appreciateは「感謝する」と訳されることが多いですが、根底にあるのは「価値を正しく評価する、価値を正しく理解する」といったニュアンスです。thankが「人」に対して使うのに対して、appreciateは行為に対して使う点で大きく違います。
ほかにも「理解する、面白く味わう、鑑賞する」「値上がりする」などの意味がありますが、根本的な部分ではイメージがつながっているので、整理しながら順番に使い方をご紹介します。
この記事の目次!
appreciateの意味と使い方
appreciateといえばthankに近い意味合いで「感謝する、ありがたく思う」として使われることが多いです。
appreciate【əpríːʃièit】
appreciateは「price(価格)」と同じ語源で、本来の意味は「価値を正しく評価する、価値を正しく理解する、正しく値付けをする、価値を理解する」といった感じです。
「価値を私は理解しています、正しく評価しています、私はわかっていますよ」の延長として「感謝する」といった意味合いで用いられています。この考え方はappreciateの他の意味につながっているので、語源・根底にあるものを知っていると理解しやすいです。
I really appreciate that trains are on time in Japan.
日本で電車が時刻通りに来るのは本当にありがたい。
She said she appreciates your work.
彼女はあなたの働きに感謝するといった。
I appreciate it.の意味と使い方
「I appreciate it」あるいは「I appreciate that」は「ありがとう」と同じ意味の定番の表現です。
I appreciate it.
感謝します / ありがとう。
これはよく「I」が省略されて以下のようになります。
Appreciate it.
Appreciate that.
感謝します。
I appreciate youは間違い
次のthankとappreciateの違いでも触れていますが、appreciateは人に対して使う言葉ではなく、やってもらった行為などを指して使う言葉です。「価値を正しく理解する」が根底にあるためです。
したがって「I appreciate you」のような形は間違いです。これはグーグル検索で調べると、この使い方で「感謝する」の意味を紹介しているページが上位に出てきますが、間違いだと思います。
I appreciate you.
(文脈がないと意味がわからない)
この形をとるならば以下のようにyou -ingならば可能です。
I appreciate you doing that.
あなたがそれをやってくれたことに感謝します。
I appreciate you sending me that package.
その荷物を送ってくれたことに感謝します。
appreciateには他の意味で「(価値や重要性を)理解する」といった使い方があるので、「I appreciate you.」で「あなたを理解している、あなたの価値を理解している」といった意味で解釈は可能ですが、かなり前後の文脈が必要になります。
thank youとappreciateの違い
thankが「人」に対して使い、appreciateは「(やってもらった)行為やモノ」に使うので、対象・目的語になるものが異なります。これも元々がappreciateが「価値を正しく評価する、価値を理解する」だからです。
I thanked my mother for the present.
= I appreciated the present from my mother.
Thank you for coming.
= I appreciate that you came.
(来てくれてありがとう)
thank youとappreciateを同時に使うこともできます。以下、どれを使っても似たような意味です。
A: Here you go.
B: Thank you!
A: Here you go.
B: Appreciate that.
A: Here you go.
B: Thank you! I appreciate that.
注意点としては、そもそも「appreciate」は正しく行為を評価することであって、本質的に「thank」とは言葉本来の意味が異なると言っているネイティブもいることです。日常生活では結果的に2つの言葉は似たような同じ場面で使われることが多いので、同じような意味になっているように感じるだけ、という意見もありました。
thank youとappreciateを使い分ける場面
appreciateのほうがよりフォーマル、より丁寧と説明されることもありますが、ネイティブに聞いてみると「thank you」も礼儀正しい丁寧な表現なので、そこまで差があるようには思わないといった意見もありました。
また日常の会話においてthank youもappreciateも同じ内容の表現ができますが、わざわざappreciateで言う必要性はないといった意見もあります。
Thank you for watching.
ご視聴ありがとうございます。
We appreciate you watching.
(わざわざこの言い方をする理由がない)
とはいえ、appreciateには日本語でいう「感謝します」のような少し重いニュアンスが入ってくるケースがあるのも事実です。
A: Charles died.
A: チャールズが亡くなったんだ。
B: I appreciate you calling to tell me that.
B: 電話で知らせてくれたことに感謝します。
A: Charles died.
B: Thank you for calling to tell me that.
(喜んでいるようにも聞こえかねない)
このような場面だとappreciateのほうがよりベターな選択です。thank youでも言い方によってはちょっと「電話ありがとう」みたいな感じになってしまいます。
理解する、面白く味わう、鑑賞する
appreciateの根本的な意味はその価値を認めることであって、その行為を日本語にすると「理解する」といった訳も成立します。
I don’t think he appreciates the importance of politeness in politics.
政治の世界においての礼儀正しさの重要性を彼が理解しているとは思えない。
Older people don’t appreciate the pressure that kids today feel.
年配の人々は、今日の子供たちが感じている重圧を理解しない。
上の例文はそこにある価値や意味、重みを理解していないといった使い方がされています。
I like to go to the mountains and appreciate nature.
私は山へ行って、自然を味わうのが好きだ。
これは山に行って自然を単に見るだけでなく「自然は素晴らしいものだな」とそこに価値を感じるような行為を指しています。そこから「面白く味わう、鑑賞する」といった訳がつけられています。
価値が増える、値上がりする
たまに「(価値が)上がる、値上がりする、相場が上がる」の意味でも見かけることがあります。この場合は自動詞になるので、主語のものの「価値があがる、値上がりする」です。
この使い方は知らないとわりと混乱するかもしれません。
I keep my figures in their original package because their value will appreciate in the future.
フィギュアを元の箱にしまったままだよ。なぜなら将来、値上がりするだろうから。
The dollar has appreciate against the yen.
ドルが円に対して値上がりしている。
物体の場合には「value」をつけて表現することが多いです。「value」を抜いた形でも見かけますが、意味が少しはっきりしなくなる感じもあります。
The value of this book will appreciate.
This book will appreciate in value.
この本の価値は上がるだろう。
This book will appreciate.
(少し曖昧になる)