ファン歴が浅く、流行っているときだけのファンが「にわかファン」と呼ばれたりしますが、これを英語でどういえばいいのか? を整理してみました。
英語にはbandwagon(バンドワゴン)という言葉があり、古くはサーカスのパレードを先導する音楽の車・ワゴンを指していました。そこから流行に乗ることを「jump on the bandwagon(バンドワゴンに飛び乗る)」と表現したり、流行に乗る人を「bandwagon fan」「bandwagoner」と呼んだりします。
このページではbandwagon(バンドワゴン)の解説と、日本語の「にわかファン」にあたる英語の候補をいくつかご紹介しています。
この記事の目次!
jump on the bandwagonの意味と使い方
bandwagon(バンドワゴン)とは古くはアメリカで街を巡るサーカス団の宣伝のための、パレードの先頭にいた楽隊車を指していたそうです。音楽を鳴らしながらパレードを先導する存在で、音楽につられて人がぞろぞろと集まってきます。
「jump on the bandwagon(バンドワゴンに飛び乗る)」という表現が有名で、意味としては「時流にのる、流行にのる」です。
The Yankees were in the World Series so everyone jumped on the bandwagon.
ヤンキースがワールドシリーズに出たので、みんなが流行にのった。
一説によると、バンドワゴンに有名なピエロが乗っていたそうですが、たまたま一緒に乗せてもらった政治家まで有名になってしまったことから「時流にのる、流行にのる」みたいな意味になっています。
on the bandwagonのような形でも使うことができます。
I’m on the rugby bandwagon.
私はラグビーのにわかファンだ。
bandwagonという言葉は、有名な経済学や心理学の用語である『bandwagon effect / バンドワゴン効果(ウィキペディア)』にも使われています。簡単にいえば、みんながやっていると自分もつられてやりたくなるような効果です。祭囃子が聞こえると寄って行ってしまうようなイメージです。
もう1つ聞くとすれば勝ち抜きのアイドルオーディション番組のラストアイドルから生まれた、同名のユニットのデビュー曲が『バンドワゴン(YouTube)』です。いい歌です。
作詞は秋元康さんですが、歌詞を読むと「バンドワゴンに振り回されない」と歌っているので、おそらく「流行や他人に振り回されずに、自分の信念をしっかり持つ」といった意味での、秋元先生なりのバンドワゴンの使い方かもしれません。
にわかファンを英語でどういうか?
英語で「にわかファン」のような、流行っているから応援する、流行っているから流れに乗るような人はいくつか候補があります。ちょっと使い方や含まれるニュアンスに違いもあるのでご紹介します。
いろんなサイトでいろんな言葉が取り上げられていたので、そういったものも気になって本当に使えるのか調べてみました。特に絶対にこの言い方でないといけない、といった決まったものはありません。
bandwagon fan / bandwagoner
バンドワゴンに乗り込む人、つまり流行に乗る人を指して「bandwagoner」や「bandwagon fan」といった表現がされます。「にわかファン」の訳語としても、これらの言葉があげられています。スポーツを中心に広く使われているスタンダードな表現です。
Every playoffs, the stadium is full of bandwagoners.
毎回、プレーオフになると、スタジアムはにわかファンでいっぱいになる。
All the bandwagon fans come out during the playoffs.
プレーオフにはすべてのにわかファンが姿を現す。
これらの表現が失礼になるかどうかは、個人の受け止め方や言い方、言う人の立場次第なので、なんともいえません。逆に「にわかファン」って表現が攻撃的なのかどうか、判断がつきません。
bandwagon jumper
「bandwagon jumper」もそういったにわかファン、都合のいい時だけのファンですが、海外のスポーツサイトでは「bandwagoner」や「bandwagon fan」とは少しニュアンスが異なる定義がされていました。
「bandwagon jumper」は同じスポーツで調子が良いチームのファンになる感じで、去年は巨人で、今年は阪神を応援するみたいな、飛び移っていく人を指すそうです。
He’s a bandwagon jumper who wears a different team’s jersey every year.
彼は毎年、違うチームのジャージを着るバンドワゴン・ジャンパーだ。
これは海外のスポーツサイトの定義なので、どこまで厳密に言葉が運用されているかはわかりませんが、jumperの理屈からは合点がいく言葉の定義だそうです。
fairweather
「fairweather」は天気の良いときであり、転じて調子のよいときだけファンになる人です。これはスポーツだけに限りません。
名詞と形容詞での使い方があり、名詞では「好調な時だけ応援する人」「勝ち馬に乗る人」です。
She’s a fairweather fan of the Yankees.
彼女は調子のいい時のヤンキースファンだ。
He’s just a fairweather friend.
彼は調子のいい時だけの友達だ。
上の例文は私が困っている時には彼は助けないタイプの友達です。
Johnny-come-lately
Johnny-come-latelyも似たような意味で「最近になって来たジョニー」です。新参者の意味です。
複数形は「Johnnies-come-lately」としてもいいそうです。このジョニーは特定の人ではなく「guy」の意味です。
Every playoffs, the stadium is full of Johnny-come-latelies.
毎回、プレーオフになると、スタジアムはにわかファン/新参者でいっぱいになる。
hanger-on
hanger-onはスポーツからは少し外れる感じがしますが「取り巻きの人」といった意味で、成功した人のまわりにいて恩恵や寵愛を受けようとするような人です。
I could barely see Taylor Swift at the party because she had a lot of hangers-on.
パーティーでかろうじてテイラー・スウィフトを見ることができた。なぜなら多くの取り巻きがいたからだ。
dabble
dabbleは「ちょっと手を出す、かじってみる」を意味する動詞です。だいたいカジュアルにやってみることであり、真剣に取り組んでいません。
I like to dabble in painting.
私は絵に手を出してみるのが好きだ。
I dabble in soccer sometimes.
I dabble in the occasional soccer game.
サッカーにときどき手を出すのが好きだ。
上の場合は「サッカーをプレーする」か「サッカーの試合を見る」の両方の解釈が可能です。
dabbleは「気軽にちょっとやること、真剣には取り組まないこと」のニュアンスがあり、スポーツ観戦はそもそも気軽にするものだという前提もあるので、あまりスポーツ関係には使わないかなといった意見でした。
ピアノや絵などパッと聞いた時に真剣に取り組んでいる印象を与えそうな前提のものにカジュアルに手を出す時に「dabble」がよく使われます。
part-time supporter
ほかにもネットで検索すると「part-time supporter」といった言葉も紹介されていました。
スティーブに意見を聞いてみると「個人的には使ったことがないけれど、言葉としては意味はよくわかる」といっていました。そのままの意味です。
part-timeはバイトの訳語としてもよく使われますが、フルタイムではない、非常勤みたいな意味です。
The mayor was criticized for being only a part-time supporter of the local team.
市長は地元チームの一時的なファンなだけなことで批判をされた。