hazing(いびり・いじめ)の文化とは?

hazing
 

公開日: 最終更新日:2022.08.9

hazing(ヘイジング)という言葉が何度かニュースに登場したのでまとめてみます。この言葉が最もメディアに出るときは、メジャーリーグの新人に女装させる「rookie hazing(ルーキーヘイジング)」かもしれません。

hazingは一種のいびり、いじめの文化であり、アメリカや日本の体育会系の社会で問題になりますが、同様にイギリスの伝統あるコミュニティーの中でも問題になっています。

これは大きな視点で見ると、何かのコミュニティ・集団に入るための「initiation(イニシエーション)」だともいえます。このあたりを全体的に整理してみました。

initiation(イニシエーション)

initiationは何かの組織やコミュニティへの入会で、そのセレモニーが「入社式(initiation ceremony)」の訳語としてよく使われます。

しかし「海外の反応」などのまとめサイトでもしばしば取り上げられますが、日本式の「入社式」というセレモニーがあまり一般的ではなく、時に奇妙な感じで見られることがあります。

initiation単独だと「入会・入門」などの意味しかなく、かなり漠然としたものを指しています。

例文

His initiation into the company was smooth.

彼のその会社への入社はスムーズだった。

上のような文章があった場合に、何も問題なく入社したとも、セレモニー的なものがスムーズだったとも、はっきりとは分からないなんともいえない漠然とした感じの文章になっています。

高校や会社でも先輩からの「伝統」として、初の昼飯をおごられたり、いたずらをされたりするのも一種の新入社員を迎える「initiation」だといえます。

場合によっては、これがかなりネガティブな意味が隠れた形でも使われます。

例文

His high school initiation was to be taped to a wall.

彼の高校では壁にテープで貼り付けられるのがイニシエーションだ。

テープで壁に貼り付けられるのはやられるほうは単にいじめと受け止めるかもしれません。こういったものは特に「hazing」として扱われます。

hazing(ヘイジング)の意味

「hazing」という言葉は、これはアメリカで特に新入生に対する歓迎の儀式と称した一種の「いじめ」「いびり」「しごき」に対して使われます。initiationの中の1つの形にhazingがあると考えることができます。

時代的に減少傾向にありますが、日本でも体育会系のスポーツの伝統的な新入生に対するしごきや余興の存在は、プロ選手の高校時代のエピソードとして耳にしたり、まれに事件としてニュースになったりします。

メジャーリーグでもルーキーは女装をさせられる伝統がありますがこれがrookie hazing(ルーキーヘイジング)と呼ばれています。

例文

MLB has hazing where rookies dress up like women.

メジャーリーグでは新人が女装をさせられるヘイジングがある。

最近は風向きが変わって女装させるのが中止になるといった報道がありました。

写真のマエケンなど楽しそうにやっているように見えますが、アメリカで中止の動きになったのはいい大人なので「いびり」というよりも、女装をさせるという側面からの理由が大きそうです。

こういった大人の世界のお遊びよりも問題になるのは、学生などのいじめに近い構造でhazingに死亡する「hazing death」が問題になります。

これは日本でも新入生歓迎のコンパなどでイッキ飲みをさせられて学生が死亡する事件がたびたびニュースになりますが、これも一種の日本の「hazing」だといえます。

イギリスのヘイジングの文化

ヘイジング

こういった新入生に対する「歓迎」と称した強要の文化は日本やアメリカの特有のものではなく、むしろイギリスも似たような状況(あるいはそれ以上)かもしれないといったことを伝えるニュースを配信しました。

アプリで配信したニュースから抜粋してみます。イギリスではラグビーの世界です。結果的にこういった伝統が、潜在的な有能選手を遠ざけているといった話です。

例文

The RFU, Britain’s administering body for rugby, has estimated that 10,000 secondary school rugby players have given up the sport or begun playing at lower levels going into university due to ‘lad culture’ and the risk of horrifying initiation ceremonies.

イギリスのラグビーの運営組織RFUは、1万人の高校ラグビー選手がこのスポーツ(ラグビー)をあきらめた、もしくは大学に入った段階でより低いレベルでプレーしはじめることになっていると見積もった。これは「男の文化」とおそろしい加入儀式の危険性のためだ。

例文

Called ‘hazing’ in the United States, initiation often involves embarrassing drinking and nudity, but the RFU has reported more harmful and twisted games involving dead rats and drinking vomit.

アメリカで「hazing(ヘイジング)」と呼ばれる儀式には、しばしば辱めるような飲酒や裸になることがある。しかしRFUはより有害でひねくれたゲーム、死んだネズミに関わるものや嘔吐物を飲むことなどを報告した。

ladとはイギリス英語で男(man)の意味であり、親しい男友達への呼びかけになっています。ここでのlad cultureとは「男の文化、男の世界」のようなもので、酒を無理に飲ませて我慢させるような文化であり、伝統的に女性は弱いものだという価値観に基づいています。

これはイギリスでは「boys club」とも呼ばれ、男性文化が根強い特定のスポーツ、ラグビー、サッカー、アメフトなどに見られます。

デーヴィッド・キャメロン元イギリス首相が、オックスフォード在学中に死んだ豚の口に自分の性器を入れたことがあったというスキャンダルを暴露されていました。

現役の首相の「若気の至り」として大きなスキャンダルになっていましたが、これもブリンドン・クラブと呼ばれるオックスフォードの学生クラブへの入会儀式だったとされています。

Piggate(Wikipedia)

イギリスも日本も伝統・歴史のある国ですが、こういった負の部分も伝統的に受け継がれやすい傾向があり、男の悪乗り文化は世界的に共通するものがあります。

オーストラリア人のカールに聞いてみると、少なくともオーストラリアではあまり話題になったことはなく、彼自身も経験したことがないといいつつも、「軍隊」などではこのような文化があると思うと言っていました。

ウィキペディアには各国で名前が少し異なることも記載されています。

Hazing(Wikipedia)



  • このエントリーをはてなブックマークに追加

私たちのアプリもよろしくお願いします。

新作アプリをリリースしました!

YouTubeのチャンネルはじめました!

リスニングと英語教材のペラペ

記事カテゴリー

おすすめ記事

  1. capital-letter
  2. 外国人
  3. 「stay at home」と「stay home」の違い
  4. all-you-can-eat
  5. middle finger

最近の記事

  1. Mon / Mama / Mother「母親」を表す言葉の違い
  2. slip offとslip onの意味と使い方
  3. reticulated / reticulateの意味と使い方
  4. burn upの意味と使い方
  5. extremist / militant / terroristの意味の違い
  6. extreme(エクストリーム)の意味と使い方
  7. restraint(自制、慎み)とrestrain(拘束する、抑える)の意味と使い方
  8. sheriff(保安官)とは何をする人なのか?
PAGE TOP