brand(ブランド)はすっかりカタカナで定着していますが名詞・動詞での使い方を取り上げてみます。
基本的にはカタカナの「ブランド」と大きく意味が外れているわけではありませんが、動詞で使える点が少し特殊かもしれません。
全体の大まかな意味は「他のものと区別するためのもの」であり、区別することで「高品質、高価値であることを示すもの」だといえます。
この記事の目次!
ブランド(名詞)
名詞でブランドといった場合には細かな違いはあるものの、だいたい似たような意味になります。
まずは会社がその商品に与えた名前のこと、「商標、ブランド」です。
Band-Aid is a brand that everyone knows.
バンドエイドはみんなが知っているブランドだ。
Although the mp3 player was made by Sony, it wasn’t sold under their brand.
mp3プレイヤーはソニーによって作られたけれども、彼らのブランド名では売られなかった。
いわゆる高級品ブランドについてはluxury brandと呼ばれます。
商品の種類
「商標、ブランド」と考えてもいいと思いますが、もう少し意味を広げて「商品の種類」も表せます。
There are so many brands of shampoo to choose from.
とてもたくさんのシャンプーの選べる種類がある。
A new brand of car has entered the market.
車の新しい種類が市場に入っていた。
アイデンティティー
身元や正体といった「本人だと特定すること」を意味します。アイデンティティーのような感じです。
「中村紀洋というブランドを近鉄で終わらせていいのか」など、商品価値のある人物はそれだけでブランドといえます。このような使い方も英語でも可能です。
The famous TV star didn’t want to be seen shopping in a discount store, because it would hurt her brand.
その有名なテレビスターはディスカウントストアで買い物をしているところを見られたくなかった。なぜなら自分のブランドに傷がつくだろうから。
何かの様式
「何かの様式、スタイル、手法」といった意味もあります。
Many people enjoy his unique brand of comedy.
たくさんの人が彼のコメディーの珍しいスタイルを楽しんでいる。
Her own brand of management was a big help to the company.
彼女独自の経営スタイルはその会社には大きな助けであった。
このように個々の文脈に当てはめてみると様々な日本語訳が生まれてしまいますが、根本にあるのは「他のものと区別するもの」であり「区別することで高品質であることを示すもの」だと考えることができます。
brand-newの使い方
brand-new(ブランニュー)もカタカナでよく聞く言葉で「Brand New Day」といった感じで歌の歌詞などにもよく登場します。
意味としてはnew(新しい)を強調した感じなので「真新しい」といった日本語訳になります。なくても意味はさほど変わりません。
These shoes are brand-new.
These shoes are new.
この靴は新しい。
He dented my brand-new car!
He dented my new car!
彼が私の新しい車をへこませた!
この場合には特に新しく作られたブランドである必要はなく、既存の商品でも新品であれば「brand-new」といえます。
語源は古くはbrandが「炎」を意味していたことに由来するそうで、炎から出てきたばかり、生まれたばかりの状態を指してbrand-newと呼ばれたようです。
これは新しく製造された刀、剣など炎から出てきたばかりの状態をイメージすると近いと思います。
brandを動詞で使う
けっこう古い使い方で「烙印を押す、汚名を着せる、焼印を押す」みたいな使い方があります。
(仔牛などに)焼印を押す
今もまだこの方法をとっているのかは分かりませんが、家畜や動物に焼印を押すことです。牛にすることが多いです。結果、焼印を押すことで他の農場の牛と区別することができます。
Many farmers don’t do branding anymore.
多くの農家ではもう焼印押しをやらない。
The farmer branded his cows in case someone tried to steal them.
その農家は誰かが盗もうとする場合に備えて自分の牛に焼印を押していた。
プロレス技にもCalf Branding(仔牛の焼印押し)という技があります。嫌がる牛に焼印を押すことに見立てた技で、実際のプロレスラーよりもキン肉マンのテリーマンがやっていた印象があります。技としてはクラシカルで、今となってはけっこう地味です。
烙印を押す、汚名を着せる
ネガティブな何かとして特定することにも使われます。「烙印を押す、汚名を着せる」といった意味です。受動態で使われるケースが多いです。
Even though there was no evidence, he was branded as a criminal by the media.
証拠がなかったにもかかわらず、彼はメディアから犯人としての汚名を着せられた。
After getting fired from his job, he had trouble finding a new one because he was branded as unreliable.
仕事を解雇されたあとで、彼が新しい仕事を見つけるのは困難だった。なぜなら彼は信頼できないと烙印を押されていたからだ。
これはおそらく先に紹介したCalf Branding(仔牛の焼印押し)の延長で、グーグル検索してみるとけっこう画像としては見るのがきつい、牛が嫌がっている写真がいっぱいでてきます。
本人が望んでいないのに、そういった烙印を押されてしまうからだと思います。
branded
もう少し現代的に「~のブランドのついた」といった意味でも使われます。
以下は実際のニュースからで緑茶「伊右衛門」のタクシーが走るというプロモーションについてです。以下のfanは団扇のことです。
Three taxis with decorations promoting Suntory’s Iemon green tea will give passengers a complimentary 500-mL bottle, branded fan and pair of socks.
3台のタクシーがサントリーの緑茶「伊右衛門」のデコレーションをされ、乗客に対して無料の500ミリリットルボトルや商品名を書いたうちわ、スリッパを配布する。
以下はオーストラリアのドミノピザがコカ・コーラをやめてペプシを売る話からです。
They will no longer sell Coca Cola and now offer Pepsi branded beverages.
彼らはもうコカ・コーラは売らず、現在はペプシのブランドのついた飲料を提供する。
branding(ブランディング)
ブランディングもカタカナでよく聞かれるようになった言葉で、英語でもほぼそのまま「ブランド化する」として使われています。
ブランド化するとは何かの商品を作った時に、高級品にするのか大衆向けに作るのか、何色をコンセプトにするのかとか、全体的なブランドイメージ、性質などを作り上げることです。
例えばシャネルやプラダのようなブランドは聞いただけで「女性向けの高級ブランドだな」と思い浮かぶのは長年のブランディングによるものだといえます。
ただし、英語では新しくブランドを作る場合、もしくは再構築する場合に使われやすい言葉だといえます。
The company is having a difficult time branding their toilet cleaners.
その会社は彼らのトイレクリーナーのブランド構築に困難な時間を過ごしている。
この場合は新しく作ったトイレクリーナーとしてのブランディングだといえます。もしそれがすでにある商品の宣伝にあたるならば「promoting」や「marketing」の範疇に入るかもしれません。このあたりは定義が人によって少し変わるかもしれません。
The company is having a difficult time promoting their toilet cleaners.
The company is having a difficult time marketing their toilet cleaners.
(すでに発売されている商品の宣伝・マーケティングの話になる可能性が高い)
brand-jack(ブランドジャック)
これもまれにニュースで見られる言葉でbrand-jackのほかに「brand-hijack」や「Brandjacking」といった表現のゆれが見られます。
造語のような側面もあるので辞書に掲載はない可能性もありますがウィキペディアには『Brandjacking』のページがあります。
少し意味に幅があるようで、他社がしかけたキャンペーンや他社がSNSで話題になったトピックスなどにかぶせるように「うちも同じことやります。うちのほうがもっとすごい特典がありますよ!」と便乗するようなことを指します。
もう少し幅広く、本当に「マクドナルドのツイッターアカウントです!」とあたかもその企業であるかのように騙すといった行為も含まれるようですが、対企業同士でやると犯罪になるケースもあるのでそこまでは見られません。
パロディやオマージュとも少し性質が異なるのがブランドジャックだといえます。