じことがいえます。
結論からいえば、どちらを使っても同じです。辞書にはどちらも掲載があり、発音も用法も違いはありません。
She cancelled(= canceled) the meeting.
彼女は会議をキャンセルした。
If you’re thinking of cancelling(= canceling) the hotel room, let me know.
ホテルの部屋のキャンセルを考えているなら、知らせてください。
伝統的には「cancelled」が用いられてきました。コーパス(言語のデータベース)によれば、伝統的なイギリスでは今でも「cancelled」が優勢で広く使われています。カナダ人のスティーブも「cancelled」で習ったそうです。
一方で何かとスペルを省略する傾向があるアメリカでは「canceled」が近年はやや優勢な感じですが、同様に「cancelled」も広く使われています。
「cancelling」に関してもイギリスではLを重ねるスぺルが優勢です。どちらを使っても間違いではないので、どちらでも大丈夫ですが、どちらかに決めたならそれを同じ文章の中で使い続けるのが無難です。
cancelled(キャンセルされた)
cancelledは「キャンセルされた、取りやめになった」の意味です。この場合もスペルは「cancelled」と「canceled」のどちらでも問題ありません。
The canceled event disappointed many people.
中止になったイベントは多くの人をがっかりさせた。
There were a lot of canceled concerts during the pandemic.
パンデミックの間には、多くのキャンセルされたコンサートがあった。
cancellation(名詞:取り消し、解除、中止)
名詞だと「cancellation」となり、何かをキャンセルする行為、取りやめることを表します。
「何かをキャンセルする行為」の全般を指せるので、契約なら「解約」、イベントなら「中止」、飛行機なら「欠航、取りやめ」などいろんな日本語が対応します。
I called the hotel to see if there were any last-minute cancellations.
私はホテルに電話をして直前のキャンセルがないか確認した。
She had to pay a cancellation fee for the rental car.
彼女はレンタカーのキャンセル料を支払わなければならなかった。
There is a waiting-list in case of last-minute cancellations.
直前のキャンセルの場合の待機リストがある。
cancel culture(キャンセルカルチャー)
cancel culture(キャンセルカルチャー)は、著名人などが問題を起こした時に、そのすべてを排除・追放するような文化です。ここ数年で日本でも目にするようになりました。
キャンセル・カルチャー(Wikipedia)
広い意味では問題を起こした芸能人が、その過去の作品からもすべて抹消されるようなものも指します。
あるいは、雑誌やSNSなどの数年前の発言を掘り出して文脈を無視して取り上げ、それを元にソーシャルメディア上でキャンセル(追放)するような行為も含まれます。
例えばミュージシャンの小山田圭吾が過去にいじめを行っていた発言から、オリンピックの委員をおろされた事件もこれに該当します。
さらにはまた当時良かったものが、今の時代の価値観にあわずに全否定されることもあります。これはアメリカにおけるコロンブスの銅像の破壊・撤去なども含まれてきます。
犯罪をやって追放されるのと、不適切な発言で追放されるのが一緒になっていたり、いじめとも重なる部分もあってどうキャンセルカルチャーをとらえるかは議論があります。