bitch(ビッチ)とは本来はメスの犬を意味する言葉でしたがスラングとしての意味の方が目立っており本来の犬の意味ではあまり使われない言葉です。
カタカナでも「ビッチ」は聞かれますが日本語の定義は横において、英語本来の意味でどのように使うかをネイティブスピーカーに確認してみました。
女性への攻撃的な蔑称としてよく知られていますが、他にも「文句を言う」や「クール」の意味でも使われることがあります。
bitch(ビッチ)の意味
もともとの意味はメスの犬を表す言葉です。しかしスラングとしてのビッチの意味が先行しているため、普通はメス犬としての使い方をしません。
「I have a dog.(犬を飼っている)」とは言いますが「I have a bitch.(メス犬を飼っている)」とは誤解される要素も多いので本来の意味で使うケースがほぼありません。
しかしながら、ブリーダーなど犬の専門職同士の会話や、犬を専門的に扱った文章では普通に使われている可能性は十分に考えられます。
現在ではスラングとして女性への蔑称で「ビッチ」として使われることが圧倒的に多いです。
メスの犬は扱いにくい難しさがあるため、文句ばかり言う女性や扱いが難しい女性、またときに性的にだらしない(slutty)女性に対して用いられています。このあたりはメス犬の特性を引き継いだ感じの意味にはなっています。
日本語にも「じゃじゃ馬」といった表現があり、意味としては通じる部分がありますが、もう少しbitchのほうが蔑称・攻撃的な言葉になっています。
son of a bitch / サノバビッチの意味
サノバビッチは「卑劣なやつ、いけ好かないやつ」を意味する言葉です。S.O.B.とも書かれます。
基本的にbitchは女性に対して言う言葉なので、男性に対しては「ビッチの息子」を意味するサノバビッチとして「息子(男)」に置き換えています。
大阪弁なら「あかんたれ」とかにしたいですが、おそらく相手に直接いうならば「てめえ」ぐらいでしょうか。
Some son of a bitch stole my car.
外道が俺の車を盗みやがった。
Some S.O.B. stole my car.
クソ野郎が俺の車を盗みやがった。
You son of a bitch! Give me back my money.
クソ野郎!金を返せよ。
基本的には公共の場でいうような単語ではないと思いますが、トランプ大統領はたびたび自分にとって気にくわない相手を「son of a bitch」と演説など公の場で呼んでいます。それをよしとするか、ちびっこも使っていいのかは別問題です。
否定的な意味以外での使い方
罵る以外にも驚きを表したりにも使われます。「ちくしょう!」みたいな感じにもなります。
Son of a bitch!
なんてこった!
また、否定的な意味以外でも使われるケースもあります。けっこうジョークだったり、雰囲気にもよるので、ノンネイティブが手を出す領域ではないのかなという感じはします。
I love you, you son of bitch!
くそったれ、愛してるよ!
A: How do I use an ATM?
ATMはどう使うんです?
B: Just take your bank card and stick it in that son of a bitch.
ただ銀行カードを取り出して、そのくそったれの中に突き刺すんだよ。
bitching(動詞)/文句・不満を言う
bitchは動詞では「不満・文句を言う」といった意味で使われるケースがあります。これは男女を問いません。
よく進行形の形で用いられますが普通の現在形でも可能でその場合は3人称ならば「bitches」と三単現のSがつきます。
He is always bitching about his job.
彼はいつも仕事に不満ばかりいっている。
He bitches about his coworkers.
彼は同僚の文句を言っている。
また名詞になりますが「難しい(difficult)」の意味で使われるケースもあります。
That wall is a bitch to climb.
あの壁は登るのが難しい。
これも元のメス犬の扱いづらさや、よく吠える様子からこういった動詞や名詞での「文句・不満を言う」や「難しい」といった意味が生まれているのだと思います。
日本でもヒットした古い映画『ベスト・キッド(Karate Kid)』の続編でYouTubeのオリジナル動画『コブラ会』にちょうどいい「不満を言う」と「くそ女」の意味を取り違えたサンプルシーンがありました。
動画(5:50~)でテレビの取り付け工事に来たジョニーは間違えた場所に取り付け、勝手にトイレを使用したので家の住人である奥さんにさんざん文句を言われます。
ここでのやり取りでジョニーは「本当に文句が多い人だな…」と不満を言うの意味でbitchingを使っていますが、住人の奥さんは「bitch(名詞:クソ女)」と自分が呼ばれたと思って激怒します。再生ボタンを押すと該当のシーンから始まります。
結果的にこれで仕事をクビになってしまいますが、ジョニーは電話越しに上司に「ビッチって呼んだわけじゃない。ビッチング(文句を言う)といっただけだ」と説明しています。
最後に「あのビッチのせいで俺がクビだって?」と言っているのでビッチの使い方の参考になりますね。
bitchin’
やや時代遅れな感じがありますが、80年代から90年代前半にはbitchin’ で「cool」を意味するようになっていました。
That is a bitchin’ car.
あれはイカした車だ。
You have a bitchin’ wife!
お前の嫁さんいかしてるな!
これもgがあるかは重要で、bitchingで先に説明した通り「不満を言う、文句ばかり言う」の意味になります。
You have a bitching wife!
お前の嫁さん文句ばっかりいってるな!
今となっては時代遅れな感じもあるし、何より失礼で混乱・誤解される要素もあるので特に女性に対してはあまり言わないだろうという意見です。
このさらに前には「rockin’」がcoolの意味で使われていた時代もありました。以下の記事にまとめています。